BRICSに行っても香港のことを語る習近平氏の胸中

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(11月15日放送)に外交評論家・キヤノングローバル戦略研究所研究主幹の宮家邦彦が出演。ブラジルで行われた新興5ヵ国(BRICS)首脳会議のニュースについて解説した。

ロシアのプーチン大統領(中央)ら新興5カ国(BRICS)首脳=2019年11月13日、ブラジリア(タス=共同) 写真提供:共同通信社

BRICS首脳宣言〜パリ協定の履行の決意を示す

BRICSとはブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカの新興5ヵ国を指す造語だ。頭文字をとってBRICSというように並べている。ブラジルの首都ブラジリアで行われていた2日目の新興5ヵ国(BRICS)首脳会議は14日、アメリカを念頭に多国間主義の強化や、開かれた自由な国際貿易の重要性を強調する首脳宣言を採択した。首脳宣言は、アメリカのトランプ政権が国連に離脱を通告した地球温暖化対策の国際枠組み、パリ協定の履行への決意も示したということだ。

飯田)首脳宣言の中身に関しては、前々から言われていたところでもあります。

宮家)そうですね。BRICSという言葉は10年以上前に、アメリカの証券会社が作り出したものだと思いますけれども、確かにあのころは勢いがありました。しかし、いまはどうですか? ブラジルは混乱しているし、ロシアもあんな状態で、インドは頑張っているけれど、中国はアメリカと大喧嘩している。南アフリカもそこそこという感じで、いずれも昔の勢いはありません。昔は経済成長が見込めるので、世界のお金がBRICSに入って行った時代、伸びた時代です。しかし、いまここで金の流れが一巡しアメリカがああいう形になっているときに、BRICSがどこまで結束できるのか、曲がり角に来ているのではないでしょうか。

中国の習近平(しゅう・きんぺい)国家主席(右)は4日、上海でギリシャのミツォタキス首相と会見した(上海=新華社記者/謝環馳)=2019(令和元)年11月4日、クレジット:新華社/共同通信イメージズ 写真提供:共同通信社

首脳宣言よりも習近平国家主席の言動に注目が集まる

飯田)報道のされ方も首脳宣言云々より、参加した習近平国家主席が何を言ったかというところに注目が集まっていますものね。

宮家)香港についても言っているのですよね。しかし、BRICSに行って香港のことを言っても仕方ないでしょう。よほど香港が気になっているということです。私が9月に香港に行ったとき、いまの状況は日本の60年安保、70年安保にそっくりだと思いました。案の定、最近、大学構内で衝突がありました。大学のなかには警察を入れないと、昔日本でも大学の自治などと言っていたではないですか。ますます状況が似て来たと思います。そうなると今後、学生は過激化して行くでしょう。香港の警察も酷いもので、威嚇もなくいきなり胸を撃つようになった。北京が徹底的にやれという意思を示したということだと思います。あの拳銃の撃ち方は、香港人ではないような感じですよね。

飯田)北京語を話す警察官が多くいると言われています。

宮家)この状況は、香港全体にとってもよくないと思います。もちろん、まだ多くの人が学生を支持していることは間違いないでしょう。しかし、では一体どこまで運動のモメンタムを維持できるのかと言うと、いま香港に行っても観光客はいない。金融業は大丈夫かと言うと、能力のある人はどんどんシンガポールなどに出て行っている可能性もある。香港経済にとっては決していい方向ではない。しかし、彼らには観光とビジネス、それしかありませんからね。このまま行くと過激な学生たちが孤立化して人心が離れ、中国の思うツボとなります。中国は、ここで介入などしようものなら、天安門パート2になってよくないので、できるだけ「現地化」したいと思っているでしょう。ローカライゼーションですよね。大学にこもるのはいいですけれど、そのあと包囲されて過激化すれば、日本の全共闘と同じです。ああなるのではと思って非常に心配しています。悪い方向に向かって過激化が進んでいていけば、香港の将来にはよくないですね。

飯田)そうなると1国2制度という、そのものの選択が。

宮家)中国の思うつぼですよね。1国1.5制度から1制度にしようと思っているのでしょうね。

飯田)これを横目で見ているのが台湾です。

宮家)ええ。しかし我々も、これで混乱が続いていいのかということを考えなくてはいけないのです。やはり、香港では民主主義が残って貰わないと困りますから。

飯田浩司のOK! Cozy up!
FM93AM1242ニッポン放送 月-金 6:00-8:00

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