ロウハニ政権と強硬派の間で綱引きが行われているイランの国内情勢

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(11月11日放送)にジャーナリストの須田慎一郎が出演。イランで新たな油田が発見されたニュースについて解説した。

テヘラン-Wikipediaより

イランで新たな油田が発見〜しかしすぐに経済につながることはない

イランのハッサン・ロウハニ大統領は11月10日、イラン南西部のフーゼスタン州で、東京都の面積よりも10%ほど広い2400平方キロメートルの新たな油田が見つかったと発表した。この新たな油田の原油埋蔵量は、推定530億バレル。今回の発見でイランの原油埋蔵量は1.3倍に増え、ベネズエラ・サウジアラビアに次ぐ第3位になると見られている。

飯田)東京都の面積は2188平方キロメートルということで、すごいですね。東京都より広い油田は想像がつかない。

須田)ただ、油田が発見されたから、すぐにそれが経済的にプラスになる、お金に変わるかというとそうではありません。イラン核合意のなかで、核開発を一定程度制御する条件と引き換えに、「イラン産の原油を買う」という約束がヨーロッパやアメリカとの間で結ばれた。ところが核合意をアメリカが離脱するという、イランに責任がないような動きもあったのですが、イランも核濃縮を進めた。そういうことを受けて現在、イギリス・フランス・ドイツなど購入を約束した国々が、原油購入をストップしています。だからいま油田が発見されたからといって、これがイランの経済にプラスに作用するかというと、疑問符がついている。

共同記者発表を終え、握手するイランのロウハニ大統領(右)と安倍首相=2019年6月12日、テヘラン(共同) 写真提供:共同通信社

逼迫した国内情勢に対しての、国民へのアナウンスか

須田)加えて、イランの国内経済が逼迫しています。国民生活は相当苦しい状況になっていて、市場にはほとんど物が出回らなくなっている。将来に向け、イラン国民に「油田が発見されて経済的に豊かになります」と言って、落ちつかせるためにアナウンスメントしたと見るべきではないかなと思います。

飯田)その意味ではロウハニ政権は、追い詰められているところがあるわけですか?

須田)ロウハニ政権は強硬派ではなく、比較的融和派なのです。イラン国内に強硬派がいて、隙あらばロウハニ政権を打倒し、政権を自立しようとする動きもないわけではない。その一方で、強硬派を一掃しようとする動きもある。とりあえず表面上は平穏を保っているけれども、水面下で激しい綱引きが行われていると見るべきではないかなと思います。

飯田)その強硬派、特に革命防衛隊だと言われますけれども、一連のサウジの油田の攻撃や、日本に関連するタンカーが穴を開けられたこともありました。その辺の動きも、強硬派の一部が行動したと言われていますけれども。

メッカのカアバ神殿(サウジアラビア-Wikipediaより)

モザイクのような状況のなかで綱引きが行われている

須田)イラン情勢を見ると、組織だって一枚岩で動いている、或いはテロ行為が行われたときに、指揮命令系統があって、何らかの思惑に基づいて指示されたと考えるのは不適切ではないかなと思います。それぞれがそれぞれの思惑で、勝手に動いているという状況です。モザイクのようななかで、誰が多数派を占めるかという綱引きが行われているのではないでしょうか。テロ行為に関して、もし仮にイラン国内の勢力がやっていたとしても、それはイラントータルの意思が働いているということではないと思います。

飯田)一応のオフィシャルの窓口はロウハニ大統領ということになりますけれど、最高指導者とされるハメネイ師なども含めてやらないと、何も進まないということでしょうか?

須田)そうですね。そう考えると、ハンドリングができていないのではないかという指摘もある。だからといってすべてをコントロールできるかと言うと、どんなに強力な政権ができても難しいのではないかなと思います。

飯田)この先のシナリオですけれども、イランは先の核合意で課された義務を放棄して来ています。アメリカは既に核合意から離脱している。何とかそれを抑えようとしていたヨーロッパはうまく行かないし、日本もある時期までは調停をしようとしましたが、難しい面がある。八方塞がりになっている状況ですか?

須田)一方ではこのような状況を受けて、反イランの旗頭であるサウジアラビアも、自らの経済的な問題を考えると、イランと融和方向に向かわなければいけないという動きを見せています。

飯田浩司のOK! Cozy up!
FM93AM1242ニッポン放送 月-金 6:00-8:00

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