検察と裁判所の火花が散る韓国司法は健全なのか〜チョ・グク前法相の逮捕状棄却

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(12月27日放送)に外交評論家・キヤノングローバル戦略研究所研究主幹の宮家邦彦が出演。韓国チョ・グク前法相の逮捕状請求の棄却について解説した。

12月26日、審査を終えソウル東部地裁から出る韓国の゙国前法相(共同) 写真提供:共同通信社

逮捕状棄却〜法律論としてはおかしくないが、政治的な判断であれば問題

ソウル東部地裁は27日未明、職権乱用容疑で韓国のチョ・グク前法相に対する検察の逮捕状請求を棄却した。チョ氏は釜山市の前副市長の不正をもみ消した疑いを持たれており検察はチョ氏の逮捕状を請求していたが、棄却されたため検察は在宅のまま捜査を続ける方針だ。

飯田)容疑は認めるけれども、証拠の隠滅や逃亡の恐れはないので逮捕は必要性を認められないと、判断したということです。

宮家)これはどちらでも判断できたと思います。事実関係は分からないので推測でものを言ってはいけないとは思いますが、基本的に韓国の司法というのは、日本の司法よりもはるかに「左に寄っている」と言う人が多いと思います。私もそう思っておりますが。ひと昔前、日本でもそういうことがありました。どちらかというと偏った意見を持っていたかもしれないような人たちの団体があって、その人たちが日本の司法に入っていったのですが、それを最高裁が最終的に排除していきました。その意味でいま日本で「司法の中立」は守られていると私は思います。これに対し韓国では、そういった人たちがどどどっと司法に入りました。韓国最高裁の請求権問題についての裁判を見ればわかるように、韓国の司法は左傾化したのではないか、それが最高裁だけでなく地裁のレベルまでいったのかなと。

今回の判断のように「チョ・グクさんがどうも何か職権乱用をしたらしい。容疑はわかるけれども、証拠隠滅は無い、逃亡も無いから、逮捕はしなくてもよいではないか」という見方も、法律論としてあり得ます。しかしそれとは別に、法務大臣が職権乱用していいのかということになれば、当然逮捕をして然るべく警告を与える、というやり方もあったと思います。ここから浮かび上がるのは検察と裁判所、つまり韓国では司法権の中も割れていて、そのなかで綱引きをやっている、または火花が散っているという状況です。これが健全なのか、どうでしょうか。検察は司法ではあるけれど行政権の一部でもあるのから、裁判所がきちんとチェックをするというのは1つの見識だと思います。ただ司法の内部で政治的な喧嘩をするのはいかがなものかと、司法は一体でなければならない部分もあるので。日本のように逮捕状を請求したらまず通る……実際のパーセンテージはわかりませんが、それに比べると「えっ」と思いますよね。

飯田)これだけ容疑が固まっていて棄却されてしまうのかという。

宮家)ある意味、法律論から言えばこうした判断があってもおかしくないと思いますが、相手が元法務大臣、しかも例の“タマネギ男”でしょう。だから、もしこれが政治的な判断だとしたらそれは問題で、非常に難しい判断だなと思います。これはあくまでひとつの、私の見方ですが。

白頭山の山頂で記念写真に納まる金正恩朝鮮労働党委員長(左から2人目)と韓国・文在寅大統領(右から2人目)。両端は李雪主夫人(左)と金正淑夫人=2018年9月20日 写真提供:時事通信社

飯田)もともと文在寅(ムン・ジェイン)さんはもともと弁護士でかなり左派的で、検察に対してはかつての軍政時代の歴史もあり、かなり権力をそごうとしているという指摘もありますよね。

宮家)司法の左傾化阻止という観点からは、日本よりも厳しかったのかもしれませんね。

飯田)裁判所は27日、慰安婦合意に関しても違憲の訴訟の判断を下すというのも予定されています。

飯田浩司のOK! Cozy up!
FM93AM1242ニッポン放送 月-金 6:00-8:00

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