中国・王毅外相が韓国へ来た本当の目的

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(12月6日放送)に外交評論家・キヤノングローバル戦略研究所研究主幹の宮家邦彦が出演。韓国の文在寅大統領が中国の王毅外相と会談したニュースについて解説した。

中国・王毅国務委員兼外相が安倍晋三首相と会談した=2019年11月25日午前、首相官邸 写真提供:産経新聞社

韓国の文在寅大統領が中国の王毅外相と会談

韓国の文在寅大統領は5日、ソウルの大統領府で中国の王毅国務委員兼外相と会談した。文大統領は「現在、朝鮮半島の完全な非核化に向けた過程が重大な岐路を迎えている」と強調し、朝鮮半島での戦争を容認しないとする原則もあげ、中国側の積極的な支援を要請した。一方、中国の王氏は国際情勢について「強権政治の脅威を受けている」と述べ、アメリカのトランプ政権を批判している。

飯田)強権政治の脅威を受けていると。受けているのは、中国ということなのでしょうか?

日本の植民地支配からの解放を記念する「光復節」の式典で演説する文在寅大統領(韓国・天安)=2019年8月15日 写真提供:時事通信

中国が韓国・文在寅大統領とこの時期に会談を行う意味

宮家)中国も相当な強権政治だと思いますけれど。それはさておき、今回なぜこのようなことになったのか。中国外相の訪韓は4〜5年ぶりですよね。韓国はTHAAD(サード)というアメリカの迎撃システムを導入したことによって、中国に喧嘩を売った部分があります。もちろんその理由は北朝鮮のミサイルの脅威なのだけれど、THAADのレーダーを入れてしまうと、中国の軍事情報も十分見えてしまうのです。当然中国としては脅威だからそれを潰そうとして、去年(2018年)に3つのノーを意味する、三不政策…THAADを導入しない、日米韓の同盟をやらない、ミサイル防衛にも参加しないということを韓国に求めて来た。韓国は一応、それに同意したことになっていた。ところが、今回中国は、韓国が当然GSOMIAを破棄するのかと思ったら、何と土壇場で延期した。中国側は「何だこいつら、話が違うではないか」ということで、韓国にねじを巻きに来たのではないですか? 韓国の方も文在寅外交はうまく行っていませんし、北朝鮮にはコケにされている。だから中国と連絡を取りつつ上手くバランスを取るという、やじろべえ外交をやっているのでしょう。

飯田)韓国は今後も、フラフラとやじろべえを続けることになるのですか?

THAADミサイルの発射(THAADミサイル-Wikipediaより)

南北朝鮮に対して絶好のポジションにいる中国

宮家)彼らは「フラフラしている」とは思っていませんけどね。文在寅政権は微妙なバランスを上手く取っていると思っているので、恐らく今回も中国に対し積極的な支援を要請した。「これからも北にきちんと圧力をかけてね」ということなのですけれど、中国はそんな圧力をかけるわけがありませんからね。中国はいま絶好のポジションにいるのです。彼らとしては、最終的に在韓米軍がいなくなって、米韓同盟がなくなり、西洋の勢力が大陸からなくなる。ついでに日本の本土や沖縄からも米軍がいなくなって欲しいと思っているのですから。中国の伝統的な影響権を取り戻そうということでしょうね。世界制覇ではないですよ。そうすると「目の上のたんこぶ」は、アメリカの在韓米軍ということだから、当然韓国に対しては厳しく行きますよ。北朝鮮もいま中国が支援していなかったら、絶対に生き残れないですからね。要するに中国は、北に対しても影響力を持ち、南に対しても揺さぶりをかける。そうすると、今後も中国のペースで物事が動いて行く恐れがあるので、非常に危険だと思います。

飯田)日本にとって考えると、どうなりますか?

宮家)よく言われることだけれど、38度線から対馬海峡まで防衛線が下がってしまうという事態、考えたくはないけれど、可能性としては考えなくてはいけない。それを現実のものにしないように、日本は努力しなくてはいけないと思います。

飯田浩司のOK! Cozy up!
FM93AM1242ニッポン放送 月-金 6:00-8:00

関連記事(外部サイト)