日本の「全共闘」のプロセスに似る香港デモ〜その相似点

日本の「全共闘」のプロセスに似る香港デモ〜その相似点

香港デモ"全共闘"と共通点も

ニッポン放送「ザ・フォーカス」(11月21日放送)に元外務省主任分析官・作家の佐藤優が出演。香港民主化デモについて解説した。

全共闘の投げつけた火炎ビンで燃え上がる京大本部の正門 撮影日:1969年6月  写真提供:産経新聞社

学生たちが過激化して市民の共感が無くなった全共闘

森田耕次解説委員)香港の反政府デモですが、香港理工大学を占拠したデモ隊と警察隊との衝突に絡んで、これまでに学生ら1230人以上が逮捕されたと。籠城するデモ隊の数は大幅に減少して、事実上制圧されたという状況になっているようですね。

佐藤)日本の例で言うと、1968年、69年の全共闘運動に似ていますね。1960年の安保闘争は全国民的な盛り上がりを見せ、当時の岸内閣が倒れるということになりました。68,69年の全共闘ではなぜそうならなかったのかというと、学生たちが過激化したからです。最初の投石くらいの間は学生たちの行動に意義があると思ったのですが、それが火炎瓶に変わってきた辺り。そして、内ゲバで攻撃し合う話になると、市民の共感がなくなりました。更に、追い詰められて爆弾闘争に走る、リンチ殺人ということになって完全に遊離してしまうということと似たプロセスですね。爆弾、殺人、リンチまではいかないけれど、大学で追い詰められて火炎瓶なんかを投げる、あるいは弓矢のような殺傷能力のある武器を使う。これによって一般市民のなかでついていけないという感情が広がります。市民は安定を望んでいる状況のなかで、どうにも中国当局有利に進んでいると思います。

香港理工大前の路上で、大学に突入しようとする警察車両に火炎瓶を投げる若者たち=2019年11月17日夜、香港(共同) 写真提供:共同通信社

森田)デモ隊のなかでも休戦を訴える動きが出てきているようですが、24日に区議会選挙があるので、あまり過激になり過ぎると選挙にも影響するという見立てもあるようです。反中国の市民感情を追い風に民主派の躍進が確実な情勢になっていますので、ここでデモが過激化してしまうと、林鄭月娥行政長官が暴力を理由に選挙を延期してしまうこともあり得ます。

佐藤)ただ、それができるかどうかなのです。しっかりとしたリーダーがいて統制が取れていれば、こういうことにはならないのです。もしも暴力対暴力になれば、片方は国家ですから勝てるはずがないのです。ですから、これは指導者不在で生じていることですよね。

森田)確かに学生のデモ隊にはずっとリーダーがいないということが言われていました。

佐藤)リーダー不在の状況だから過激化するのです。日本の学生運動も、しっかりとしたリーダーがいるときはそんなに過激化しないのですよ。

拘束されていた井田光さんが帰国

森田)それから、理工大学の近くで逮捕されて釈放された東京農業大学の井田光さんは20日夜に羽田空港へ到着したようですが、取材で「詳しいことについては後日伝えたい。ご迷惑をおかけした。疲労はある」と話したそうです。無事でよかったですが、危険な状況でした。

佐藤)特に同じ東洋人で顔つきが似ていますから、白熱しているときにそういった場所へ近づくと巻き込まれる可能性がありますね。

ザ・フォーカス
FM93AM1242ニッポン放送 月-木 18:00-20:20

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