中国の一帯一路の実態はまるで悪徳サラ金業者

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(11月13日放送)に数量政策学者の高橋洋一が出演。中国の一帯一路政策、ギリシャ経済の脆弱さについて解説した。

中国の習近平(しゅう・きんぺい)国家主席(右)は4日、上海でギリシャのミツォタキス首相と会見した(上海=新華社記者/謝環馳)=2019(令和元)年11月4日、クレジット:新華社/共同通信イメージズ 写真提供:共同通信社

習近平国家主席がギリシャを訪問〜一帯一路の協力で一致

中国の習近平国家主席は11日、訪問先のギリシャでミツォタキス首相と会談。中国国有企業が買収したピレウス港を視察し、「一帯一路による協力の成功例だ」と語った。習近平国家主席はこの後ブラジルを訪問し、新興5ヵ国(BRICS)首脳会議に参加する。

飯田)ギリシャは一帯一路の重要なところだ、ということです。

高橋)国家財政が弱いですから。ギリシャは過去200年で100回近く破綻しているのです。よく破綻する国だから、少しお金を貸して破綻したら、実は担保の肩代わりとして何を取るかを考えて、中国は動いているのだと思います。いまのところはピレウス港の運営権を、中国企業が持っていると思うのですよね。中国がギリシャに貸しつけて、焦げ付いたら運営権だけではなく、土地も取るというようなことを考えてやっていると思います。アメリカのポンペオ国務長官などは随分と警告しているのですが、すぐ破綻するところは弱みが多いのでつけ込めるのですよ。悪徳のサラ金業者と似ている手法なのですけれどね。

飯田)スリランカのハンバントタ港も、99年間にわたって譲渡だということです。

高橋)貸し付けて、返済が滞れば担保として土地をいただくと。合法的というか、戦争をしないで領土を拡大する中国らしいやり方です。無理な条件で貸し付けて、滞れば取ってしまう。ギリシャはEUのなかで、みんながサポートしなければいけないと思いますけれどね。

紀元前499年以降の古代アテネのテトラドラクマ貨(テトラドラクマ-Wikipediaより)

ギリシャがユーロ通貨内にいてはいけない理由

飯田)ドラクマという通貨があった時代ならば。

高橋)200年で100回破綻しても、自分の通貨があれば復活できるのですけれどね。いまはユーロのなかだから大変です。ギリシャはEUに入っているけれども、ユーロから出るという、スウェーデンやデンマークのようなポジションを取った方が実はいいのです。ギリシャはユーロのメリットを受けにくい地域にある。ユーロはドイツに近いところでないと、メリットを受けにくいのです。デメリットばかり出て来てしまうので、ドラクマがあった方がギリシャは発展する可能性が高い。しかし政治的には、ユーロから離脱するのは難しいようですけれど。

飯田)破綻して通貨安になり、観光客が来て潤えば、十分に復活できるのですが。それができないとなると、資産を切り売りして切り詰めるしかありません。

高橋)だんだん厳しくなりますよね。

飯田)ピレウスだって、切り詰めの一環として売り飛ばしてしまったわけですものね。

高橋)所有権まで取られかねない状況ですよ。ドラクマが安くなったら、ギリシャはいいところだから観光客も入って来るし、オリーブの輸出もできるのですが。ユーロのなかだとジリ貧になるので、そこを中国も見ているのでしょうね。どうせまただめになるよ、と。

飯田)ユーロをやっている国々、なかんずくドイツやフランスですが、1つの国のように財政支援で支えることができればよかったけれど、「切り詰めろ」と言うことしかやらなかった。

高橋)ギリシャはユーロに加盟しているメリットが少ないのです。EUには入っているけれど、ユーロからは出るという選択肢があっていいのですが、それができないのがギリシャの悲しいところです。

飯田)ギリシャがいるものだから、引っ張られてユーロが安くなる。それでいちばん恩恵を受けるのはドイツだけですね。

高橋)最適通貨理論というものがあって、同じ通貨になると、どこにメリットが来るのかは理論上はっきりしています。ドイツへ恩恵が来て、周辺国のギリシャに来ないのはわかっている話なのです。

第1回一帯一路国際協力サミットフォーラムに出席した各国首脳(一帯一路-Wikipediaより)

中国の思い描く一帯一路構想の大きさ

飯田)習近平国家主席はこの後、ブラジルを訪問するということです。一帯一路はヨーロッパが終点のような書かれ方をしますが、そこからさらにブラジルに行って世界一周という話です。

高橋)それくらい中国の話は大きいです。早く自分の経済圏をつくりたいのではないでしょうか。そうでないと、アメリカに締め付けられて大変ですから。

飯田)そうなれば西側諸国のドルブロックと、元ブロックで分けるということになりますね。

高橋)中国の経済力から言えば、元は国際通貨になりきっていません。この一帯一路は性急なので、失敗する確率が高いのではないでしょうか。

飯田)中国は外貨準備を抱えているとか、米国債がたくさんあるからアメリカも簡単に手を出せないと言う人もいます。しかし、一方でそのドルを担保に、一帯一路へ相当つぎ込んでいるという話もありますよね。

高橋)経済を考えるときに、自由な政治活動がなければ自由な経済活動も担保できないというのが、普通の理論なのです。中国に自由な政治活動はありません。そういうところには、健全な経済は発展しないというのが従来の理論です。これは従来の社会科学の理論ではないわけで、社会主義国で発展した国はないのです。民主主義国しかないから、中国は難しいと思います。ある程度のところまでは行くと思うし、1人頭の所得が1万ドルくらいまでは何とかなるのですが、それ以降は大変だと思います。いまちょうど胸突き八丁に近づいていて、アメリカもそれを狙ってやっているから、中国の発展は難しいでしょうね。ここには見方がいろいろとあって、中国が新境地を開くという意見もあります。

飯田)これから先は内需が大きくなるのだ、と言う人もいます。

高橋)それにしては工業化が進展しないので、限界に近づきつつあると見ています。

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」

デジタル監視社会、貧富の差〜国民が情報を知る日は来るのか

飯田)そうすると、この貧富の差がそのまま固定されるようなことになると。

高橋)あとで国民から文句が出るでしょうね。いまのところはインターネットを全部管理しているから、情報を知らない人も多いでしょう。あの国民が情報を知るようになったら、なかなかこのままでは済まないと思います。

飯田)それを防ぐためにも、データは全部国が吸い上げる話になります。

高橋)人民元をデジタル化して、人の動きを全部監視する。普通の人であれば、そんなもの息苦しくて生活しにくいでしょう。それが中国の人にはわからないらしくて、管理するのが当たり前だと思っています。管理されない香港みたいな人が、その生活を見たら到底無理だと思うでしょう。中国に抑圧された人たちも、自由の貴さに気がついてしまうかもしれません。

飯田)自由を知った香港の人たちは、その部分を知っていますからね。

高橋)知っているから抵抗するのでしょう。香港の警察は大学にまで入って調べたのでしょう? 大学の私有地に入るということは、西側諸国では考えられません。これから香港の大学へ留学する人は少なくなるでしょうね。

飯田浩司のOK! Cozy up!
FM93AM1242ニッポン放送 月-金 6:00-8:00

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