台湾総統選〜蔡英文氏への大きなプレゼントとなった香港の出来事

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(12月16日放送)にジャーナリストの須田慎一郎が出演。台湾総統選について解説した。

台北郊外の新北市で開いた選挙集会で演説する蔡英文総統=2019年12月1日 写真提供:産経新聞社

台湾総統選がスタート

14日から台湾総統選挙の選挙戦がスタートした。年をまたいで2020年1月11日までの28日間、蔡英文総統、最大野党・国民党から高雄市長の韓国瑜氏、少数野党、親民党トップの宋楚瑜氏の3人で争われる。

飯田)現職の蔡英文さんの支持率が、最新の世論調査で51%。抜きん出ている序盤戦ですが。

中正紀念堂(中華民国-Wikipediaより)

蔡英文氏が「中華民国」というワードを使う理由

須田)今回の総統選挙は、蔡英文さんがどこまで票を集めることができるのか、というところだと思います。最近の蔡英文さんは、演説などで「中華民国」というワードを使い始めています。与党は使って来なかったのですが、そのワードは独立というよりも、「中国は一体化です」ということです。つまり、政権の正当性を指すときに使う言葉なのです。中華民国という国号は、廃止しているわけではなく、いまでも厳然と生き残っています。

飯田)台湾は、正式名では中華民国を使っています。

須田)これまでは、独立的な動きをするときには中華民国という言葉を使わずに、台湾という言葉を使って「中国本土とは違うのだ」という意識で進めるのが一般的でした。それを独立志向の強かった蔡さんが使い始めたのは、国民党の方、つまり大陸から渡って来た人たちを中心とした「中国は一体化なのだ」と考えている人たちに対しても、触手を動かし始めたということです。

飯田)蔡さんの民進党は、「台湾共和国」を目指すということを掲げていたくらい、独立色が強いところでした。しかし、総統をやって国全体をまとめるとなると、2つに分裂させるのはあまり得策ではないということですね。情勢を見て感じたというところなのでしょうか?

「五大要求」を掲げて香港中心部をデモ行進する市民ら=2019年12月8日(共同) 写真提供:共同通信社

香港を見て「一国二制度」では自分たちの民主主義は守れないことがわかった台湾市民

須田)そうですね。ただし、中国と一国二制度を目指すのかと言えば、まったく違います。そこは180度違っていて、独立志向の強い蔡さんが、台湾市民の支持をどれだけ集めることができるのか。この前やった香港の、地区選挙のような意味合いを持って来る。有権者に対しては、そういうイメージを広めようとしているのではないでしょうか。

飯田)香港で先週取材しましたけれども、香港は台湾からの留学生も多いのですが、台湾政府の動きが他の国に抜きん出て早かった。バスを仕立てて空港まで持って行き、留学生を空港からチャーター便に乗せた。それは穿った見方をすれば、選挙戦へのプラス面での影響を、蔡英文政権が考えたのではないかと指摘する人もいました。

須田)蔡英文さんにとって香港の出来事は、大きなプレゼントのような存在です。

飯田)支持率が完全に変わりましたものね。

須田)一国二制度が本当に有効なものかどうか、中国と台湾が統一して、自分たちの自由と民主主義を守れるのか。「守れるはずがないだろう」ということが、香港を見てリアルに把握できたのですから。

飯田)一国二制度はまやかしではないかと。

須田)「中国共産党の好き勝手にやる制度なのだ」ということがわかってしまったわけですから、それが蔡さんの背中を押したと考えられます。逆に、習近平さんは最大の失敗を犯してしまった。自分が国家主席のうちに中台統一をすることによって、自らの最大の遺産にしようとしていたわけです。それが不可能になって来た。習さんは、自分で自分の首を絞めてしまったのです。

飯田浩司のOK! Cozy up!
FM93AM1242ニッポン放送 月-金 6:00-8:00

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