香港政府が発動した「緊急状況規則条例」が香港経済をさらに悪化させるきっかけに

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(10月7日放送)にジャーナリストの須田慎一郎が出演。香港政府が発動した緊急状況規則条例について解説した。

香港 マスク禁止法施行 香港島の繁華街、銅鑼湾で、デモ隊に放火された地下鉄の出入り口=2019年10月4日夜 写真提供:産経新聞社

香港、マスク禁止に抗議デモ数万人

香港で6日、デモ参加者のマスク着用を禁じる覆面禁止法に反対する大規模デモがあり、数万人の市民がマスク姿で参加した。一部の若者らは複数の幹線道路を占拠して火をつけたり、政府施設を破壊したりしたが、警察は催涙弾を使って強制排除に乗り出し、各地でデモ隊と衝突した。

飯田)香港政府の林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官は、議会の承認なく緊急状況規則条例を発動させたということもあって、相当の方々が街に出たということです。

須田)キャリー・ラムさんは禁じ手を発動したと思うのです。この緊急状況規則条例は、香港が中国に返還される前につくられた条例です。古証文を引っ張り出して来て、強引にこれを当てはめたということですが、そこまでせざるを得ない状況なのだろうと思いますし、新たな局面を迎えつつあるのかなと。香港行政、背後にいる中国政府も追い詰められて来た感じがします。

飯田)この緊急状況規則条例を使えば、戒厳令のように夜間外出禁止なども出せないことはないと聞きますよね。

集会に参加し、音楽に合わせてスマートフォンを揺らす生徒ら=2019年9月2日、香港(共同) 写真提供:共同通信社

緊急状況規則条例は事実上の戒厳令〜デモ隊に懐疑的だった市民もデモ側に

須田)「事実上の戒厳令」と言ってもいいでしょう。議会を通さずに行政府トップが好き勝手にできます。これまで香港市民の受け止め方と言えば、デモ隊に対して強く共感している人が2割、反発している人が2割。残りの6割はどちらともつかないという分配だったのです。今回のことでその6割の人たちが、これからデモ隊の方にシフトするのではないかと思います。

飯田)いままでその6割の人たちは、経済面も考えて、デモ隊に対し懐疑的なのではないかという報道が日本でもされていましたが、逆に振れることになるわけですね。

須田)その一方で、アメリカの議会では香港人権・民主主義法案というものが成立しましたが、このままそれにトランプ大統領が署名することになると、アメリカが香港に対して認めて来た、経済的に特別な地位を見直す動きになるのです。そうすると経済、金融面で大きなダメージを受ける可能性が高くなる。香港から外国資本が逃げ出して、香港経済がさらにダメージを受ける可能性があります。そのトリガーになるのは香港行政府等々の人権抑圧ですから、緊急状況規則条例を発動したということは、そのトリガーを引きかねない状況になっています。

至近距離で発砲に猛反発 男子生徒が警官に撃たれたことを受け、九竜地区のショッピングモールで開かれた抗議集会=2019年10月2日、香港(共同) 写真提供:共同通信社

習近平氏来日を前に強く批判できない日本政府

飯田)アメリカの議会はこれに対して相当動いています。日本の国会は10月4にスタートしたばかりですが、まだ表立った動きはないですよね。

須田)来年(2020年)の春に、日本は中国の習近平国家主席を国賓待遇で迎える状況になっていますから、あまり中国を刺激するような対応が取れないというところもあるでしょう。ただ、マルコ・ルビオ氏というアメリカの上院議員が「アメリカも含めて自由社会は、香港の支援について行動が遅過ぎる」という批判をしています。その発言の方向が日本に向かっているのも間違いないでしょう。

飯田浩司のOK! Cozy up!
FM93AM1242ニッポン放送 月-金 6:00-8:00

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