旧民主党政権時はどうだったのか?〜「桜を見る会」野党追及の違和感

ニッポン放送「ザ・フォーカス」(11月14日放送)に元外務省主任分析官・作家の佐藤優が出演。「桜を見る会」の中止について解説した。

総理主催の、桜を見る会が来年度は中止されることが決まり記者団の質問に答える安倍晋三首相=2019年11月13日午後、首相官邸  写真提供:産経新聞社

「桜を見る会」官邸、与党に推薦依頼

政府が来年の開催中止を決めた総理大臣主催の「桜を見る会」での招待基準に関して、大西証史内閣審議官は14日の参議院内閣委員会で「長年の慣例で官邸、与党内にも推薦依頼をし、内閣官房、内閣府で取りまとめた」と説明した。

森田耕次解説委員)14日の参議院内閣委員会では政府が来年2020年の中止を決めた総理主催の「桜を見る会」をめぐり、野党は第二次安倍政権以降規模が膨張した経緯など、過去の開催状況を追及しました。このなかで大西証史内閣審議官は招待基準について「官邸、与党内にも推薦依頼をした」と説明しました。共産党の田村智子参議院議員とのやり取りです。

 

大西)内閣官房につきましてはまさに各省庁のうちの1つという位置づけもございますので、事務的に推薦依頼を行った上で提出された推薦者につき取りまとめを行っているということでございます。

田村)総理の推薦の仕組みがあったということでしょう。

大西)これは長年の慣例で行われている行事でございますので、お伺いを立てていたということでございます。

田村)総理はよくこの仕組みをご存じだったのではないかと。

大西)あらかじめご指摘のような枠といったような考え方があったわけではございません。

 

森田)政治家の推薦枠があったのかということについては、「厳密な意味での枠ではない」という釈明をしております。今後、総理の事務所がどのような基準で招待客を推薦したかなどが焦点となってきそうなのですが、「桜を見る会」そのものについて菅官房長官は14日の記者会見で「現時点で廃止は考えていない」と述べています。

桜を見る会の佐藤栄作首相=1965年4月 写真提供:産経新聞社

「桜を見る会」は伝統のある重要な外交行事

佐藤)「桜を見る会」自体はすごく重要な外交行事なのですよ。日本にいる各国の大使に来てもらって、日本の文化人や有識者と桜を見ながら政治家と話をして日本について知ってもらうというので、意義のある行事なのですよね。確かに政治家の推薦は日常的にやっていましたし、各役所も「こんな人がいいんじゃないか」と言っていたと思いますよ。共産党の国会議員が追及していましたが、共産党は主催する側に回ったことがないから追及することができると思うのだけれど、違和感があるのは民主党のときに政権の側にいた人たちも、自分の関係者を招待していなかったのかな、と思うのです。ただ、安倍政権になって政権が長く続くと行きたいと言う人はどんどん増えてくるのです。権力で雪だるま状に増えてきて、それでいつの間にか数や予算が増えることになると、国民は納得できません。

森田)総理の支援者が多数招待されるということで後援会がツアーを開いていて、それと「桜を見る会」は別物なのですけれども。

佐藤)前夜祭でやっているというのは、一応会費も取っているし、そこのお金は国費が流れているわけではないですからね。

森田)ですから、法的に問題があるかというと、そこは違う気がしますよね。

佐藤)ただ、例えば何となく自分の知っている人を連れて来てあげるというのが10人なのと1000人なのでは随分と違いますからね。この機会にこの辺のルールを明確にして「桜を見る会」自体は外交的な意味合いが大きいですから、続けて欲しいです。

森田)1952年から行われているものですものね。

「桜を見る会」で安倍晋三首相、昭恵夫人と記念撮影する招かれた人たち=2019年4月13日午前、東京・新宿御苑 写真提供:産経新聞社

争点化を避ける特徴のある現政権

佐藤)安倍政権の特徴で思うのですが、やばいことがあると争点化を避けるためにすぐにやめてしまいます。

森田)対応が早いですよね。

佐藤)これを危機管理と言ったらいいのか、スピンコントロールと言うべきなのか、その辺りの評価は難しいです。

森田)確かに野党は予算や参加人数の肥大化、招待基準の不透明というところで、総理を出して予算委員会を開けと言っていますが、ここで国会が止まるようなことになってしまっても問題です。

佐藤)私もそれには賛成で、褒められたことではありません。しかし、国を揺るがすようなかつてのロッキード事件やリクルート疑惑、佐川急便事件のようなこととは違いますよね。

森田)ツアーや前夜祭にしても、2014年の小渕優子さんのときには政治団体が支持者向けの観劇会の一部費用を負担していました。これは政治資金規正法違反の疑いが浮上しました。そことは違いますよね。

佐藤)あのときは関連しているコンピューターのハードディスクにドリルで穴が開いていたという話もついてきました。そうすると大分雰囲気が違いましたが、その種のこととは違うと思うのですよね。

森田)ですから、ちゃんと総理も説明できるだろうと思うのですけれどね。

桜の会、招待基準見直しへ  野党が国会内で開いた桜を見る会を巡る追及チームの初会合=2019年11月12日午後 写真提供:共同通信社

旧民主党政権のときにはどうだったのかという問題

佐藤)あとは旧民主党の人たちに聞きたいのが、自分たちのときはどうだったのかということです。「我々のときもかなり恣意的にやっていましたけれども、いまの総理は行き過ぎなので、与野党を超えてルールを明確化しましょう」と言うのだったら、すごく説得力があると思うのです。しかし、「お前が絶対に悪い」と言ったら自分たちに返ってきますし、こういう攻撃は国民にも何となく透けて見えてしまうと思うのですよね。

森田)来年はこの「桜を見る会」は中止ということですが、外交的には復活させた方がいいということですね。

佐藤)ものすごく大変なことでも起きたのか、と思われてしまいますよね。それこそ政権を揺るがす事態なのかと思われます。

森田)今度は復活させるタイミング、基準が来年以降は問題になってくるかもしれません。

 

ザ・フォーカス
FM93AM1242ニッポン放送 月-木 18:00-20:20

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