全国初 ヘイト対策条例 川崎市で成立〜東京五輪に向け日本の名誉と尊厳を

ニッポン放送「ザ・フォーカス」(12月12日放送)に元外務省主任分析官・作家の佐藤優が出演。川崎市のヘイトスピーチ対策条例成立について解説した。

川崎市の差別禁止条例 ヘイトスピーチ、犯罪に  JR川崎駅前で差別禁止条例の成立を訴える人たち=12月7日 写真提供:共同通信社

“ヘイト法”施行3年経過も根絶せず

ヘイトスピーチ対策として、全国で初めて刑事罰を盛り込んだ差別禁止条例が12日、神奈川県の川崎市議会で成立した。2016年にヘイトスピーチ対策法が施行されてから3年経っても根絶していないとして、具体的に禁止行為を示し、実効性の確保を狙う。

森田耕次解説委員)ヘイトスピーチとは憎悪表現や差別表現と訳されますが、日本では2016年にヘイトスピーチ対策法が施行されています。ただ、それから3年経ってもヘイトスピーチが根絶していないということで、全国で初めて刑事罰を盛り込んだ差別禁止条例が12日、川崎市議会で成立しました。具体的に禁止行為を明示しておりまして、罰則規定も含めた全面施行は2020年7月1日です。条例は道路や公園といった公共の場で拡声器を使ったりビラを配ったりして、日本以外の特定の国や地域の出身者に差別的な言動をすることを禁止すると規定しました。具体的としては居住地域からの退去や、身体への加害を扇動すること、人以外の物に例えて侮辱することも具体例として挙げられています。

佐藤)いわば言論の自由に対する1つの制限なのですが、こういう制限は設けられていいと思います。言葉というものは追い詰めて人を傷つけます。状況によっては言葉で追い詰められて死んでしまう人もいます。自分がどの民族出身であるとか、どの出身であるとかいうことは自分では選べないわけですよね。そういった属性で人を非難する、あるいは性別で非難することは全部いけないことです。そのなかで特に国際基準で見ても、いままで起きていなかったようなヘイトスピーチが起きています。なおかつ一律で刑事罰を定めるのではなく、川崎市は法律ができてから3年経っても現実に改まっていない問題があるので、これは現実的な対応だと思います。

森田)川崎の条例によると、違反した人については勧告をして、繰り返した場合には命令をすると。それでも従わない場合には氏名などを公表するということなのですが、こうした勧告や命令、公表の際には審査会を開いて意見を聞いて、表現の自由に配慮し慎重にやるということです。氏名公表と同時に警察や検察に刑事告発して、裁判で有罪が確定すれば50万円以下の罰金が科されるという規定を決めています。

佐藤)これが抑止になって欲しいと思います。

ローザンヌにあるIOC本部(国際オリンピック委員会 ? Wikipediaより)

東京オリンピックに向け、日本の名誉と尊厳を守る必要がある

森田)来年は東京オリンピックがありますが、オリンピック憲章のなかにも「いかなる種類の差別も許されない」と入っているわけですよね。

佐藤)これは非常に重要なことだと思います。とにかく日本が名誉と尊厳を国際社会で獲得するためにも、根拠がない形での他の民族への誹謗中傷はやめなければいけません。

森田)海外などではヘイトによる重犯罪や、テロに近いものも起こっています。

佐藤)実際に人類の歴史のなかではルワンダの内戦やユーゴスラビアのなかでのジェノサイド、古いところだとナチスドイツによるユダヤ人やロマ(ジプシー)の絶滅政策。これはみんなヘイトスピーチから始まっています。これはヘイトスピーチの段階できちんと止めておかないと、その先に進んでいくのですよね。ですから、軽く見ないことが重要だと思います。

ザ・フォーカス
FM93AM1242ニッポン放送 月-木 18:00-20:20

関連記事(外部サイト)