国民投票法改正案の採決が再度見送り〜露呈する日本の議会の“根本的な欠陥”

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(11月29日放送)に外交評論家・キヤノングローバル戦略研究所研究主幹の宮家邦彦が出演。国民投票法改正案の採決が再び見送られたニュースを受け、日本の国会の在り方について解説した。

自由討議が行われた衆院憲法審査会=2019年11月28日午前 写真提供:産経新聞社

国民投票法改正案の採決、また見送り

衆議院の憲法審査会は28日、ヨーロッパ視察の報告を踏まえた自由討議を行った。今国会3回目の自由討議で、憲法改正をめぐる国民投票時のインターネット広告の規制などについて意見を交わした。なお、国民投票法の改正案の採決はこの日も見送られた。自民党の佐藤憲法審査会長は審査会議の後、改正案の実質審議が1度も実施されていない現状について、記者団に「異常な状態」と苦言を呈している。

飯田)一方で、国会そのものは「桜を見る会」云々の話のなかで、これから空転するのだと。

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」

議会を妨げる党議拘束の問題

宮家)異論があるかもしれないけれども、私は日本の議会の根本的な欠陥が露呈していると思っています。日本の議会は1日に数億円もかかっています。国会が空転すれば、それだけの税金が無駄になるのですよ。こんなことは許されません。では何が問題かと考えてみると、もちろん各国の議会にはいろいろな歴史があって経緯があるから、「こちらがいい、あちらがいい」と言うつもりはありません。しかし、ないものねだりで言えば、まずは日本の「党議拘束」の緩和です。ある党が賛成、反対と決めたら、そのまま投票する、これが日本ではあまりにも固いのですよね。党議拘束は、たまにしか外さないでしょう。逆に、アメリカでは党議拘束は例外的です。各議員はよく考えて投票し、投票結果を全部記録に残し、それを有権者が判断する。これが選挙の基本です。

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」

議事妨害

宮家)党議拘束の次の問題は、野党の抵抗手段で、ここではアメリカのフィリバスターという概念をご紹介します。議事妨害という意味で、要するに、誰も聞いていない夜中の議場で議員が1人で演説しているわけです。なぜなら議事を引き延ばすことができるから。日本で言えば牛歩、もしくは国会空転なのだけれども、それを各委員会ですることができる。なぜそれができるかと言うと、他の委員会の議論を守りたいからです。1つの問題があったら議会の審議を全部止めてしまうというのはおかしいのです。日本にはこういう党議拘束の緩和や、フィリバスターといった手段などがないから、ある意味では議会の野党が行政府に抵抗するには国会全体を空転させるしかないのですよ。

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」

働き方改革で最初にやるべきは日本の議会

宮家)しかも国会議員というのは、アメリカであれば本来はスタッフが10人〜20人います。彼ら議員はローメーカーと言われているように、「法律を作る人」たちなのです。しかし日本でローメーカーと言ったら、役人ではないですか。そうではないのです。日本の国会議員はもっとスタッフをたくさん持って、自分で法案をつくり、出すべきです。官僚に頼っていてはダメなのです。それをやるためには回転扉といって、政治任用者を増やし、それを議会が取り込んでスタッフにして法律をつくり、行政府と真剣勝負でやる。もう少し個々の委員会で独立してやれるようにして、他の委員会での議論を守る形にして、国会全体できちんと議論が進むようにする。それが当たり前だと思うのです。しかし日本の議会は設立以来、何も変わっていないではないですか。働き方改革で最初にやるべきは、日本の議会だと思います。それをすることで何が最も大きく変わるかと言うと、役人の働き方が変わるのです。徹夜で国会答弁のための書類をつくらなくてよくなりますからね。そうしたら、その人たちは少なくとも寝ることができる。そして頭を使うことができるのですよ。僕なんて外務省に27年居たけれど、体力しか使ったことがないから。

飯田)体力しか。そうですか。

宮家)知力なんて関係ないのです。驚くべきことに、そういうことをいまだにやっているのですよ。

飯田)国会改革については昔から言われていましたけれど、ほとんど変わらない。

宮家)党利党欲があるために変わらないですよ。しかし、ここは変えるべきだと思います。

飯田浩司のOK! Cozy up!
FM93AM1242ニッポン放送 月-金 6:00-8:00

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