日本の15歳読解力が世界15位に〜ネットリテラシーを子どもにどう教えるか

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(12月4日放送)にジャーナリストの佐々木俊尚が出演。経済協力開発機構(OECD)が発表した国際学習到達度調査結果について解説した。

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」

日本の15歳読解力が世界15位に後退

経済協力開発機構(OECD)は3日、世界79ヵ国地域の15歳を対象に2018年に実施した、国際学習到達度調査の結果を発表した。日本は科学と数学でトップレベルを維持したものの、課題となっている読解力が3年前(2015年)の8位から過去最低の15位に後退している。

飯田)各紙1面で取り上げています。

佐々木)「新聞を読まないからこうなった」と言いたいのではないでしょうか。

飯田)私もそう思いました。

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パソコンに慣れていないことも一因

佐々木)日経新聞の記事では、OECDのシュライヒャー教育・スキル局長のコメントが載っていて、「日本の生徒はデジタル時代の複雑な文章を読むのに慣れていない」と語っています。2015年の調査までは、紙に手書きで回答するものだったのが、パソコンで入力する方式に変更された。文部科学省も、日本の生徒がパソコンなどの機器の操作に慣れていないことが影響した可能性があると言っています。日本では、学校でようやく1人1台パソコンを使うかという議論が始まりました。未だに教科書もノートも紙です。IT機器に慣れていないというのは、確かにそうなのかなと思います。

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ネット上の記事を読む人とそうでない人の二極化が進む

佐々木)それとSNSの短い文章に慣れてしまい、長い文章の読解力が低くなっていることもあるのではないでしょうか。インターネットにはニュース記事やブログ、専門家の論考など、長文が転がっています。こういう時代においては、読まない人は読みません。自分の見たいものだけしか見ないという「たこつぼ化」もあります。しかし読もうと思えば、自分と違う意見もたくさん読むことができます。全体の読解力が落ちるというよりは、二極化が進んでいるのではないかと思います。

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新聞1紙だけ読むより、インターネットの記事を読む方が知識は深まる

佐々木)新聞は、SNSより文章は長いかもしれませんが、ものの見方は一面的です。朝日新聞しか読んでいなければ、朝日新聞的なものの見方になります。新聞は深く突っ込んでいるように見えて、そこそこに浅いのです。文章もそこまで長くありません。社会面トップ記事は面積が大きいので長く見えますが、1行11文字で60行〜70行だから、700字程度です。それに比べて、ブログなどでの専門家の論考は3000字くらいのものが普通にあります。東洋経済やダイヤモンドなど、経済誌系の原稿もそのくらいあるので、深さで言うとニュースメディアや専門家のブログなどの方が、よっぽど深いと思います。そういう記事を読んでいる方が、新聞だけ読むより、知識は深まります。しかも、いろいろな意見を同時並列で読むことができる。いまの時代はインターネットを読み込むことができれば、いくらでも知を深められます。

飯田)1面から始まる記事を読むより、なかにあるオピニオン記事などを並列的に読むと面白かったりします。

佐々木)新聞でもオピニオン面では、複数の論者を出してそれぞれ長い記事を載せている。あれは面白いです。毎日新聞の特集ガイドなどは、長い記事を載せていていいと思います。結局いまの時代は、努力して知を深めようとしている人には門戸が開かれていますし、そう思わない人は何も進化しない。そういう両極端な時代になっています。

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本当のネットリテラシーの教え方

飯田)ネットの面白さや活用法を教えるのが、本当の意味でのネットリテラシーの教え方かもしれません。

佐々木)そういうことを教えないと、さまざまな知が玉石混交に転がっている時代には、対応できないと思います。教科書を読んでいるだけでは、知は深まりません。ツイッターで脊髄反射で短絡的に怒っても、知は深まりません。そこからリンクを辿って、いろいろな見方をすることが大切だと思います。

飯田)読解力については、いろいろな切り口で意見をいただくのですが、“タディ”さんから。「国語学研究をかじった立場から言うと、いまの多くの子どもは、主語と述語をきちんと使った文をうまくつくれない子が多いと思います。その理由は、心理的距離が近いほど、言葉は省略されるもの。最近の子どもは心理的距離が近い人としか話をしない。そうすると、主語も述語も省略した言葉ばかりで日々を過ごします。これに加えてSNSを使う子どもが増えていますが、きちんとした文を書かなければならない相手とは、SNSなどを使って交流はしません。大人もさせません。結局、子どもを取り巻く環境が狭い世界になって行く。きちんとした文を書かなくても通じる環境に浸っているから、読解力も育たないのかもしれません」ということです。大人と話をしたり、年上と敬語を使って話さなければならないタイミングが減っている。

佐々木)そうですね。一方で、いいのか悪いのかは別にして、昔ほど敬語に気を使わなくてよくなった。例えば仕事でメールのやり取りをするときに、いちいち○○様と書かなければならないでしょう。

飯田)「お疲れ様です」とか。

佐々木)フェイスブックやLINEで仕事のやり取りをすると、前口上がいらない。用件だけで済むので、やり取りを効率よくしている面もあります。一長一短なのかなと思います。

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本を読むことは大切

飯田)読解力については、お子様のいる方の実感というのもあります。相模原市の46歳の奥様から。「我が家にも15歳の娘がいます。最近子どもはあまり本や新聞を読まず、全部スマホで済ませてしまっています。子どもに聞くと、ニュースなどは大きな見出ししか読まないと言うし、長い文章を読むことはほとんどないようです。物事を理解できない、飲み込めない、わからないのにわかったふりをするなど、悪影響がたくさん出ていると思います。本をよく読む子どもは読解力、想像力が豊富で、それが勉強にも活きて来ると思います。読解力には同時に集中力も備わって来るので、本を読むことを習慣にしたり、せめて1ヵ月で2〜3冊読めるように、学校でも読書の時間が増えるといいと思います」。

佐々木)本を読むのはとても大事です。AI対中学生のような本を書いた、新井紀子さんという国立情報学研究所の教授がいます。彼女はリーディングスキル、物事を読み解く力について、日本は識字率が高いから100人中100人が文字を読めますが、文章の意味を理解していない人が多いのではないかと言っています。簡単な物事を読み解くテストをやると、中学生は4割、高校生の3割は文章の意味をよく理解していません。いままでそういうことをあまり考えず、文字が読めればいいとされて来た。ところがAIの時代になると、読めるだけではAIに勝てないので、意味もわかるようにしなければなりません。

飯田浩司のOK! Cozy up!
FM93AM1242ニッポン放送 月-金 6:00-8:00

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