安倍政権はなぜ「桜を見る会」を即座に中止したのか

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(11月14日放送)にジャーナリストの鈴木哲夫が出演。「桜を見る会」の中止について解説した。

「桜を見る会」を終え、記者の質問に答える安倍晋三首相=2018年4月21日、東京・新宿御苑 写真提供:産経新聞社

安倍総理、来年度の「桜を見る会」中止を決定

政府は13日、総理が公費で主催する2020年度の「桜を見る会」を中止すると発表した。また、安倍総理はその後に行われた記者団とのぶら下がりのなかで、中止について「私が判断した」と発言している。

 

菅官房長官)さまざまなご意見があることを踏まえ、「桜を見る会」について、政府として招待基準の明確化や招待プロセスの透明化を検討したい。予算や招待人数も含めて全般的な見直しを、幅広く意見を聞きながら行うこととし、ついては来年度の「桜を見る会」は中止することにしました。

 

飯田)野党は中止で済む話ではないということで、追及を続ける方針です。

鈴木)確かに中止して済む話ではありませんよね。今後も続くと思いますが、菅さんが会見で言った「招待客や仕組みも含めて見直す」ということは、その通りだと思います。ポイントなのは、いい言い方をすれば危機管理の速さです。かなり政権の火種になって来ているなかで、公費で会を催していることがありますが、法的には問題がないと見ていいと思います。

飯田)旅費も何もかも全部持ったとか、そういうわけではないですものね。

「桜を見る会」で安倍晋三首相、昭恵夫人と記念撮影する招かれた人たち=2019年4月13日午前、東京・新宿御苑 写真提供:産経新聞社

「なかったことにする」安倍政権の危機管理の特徴

鈴木)そうであれば、そこで違反になります。よく言えば危機管理、きつい言い方をすれば、なかったことにする。これが安倍政権の危機管理の特徴です。わかりやすいところで言うと、英語の民間試験です。直前まで「やる」と言っていたのですが、萩生田さんの発言が国会で問題になって来たときに、「延期します」と。昨日まで問題ないと言っていたのにと思いますが、これはある種の危機管理です。そして国会の争点から上手く外す。参議院選挙前にもありましたが、老後に2000万円の貯蓄が必要だという文書が出ました。正式なものではありませんでしたが、これもなかったことにしてしまいましたよね。そこは選挙でも最大の争点になる部分で、年金というのは野党の攻めどころですからね。今回も来年(2020年)はやらないで、議論しようと。議論するという結論は正しいのですが、危機管理上なかったことにするのが特徴として出ているなと思いました。なかったことにするのは、国会の争点化を避けることにはなりますが、本質的な解決にはなりません。

桜の会、招待基準見直しへ  野党が国会内で開いた桜を見る会を巡る追及チームの初会合=2019年11月12日午後 写真提供:共同通信社

「桜を見る会」問題を使って野党同士の結束を図る

鈴木)それから、野党をいま取材していますが、統一会派をつくって今国会でやっている。小さいところで揉めたり、メディアによっては数合わせだという批判も相変わらずあります。枝野さんは原理主義的なところがありますが、取材していると、今回は枝野さんも腹を括っている感じがします。小沢一郎さんが年内に1つの政党に、というようなことを言いましたが、実際に野党が1つの政党になって、次の選挙に向かっている空気をいろいろなところで見かけます。「桜を見る会」の問題は、野党が1つになって行く大義になるので、安倍政権はそこを考えていたのではないかと思います。「桜を見る会」辺りから、枝野さんが「選挙があるかもしれない」と言い出したでしょう。選挙があるということは、裏を返せば野党が早く選挙区調整を含めて、1つにならなければいけないという意思なのです。時間を設定することで、少しスピードが出て来るわけです。「桜を見る会」という最大の関心事を、野党の結集に使おうという考えが見えます。

飯田)しかも、この発端は共産党の質問からでした。

【第4次安倍再改造内閣】記念撮影に臨む新閣僚ら 前列左から、赤羽一嘉国国土交通相、茂木敏充外務相、安倍晋三首相、麻生太郎副総理、財務・金融相、高市早苗総務相 2段目左から、 田中和徳復興相、衛藤晟一1億総活躍・沖縄北方相、橋本聖子五輪・女性活躍担当相、河野太郎防衛相、竹本直一IT・ 科学技術相 3段目左から、江藤拓農林水産相、河井克行法務相、菅義偉官房・拉致問題相、 加藤勝信厚労相、北村誠吾地方創生相 4段目左から、小泉進次郎環境相、武田良太国家公安委員長、菅原一秀 経済産業相、西村康稔経済財政・社会保障改革相、 萩生田光一文部科学相 5段目左から、近藤正春法制局長官、岡田直樹官房副長官、西村明宏官房副長官、杉田和博官房副長官=2019年9月11日午後、首相官邸 写真提供:産経新聞社

流れをつくろうとする野党の機先を制する政局的な判断

鈴木)そこにみんなが乗っているという雰囲気も、いままでとは違いますよね。いままでは共産党から少し距離を置いて見ていた感じだったのが、1つになっているのは先を見据えて、上手くこれを使おうとしていたのではないでしょうか。逆にここでなかったことにするというのは、野党の機先を制するという、違った次元の権力闘争が見えます。来年はやらないと言っていますが、野党はいろいろな追及をするでしょう。その追及の具合と、その先に野党が1つになる流れができるのか。政権としては、それをどうかわすのかという展開になるでしょう。

飯田)大臣の首をすぐにすげ替えたりすることと並んで、決断の早さを見てしまうのですが、この決断が野党の機先を制する政局的な判断なのですね。

鈴木)それがかなり大きいと思います。閣僚の辞任は世論の関心でしょう。そういう意味で、「桜を見る会」の話題にもついて来ていた。これを使うのが枝野さんの狙いで、ここで来られるとまずいというのが政権の判断。かなり高いレベルの権力闘争のにおいがします。

飯田浩司のOK! Cozy up!
FM93AM1242ニッポン放送 月-金 6:00-8:00

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