日本のエネルギー問題は小泉進次郎環境大臣が決めることではない

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(12月12日放送)にジャーナリストの鈴木哲夫が出演。日本における石炭火力発電の問題について解説した。

フロン類の適切な回収・処理に向けた国際枠組みの設立を宣言した小泉進次郎環境相(左から4人目)=2019年12月10日、スペイン・マドリード 写真提供:時事通信

小泉進次郎環境大臣がCOP25で演説〜石炭対策については発言せず

スペイン・マドリードで開催中の気候変動対策について話し合う国連の会議、COP25の閣僚級会合で11日、日本の小泉環境大臣が演説した。小泉大臣は世界各国から批判が出ている日本の石炭火力発電について、「世界的な批判は認識している。いま以上の行動が必要だ」と地球温暖化対策への重要性を強調したものの、「残念ながらきょうは新たな進捗は共有できない」と発言し、具体的な石炭の削減策については示さなかった。

飯田)当初は逃げずに説明した上で、日本の取り組みをアピールしたいと話していたということです。

宮原坑 第二竪坑巻揚機室と第二竪坑櫓(福岡県大牟田市宮原町・国の重要文化財及び史跡)(三井三池炭鉱-Wikipediaより)

エネルギー政策は環境省ではなく政権が決める

鈴木)小泉進次郎さんは、いままでの大臣とは異なり、スパッとした物言いで言ってくれるだろうという期待があるので、このように反対の結果になると「何だ」と批判になりますよね。彼は環境大臣ですが、エネルギー政策はすべて環境省が決めるわけではありません。経済産業省や産業界の意見も関わって来ます。つまり、ときの政権が決めるということになるので、彼は決められません。そういうなかで、どこまでアピールするのかという点では、確かに少し弱いなという印象が残ったのかもしれません。日本はいま、石炭の火力発電に3割ほど重きを置いている。そこで燃やせばCO2が出るので、そのことをいま批判されていますよね。今回のCOP25でもこの部分が問題であり、デモなどでも日本が名指しされている。実は、私は石炭担当記者でした。

飯田)そうなのですか。

鈴木)福岡県のテレビ西日本というところにいました。私がこの世界に入った37〜38年前、入社してすぐに有明炭鉱というところで事故があり、83人の方が亡くなりました。

飯田)そうだったのですね。

鈴木)国内の炭鉱は事故が多くありました。日本の場合は露天掘りではなくて、地底深く掘って行きます。

飯田)横ではなく縦に掘る。

鈴木)そうです。そのため事故も多く、有明の事故もあった。そのため国内の石炭を縮小して、石油に移行するという流れのなかにあったのですね。事故がある度に「石炭は終わりだ」と言われました。第9次、第10次石炭政策という、石炭がいよいよ終わるというときにも私は取材をしました。そんな経験があるので、「ここに来てまた石炭が」と思うのです。いま石炭が必要となっても、国内の地底を掘って行くのでお金がかかります。それよりも海外の露天掘りの石炭の方が安い。しかし、そういう石炭は質がよくありません。日本の石炭のほうが質がいい。CO2に影響はしますが、そういう安いものに変えて行く。かつては石炭から石油にシフトし、そして原発にシフトしました。そこで原発事故があったので、また石炭に戻った。日本の坑内掘りをすれば質のよい石炭があるのですが、1度水を入れて潰してしまうと、もう1度掘り出すまでに10年かかります。

飯田)10年ですか。

鈴木)ですので、設備投資もできません。歴史を見るとエネルギー政策は場当たり的で、そのときの経済状況や経済効率を考えて、石炭から石油、石油から原発へと変わり、事故が起これば石炭に戻す。その石炭はお金がかかるため、海外の安いものを使う。そうするとCO2の問題が出て来る。

チリのチュキカマタ銅山(露天掘り-Wikipediaより)

今後日本のエネルギーをどうするのか、根本的に考える時期である

鈴木)私はエネルギー政策というものは、場当たり的にするのではなく、原発の比率の問題なども含めて考える時期に来たのだと思います。進次郎氏がどこまで話したとか、話さないだとか、よく言ったとか言わないという話ではない気がします。今後どうするのかということを、国会は本気で議論するべきなのだと思います。

飯田)環境省の所管ではないと経済産業省はおそらく言うでしょうが、国会議員も交えて話し合うべきですよね。

鈴木)そのとおりです。経済産業省はエネルギーというよりも、そこに企業を束ねているわけです。産業界、経済界と国民を全部含めて、日本のエネルギーをどうするのか。国会は時間をかけて議論をして、方向性を決める時期に来ているのではないでしょうか。そうしなければ、また何かの穴が空いてしまい、それを他のもので埋めようという場当たり的なやり方になってしまいます。長期計画よりもさらに先の、日本のエネルギーをどうするのかということが大切です。

飯田)原発が動かせないから再生可能エネルギーだと、一気に太陽光発電にシフトをしたら、この間の台風で太陽光発電のパネルが流されてしまった。そして、そこから発火するというリスクも出て来た。どれかに傾斜して進めるというのは、リスクを負うということですよね。

飯田浩司のOK! Cozy up!
FM93AM1242ニッポン放送 月-金 6:00-8:00

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