ジャック・シラク元仏大統領〜欧州の国際主義の変化を示す象徴的な死

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(9月27日放送)に外交評論家・キヤノングローバル戦略研究所研究主幹の宮家邦彦が出演。26日に死去した元フランス大統領のジャック・シラク氏について解説した。

テレビ演説を行ったフランスのシラク大統領(当時)=2007年3月(ロイター=共同) 写真提供:共同通信社

ジャック・シラク元フランス大統領が死去

1990年代後半から12年にわたってフランスをけん引した元フランス大統領のジャック・シラク氏が、26日に亡くなった。86歳だった。近年は認知症などで健康状態が悪化し、2016年4月に長女のロランスさんが亡くなってからは、ひどく落ち込んでいたということだ。日本を何度も訪問した親日家で、愛犬には「スモウ」と名付けたほど、相撲を愛していたとも報じられている。

飯田)親日家と言うのは本当に有名で、大統領の12年間でも40回くらい日本に来ていたということです。

宮家)ジャック・シラクさんは戦後フランスのド・ゴール主義、保守本流の正当なエリートなのですけれども、日本についてはとても詳しくて、おそらく相撲については僕よりも詳しかったに違いないと思います。そういう人がいてくれたというのは、日本にとってもよかった時代ですよね。これからもフランスに大統領は出て来ますが、あれほど相撲に詳しい人は出ないと思います。彼のあとはサルコジさん、オランドさん、いまはマクロン大統領。少し毛色が違う人が続いていますよね。フランスの国力、立場というものがだんだん微妙に変わって来ている。それを反映しているのかなと思います。ジャック・シラクという時代はこれで終わったのだと、つくづく思います。

飯田)ド・ゴールさんやシラクさんに続く、独自の存在感を見せようとしたということでしょうか。

宮家)フランス人は常に独自で行く人たちが多いし、それだけの歴史と伝統を持った人たちですからね。第二次世界大戦が終わって、ヨーロッパが疲弊した。ソ連とアメリカが伸びて行って、そのはざまで欧州は存在感がなくなって来た。埋没しそうになったところで、フランスとドイツが手を握る形でEU、EECができたわけです。しかし、フランスの国内も変わって来て、伝統的な欧州の国際主義が少し変質して来ている。マクロンさんは頑張っているのですけれどね。ドイツも昔ほどの元気はなく、メルケルさんは2年間で100万人も移民を受け入れてしまい、結局は墓穴を掘ってしまった。一昔前では当たり前だったEU主義、国際主義が、いまや必ずしも当たり前ではなくなっている。そこに欧州の変化を感じます。シラクさんがいなくなるのは象徴的だと、時代の変化を感じますね。

 

飯田浩司のOK! Cozy up!
FM93AM1242ニッポン放送 月-金 6:00-8:00

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