台風19号災害支援〜安倍総理の言う「プッシュ型支援」の2つの問題点

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(10月17日放送)にジャーナリストの鈴木哲夫が出演。政府が決定した台風19号の支援について解説した。

参院予算委員会の冒頭、台風19号犠牲者の冥福を祈り黙祷を行う閣僚ら=2019年10月15日午後、国会・参院第一委員会室 写真提供:産経新聞社

政府が台風19号の支援として7億1000万円の支出を決定

政府は16日の持ち回り閣議で、台風19号の被害の対応に対し、2019年度予算の予備費からおよそ7億1000万円の支出を決定した。安倍総理大臣は被災した自治体の要請を待たず、水や食料などの物資を送るプッシュ型支援の強化に充てる方針だ。16日に行われた参議院予算委員会のなかでの安倍総理の答弁。

 

安倍総理)極めて広範囲に及ぶ今回の台風被害を踏まえ、政府として被災者の生活支援をさらにきめ細かく、迅速かつ強力に進めるため、各省横断の被災者生活支援チームの設置をしました。このチームを通じて電力や水道の早期復旧、被災者ニーズの把握はもとより水、食料、衣類、段ボール、ベッド等のプッシュ型支援。そしてまた、避難所生活の環境整備、被災自治体への職員派遣、住まいの確保など必要が生じる事柄を先取りし、被災者の生活支援を政府一丸となって迅速に進めて参りたいと思います。

 

飯田)総理は台風19号の被災者の医療費についても、安心して医療を受けられるよう、自治体に対する支援をしっかり行うと述べました。自己負担を免除する措置を、前向きに検討する意向も示しています。

非常災害対策本部会議であいさつする安倍首相(左から2人目)=2019年10月15日午前、首相官邸 写真提供:産経新聞社

最優先課題として補正予算を組む必要も

鈴木)ご存知のように、災害は時間が経つとここにも、ここにもと判明して行きます。犠牲になられた方の数も何日か経って、「そんなに犠牲者が出ていたのか」というくらい数が増え、いろいろなところに傷跡を残しているのがわかって来ます。まず予備費で出すことはもちろんですが、それでは足りません。補正を組まなければいけないのかなという気がします。

飯田)そうですね。早急に手を打たないと、補正予算が通ったとしても、そこから執行まではタイムラグがありますよね。

鈴木)下手をしたら半年だとか。最優先課題として、補正のことを行って欲しいと思います。それともう1つ、とにかく体制を取るということ。今回は事前事後も含めて、政府の動きはそう悪くなかったのではないかと思います。最大のポイントは、現地に指揮官を派遣することです。現地のことは現地で。「現地がやりたいと思うことは最優先で行え。僕が責任をとるから」と安倍総理が言う…そういう体制を取れるのかどうか。その点については、武田防災大臣を現地に派遣して対応していたかなと思います。

佐野市の秋山川の堤防が決壊し、住宅も水に浸かった=2019年10月13日、佐野市赤坂町 写真提供:産経新聞社

プッシュ型支援の2つの問題点〜「何をどのように送るか」と「どのような人を送るか」

鈴木)あえて指摘をすれば、安倍総理が言っていたプッシュ型ですが、こういった災害が起きたときは現地がどういう状況かがわからない。ですが支援物資、食料や水、また停電であれば電源車をとにかくどんどん送る。これをプッシュ型と言います。正しい防災の対応の仕方なのですが、このプッシュ型のなかに問題が2つあります。1つは、送ってもそれを現地で処理する余力がない、人がいないということです。

飯田)集積して、そこから避難所や家々に配る。

鈴木)そこが詰まってしまい、食料などを管理する人間が必要になって来ます。ですが地元の自治体には、それほど職員が多くない。ですので、このプッシュ型は「何をどのように送るのか」ということがポイントになります。プッシュ型でも、送ってよいものもあります。例えば水です。水に関しては、本数が足りないという話になります。そういうものはプッシュ型で送ってもいい。その辺りの色分けができるかどうかということです。それともう1つ、プッシュというのは何も物資だけではなくて、人もあるということです。

飯田)はい。

鈴木)飯田さんも被災地に取材に行かれていると思いますが、僕も阪神淡路大震災以降、いろいろな被災地に行っています。そこではとにかく人が足りないのです。さまざまな状況を把握するにも、1人暮らしの高齢者へ対応をするのにも、現地の市町村の職員が圧倒的に足りません。プッシュと言うならば、人も考えなくてはならない。人をどう送り込むのか。そのときに他の自治体からの応援を、と言われますよね。

飯田)言われますね。

鈴木)ですが他の自治体も日ごろ忙しいので、人がいない。そんなとき、自民党の防災を行っている方とよく話すのですが、自治体のOBが使えないかと。

飯田)なるほど。

【台風19号】浸水した住宅街で活動する、災害派遣された陸上自衛隊の隊員ら=2019年10月13日午前、東京都世田谷区 写真提供:産経新聞社

自治体出身のOBによる災害派遣チームのネットワークをつくるべき

鈴木)阪神淡路大震災を経験しただとか、東北の被災地など他にもいろいろな地震があって、そういったところのOBのみなさん。70歳、80歳の方は難しいですが、去年(2018年)や一昨年(2017年)に退職された、60歳過ぎの方にお願いできないのか。こういう方たちのネットワークを日ごろからつくっておいて、プッシュ型で現地に送り込むということができないか。

飯田)たしかに今回、自衛官の方に関しても、即応予備自衛官の招集がかかった。とくに即応予備自衛官は、基本的に志のあるOBが登録する形だそうです。同じような仕組みを地方自治体で引退された方や、ノウハウのある方でネットワークをつくっておけばいいのですよね。

鈴木)災害の経験がない若い人たちに、被災地の1軒1軒を廻って状況を把握してくださいと言っても、できないのですよ。

飯田)どこを見たらよいのかがわからない、何を報告すればいいのかわからない。

鈴木)災害を経験したことのある方であれば、頼んだ段階でどこへ行って、何をすればよいのかがわかる。最前線でも手伝えるわけです。こういったことを日ごろから組織化しておく。地方自治体出身のOBの方の、災害派遣チームのネットワークを作っておくということも考えるべきではないでしょうか。

飯田)いま、まさに国会を行っている最中で、総理も答弁しているわけですから、いくらだって切り口はありますよね。

鈴木)これは組合も協力すると思います。

飯田浩司のOK! Cozy up!
FM93AM1242ニッポン放送 月-金 6:00-8:00

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