イランのロウハニ大統領が来日へ〜日本の存在を示すチャンス

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(12月6日放送)に外交評論家・キヤノングローバル戦略研究所研究主幹の宮家邦彦が出演。イランのロウハニ大統領の訪日について解説した。

26日、米ニューヨーク市内のホテルで記者会見するイランのロウハニ大統領=2019年9月27日 写真提供:産経新聞社

イランのロウハニ大統領が来日

日本とイラン両政府は12月後半に、イランのロウハニ大統領が安倍総理と会談するため来日する方向で調整に入った。アメリカとイランの対立で緊張が高まる中東情勢を巡り協議をすると見られている。また、安倍総理は2020年1月中旬、サウジアラビアやアラブ首長国連邦(UAE)など中東諸国への訪問を検討している。

飯田)イランの大統領が来日となると、2000年10月のハタミ大統領以来、およそ19年ぶりだということです。

宮家)イランと日本の思惑を考えましょう。まず、イランは一見、外交をきちんとやっているように見えるけれど、国内は火の車だと思います。やはり経済制裁が効いているのでしょう。国内では不満が高まっていてデモもあり、政権は相当追い詰められている。アメリカと核合意を結んで、「核開発はある程度の制限を受けるけれど、経済制裁はなくなるのだからイラン国民の生活はよくなるのだ」と、穏健派のロウハニさんは言って来た。ところが今は「話が違うではないか」となっているのだから、話を違わないようにしなくてはいけない。しかしそうは言っても、外遊といっても行けるところは限られています。アメリカに行ってもだめでしょう。ヨーロッパとも、いまは関係が悪くなっています。だから日本がいいということになる。恐らく中国にも行くと思います、中国がこの機会を逃すはずがないので。私がイランの大統領だったら、日中に行くかなという感じです。日本側から彼を呼ぶタイミングとしては、今は非常によいと思います。日本が存在感のようなものを示すにはちょうどいいでしょう。イランの人たちといろいろ話をするだけで、「日本がまた動いている。何をやっているのだろう、ちょっとこれは無視できないな」と諸外国に思わせることができるので、それだけで意味があるわけです。

共同記者発表を終え、握手するイランのロウハニ大統領(右)と安倍首相=2019年6月12日、テヘラン(共同) 写真提供:共同通信社

ヨーロッパもアラブ諸国も乗り気でない今回の有志連合〜日本の選択は悪くない

宮家)もう1つ大事なことは、例のホルムズ海峡の有志連合をどうするかということです。いまの対応ぶりは、「有志連合には入らないけれども、調査・研究などで出して、日本は独自に動きます」という対応。もともとあの地域に日本はジブチを中心にいるわけですから、その一環にすぎませんよと。具体的にどういう説明をするかは別として、こんな感じでしょう。一方、アメリカはアメリカで一体何をやりたいのかよくわからない。いままでのアメリカだったら、こんなことにはならないのですが。結局今回は、国防省や国務省の事務方が中心となってやっているわけです。方向性がしっかりしているようでいて、実際はよくわからない。ヨーロッパも有志連合はイギリスしか乗っていないし、アラブ諸国でも一部だけです。その意味で、今回の「有志連合は」いままでとはまったく違う有志連合なのです。

米主導有志連合が本格始動 米主導の有志連合の司令部発足式典に出席する関係者ら=2019年11月7日、バーレーン・マナマ(ロイター=共同) 写真提供:共同通信社

日本の船舶をホルムズ海峡近辺に出す名目は説明できる

宮家)日本にとって、ホルムズ海峡での船舶の安全航行が確保されることは大事ですから、日本が全く行かないというオプションはない。しかし、今回のような独自の動きができる余地を増やしておくというのは、悪い選択ではないと思います。それでもいろいろ反対論を言う方がいらっしゃるとは思います。たしかに自衛隊を出す以上は、ROE(交戦規定)をしっかりしてあげないといけない。いろいろなことが起こり得るし、当然関係国にも難しい説明が必要になるわけです。それを今回首相自身が直接説明に行くということであれば、決して悪いことではありません。むしろいいタイミングではないかと思います。

飯田)調査研究という名目で出すと、調査と研究で行くのだから、基本的に。

宮家)調査研究をするのですよ。

飯田)正当防衛以外では武器の使用はできない。

宮家)しかし、こういう形でロウハニ大統領を日本に呼んで、「我々はこういう感じで自衛隊を出すのです」としっかり説明する。相手がどのくらい理解するかは別としてですが…。また、安倍総理は他のアラブ諸国にも行くのでしょう? だから誤解はないと思うのですけれどね。「日本の船がここに来ているのは当然だ」と理解してもらえれば万々歳なので、今回はそれなりに考えられた政策のような気がします。

飯田)ここから先は、具体的にどうするかというところなのですけれども。結局、いま日本に物資を運んで来る船は、日の丸を掲げている船はほとんどない。

宮家)船籍の話でしょう?

飯田)ええ。日本籍ではない船が多い。そしてさらに言うと、なかで働いている人たちも外国の人が多い。日本の会社が保有しているということもあるのだけれど、それを日本の船として艦船を守ることができるかという…。

宮家)日本の利益が関わっていれば、もちろんできます。

飯田浩司のOK! Cozy up!
FM93AM1242ニッポン放送 月-金 6:00-8:00

関連記事(外部サイト)