トランプ大統領がイランとの橋渡しを安倍総理に期待する理由

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(9月23日放送)にジャーナリストの須田慎一郎が出演。安倍総理が国連総会出席のために訪米するニュースについて解説した。

安倍総理がニューヨークへ出発

安倍総理は23日、国連総会出席のためニューヨークに向け出発した。現地では26日までの滞在中、トランプ大統領と会談し、8月に大枠合意した日米貿易交渉の署名を目指す。また、イランのロウハニ大統領とも会談する予定。

飯田)25日にイランのロウハニ大統領との会談が予定されている。ここがまずは注目というところですか?

須田)今回の訪米に関して言うと、ここだけでしょうね。ロウハニ大統領との会談で、アメリカとイランの仲立ちをする。議会も含めて安倍総理に対し、仲介の役割を期待する声が強いです。直接イランの大統領やハメネイ師とパイプを持っている国は数少ないのです。アメリカ側もここに来て、いろいろとメッセージを送っています。ボルトン氏の解任を含めて、アメリカとイランが直接交渉する機運は高まっているのだと思います。

飯田)そこへ水を差すように、サウジアラビアの石油施設への攻撃があった。イエメンの武装組織のフーシ派が犯行声明も出していますが、アメリカ側はイランから飛んで来た巡航ミサイルだと明言しています。

須田)そうは言っても、イラン国内もおそらく一枚岩ではない。協調路線のロウハニ大統領は穏健派とされる人です。これに対して前大統領は強硬派です。前大統領に連なる革命防衛隊等々の勢力が、協調路線、話し合い路線を潰すために仕掛けたのではないかというのが、いちばん可能性として高いのではないでしょうか。

飯田)前大統領のアフマディネジャド氏、そして革命防衛隊はどちらかと言うと宗教指導者直結のものでもあるから、ハメネイ師がどこまでグリップしているのかというところが問題になって来ますけれど、そこはどうなのですか?

須田)はたして完全にグリップできているのかという話もありますし、いずれにしても交渉が始まると、イランの国内情勢にも大きな影響を与えます。もう1つ、イランとの協議を進める上でプラスに作用する要素もいくつかあります。何かというと、イランに対して最強硬派だったのはサウジアラビアではなくて、イスラエルです。そのイスラエルで、ネタニヤフ首相の組閣が難しいため、与野党大連立を模索している。

飯田)この間、選挙があったばかりですからね。

無人機の攻撃を受けたサウジアラビア東部アブカイクの国営石油会社サウジアラムコの施設から上がる黒煙(ビデオ映像より)(サウジアラビア・アブカイク)=2019年9月14日 写真提供:時事通信

ネタニヤフ首相の組閣が難しいこともイランとの協調路線に移りやすい

須田)過半数を獲れなかったということで、連立をつくらなければいけない。イスラエルは民族的にも宗教的にも複雑なので、1つの政党が過半数を獲ったことは歴史上ありません。連立ということですが、反ネタニヤフ派とネタニヤフ首相が連立を組むということは、現実問題としてかなりハードルが高い。反ネタニヤフ派はそれを拒否している状況にあります。そうすると、いよいよ10年に及んだネタニヤフ政権も終焉を迎える。終焉を迎えなくても終わりの始まりになるということで、影響力は低下する。アメリカとしても、イランとの協調路線に移りやすいという情勢があります。もう1つは、サウジアラビアです。

飯田)サウジアラビアは自国が攻撃されて、メンツを潰されたというところでどう出るのか。とりあえずアメリカはイランに対して追加制裁を発表した。それで圧力をかけつつというところですが、サウジアラビアはこれで納得するのですか?

須田)金融マーケットを見ますと、日動算出石油の半分がダメージを受けたとされているのですが、原油価格はあまり動いていないのですよ。70ドルを超えて来るのかなと思ったのですが、まだ60ドルほどで推移しているという状況もありますし、円も円安に振れている。そういうところもあって、マーケット全体はリスクオン、つまりリスクを負う状況に進んでいます。普通だと、戦争直前になるとリスクオフという、リスクを取らずに円を買って、株から債券へと動いて来る。しかし、どうもマーケットがリスクを取っている状況を見ていると、マーケットサイドとしてはこれで何か軍事的な衝突が起こるとは見ていないのだと思います。

飯田)確かにサウジアラビアも原油に関して、精製施設などが攻撃を受けたけれども、2〜3日で回復するというような声明を出した。増産をかけるとも言いだして、価格は安定していますものね。

須田)現実に起こっている現象と、マーケットの反応が大分乖離している。経済的にはさほど大きな影響はないのかと思いますし、マーケットサイドはアメリカとイランの協調路線方向に見ているのではないかなと思います。

飯田)危機を迎えて石油価格が上がり、ガソリン代も上がってしまうと、アメリカ経済にはとてもマイナスだと言われるではないですか。トランプさんとしても、大統領選挙を前に上げたくない。その辺も見ると、イランと手を握るというインセンティブは高いのですか?

日イラン外相会談 会談に臨むイランのザリフ外相(左手前から2人目)と河野太郎外相(右手前)=2019年8月27日午後6時2分、横浜市西区 写真提供:産経新聞社

大統領選挙前に株価を下げたくないトランプ大統領

須田)高いですね。戦争となると株価も下がってしまいますから、大統領選挙前に株価を下げるような行動はしたくないでしょう。そういうすべての動きが、ボルトンさんの解任というところに流れたのだと思います。

飯田)そうすると、アメリカとしてもイランにやられている分、拳は振り上げないといけないのだけれども、それを下ろす手はずを日本が橋渡しできるといちばんいいということですかね。

須田)そうですね。もう1つ、フランスが橋渡しできるのですが、トランプさんとしてはいろいろと対立しているから、そこには乗りたくない。そうすると盟友の安倍さんに対する期待は非常に大きい。そう考えると、イラン情勢や中東情勢を見て行く上で、今回の安倍総理のニューヨーク訪問、国連出席は大きな意味合いを持っているのではないかと思います。

飯田浩司のOK! Cozy up!
FM93AM1242ニッポン放送 月-金 6:00-8:00

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