台湾・蔡英文総統〜中国の一国二制度に拒絶姿勢

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(10月11日放送)に外交評論家・キヤノングローバル戦略研究所研究主幹の宮家邦彦が出演。中華民国の建国記念日「双十節」を迎えた台湾と中国との関係について解説した。

10日、台北で開かれた双十節の式典で手を振る台湾の蔡英文総統(中央右)=2019年10月10日 写真提供:時事通信

台湾・蔡英文総統が双十節の式典で中国の一国二制度を批判

台湾は10日、中華民国の建国記念日「双十節」を迎え、建国108年とする祝賀式典が台北の総統府前で行われた。この式典での演説で蔡英文総統は、「台湾から遠くない香港では一国二制度は失敗し、まさに秩序が失われる瀬戸際だ」と述べ、現在混乱のなかにある香港に対し、中国政府が用いて来た一国二制度を拒絶する姿勢を示している。

飯田)台湾の主権は、台湾人の圧倒的な総意だという演説をしたということです。

宮家)国民党が台湾に移ってからは70年、大陸が中華民国だった時代を含めて108年ということです。私にとっては中国語を勉強した場所でもあるので、思い入れもあります。台湾は島だから守りやすい、そして中国ではできない民主主義が根付いている。私は過去2回、総統選挙を見に行きましたけれど、日本だって政権交代はなかなかないのに、その政権交代をやっているのだからたいしたものだと思うのです。しかし、今や台湾にとって中国の力は圧倒的に強いです。中国経済がどんどん拡大する、台湾のビジネスマンも含めて、中国に依存せざるを得なくなる。中国のビジネスマンが台湾にどんどん入って来て、農村から直接農産物を買うとか、選挙にも影響を及ぼす様々な動きをしてきている。だから台湾にも、何となく徐々に吸収されてしまうのではないかと、不安思う時期もありました。その意味で蔡英文さんにとって、今回の香港の大騒動はまさに神風ですよね。「だからやはり中国の一国二制度はダメなのだ」ということで、何もしないでも支持率が上がったのですから。そうは言っても、台湾は人口も増えていないし、経済成長率も大陸中国とは違います。政治的な状況はともかく、経済的な状況では中国が圧倒的に強いことに変わりはないので、まだまだ前途多難だと思います。しかし、こういう形でしっかりと民主主義をやっている中国人がいるということですから、それはそれで大事にしなくてはいけないと思います。

飯田)ある意味、価値観を共有する仲間。

宮家)香港よりもはるかにいいですよね。独自にやっているわけですから。

飯田)普通選挙の形で。

宮家)選挙自体はにぎやかで、日本とはまた少し違いますけれど、それでも民主主義に変わりはないと思いました。

マナセ・ソガバレ-Wikipediaより

ソロモン諸島など、中国との国交を見直す可能性も

飯田)外交面で行くと、台湾と国交のあった国々、ソロモン諸島などが中国に引っぺがされている。

宮家)中国はとても巧妙にやっていると思います。まさに経済力をうまく使っているのですけれど、はたしてそれだけでうまく行くのでしょうかね。ソロモンの場合、新政権に対する働きかけが功を奏したのでしょうが、こうした中国のやり方には私自身かなり驚いています。米国も怒っているようですから、情勢がこれからまたひっくり返る可能性は、十分にあると思います。

飯田)逆の方にひっくり返るということですか?

宮家)ええ。いまは新しいソガバレ首相でしたよね。多くの国が中国の強引なやり方はいかがなものかと思っていることでしょう。まだまだ駆け引きは続くと思います。

飯田浩司のOK! Cozy up!
FM93AM1242ニッポン放送 月-金 6:00-8:00

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