弊害も踏まえた上でのIRの利益還元の議論が必要〜カジノ管理委員会発足

ニッポン放送「ザ・フォーカス」(1月7日放送)に中央大学法科大学院教授・弁護士の野村修也が出演。汚職事件、管理委員会の発足などのIR関係の動きについて解説した。

自民党・二階俊博幹事長 IR事業を巡る汚職事件「捜査静かに見守る」と述べる=2020年01月07日午後、東京・永田町の自民党本部 写真提供:産経新聞社

政府がカジノ管理委員会を発足

カジノを含むIR(統合型リゾート)の運営事業者を監督するカジノ管理委員会が7日、発足した。1月10日にも初会合を開く予定。委員会は5人の委員から構成され、カジノの事業者に対する免許の交付や事業者の監視に当たる。

森田耕次解説委員)カジノを含むIR事業の汚職事件の方ですが、東京地検特捜部が新たに千葉13区選出の自民党の白須賀貴樹衆議院議員44歳と、勝沼栄明元衆議院議員45歳を任意で事情聴取したことがわかりました。2人は2017年の末に衆議院議員の秋元司容疑者と一緒に、贈賄容疑が持たれている中国企業500ドットコムの深?本社を訪問しておりました。秋元容疑者は旅費を500ドットコム側に負担して貰った可能性があり、東京地検特捜部は訪問の経緯や旅費の支払いについて2人に事実関係を確認した模様です。

こうしたなか、千葉市の熊谷市長が7日の記者会見でIRの誘致について国が期限としている2021年7月までの申請は見送ると表明しました。期間が想定より短く、去年の台風被害で十分な時間が取れないとしています。

野村)お金が広範囲に配られている可能性がありますので、配られたところの地元の人たちが何らかの形で手を挙げていると、職務に関連して何かがあったことを疑われてしまいますから、手を挙げにくくなっている感じはします。

森田)日本維新の会の衆議院議員、下地幹雄元郵政民営化担当大臣も6日、500ドットコムの元顧問から選挙資金として現金100万円を受け取っていたことを認めています。政治資金や選挙運動に関する収支報告書に記載していないということで、政治資金規正法などに抵触する可能性もあるという状況になっています。

野村)外国企業であることを知りながら受け取っているとそれ自体で違法になる可能性もありますし、収支報告書に記載が漏れていればそれ自体が違法になるという、かなり厳しい状況に置かれていると思います。

中国企業「500ドットコム」の本社事務所が入居する広東省深?市のビル=12月25日(共同) 写真提供:共同通信社

カジノ管理委員会〜行政組織から独立して監視を行う

森田)一方で、カジノの規制を担うカジノ管理委員会が発足ということです。内閣府の外局という形ですが、運営事業者を監督して、マネーロンダリングやギャンブル依存症の対策も担うということで、10日に初会合を開くようです。当面は施設の運営のルールづくりを進めるようですね。

野村)いわゆる国家行政組織法上の3条委員会、条文の第3条に書いてあるからそうなっているのですが、これの特徴は政府や行政組織からの独立性です。つまり、この方々に強大な権限が与えられていると。これまでの事例で言うと公正取引委員会、国家公安委員会のようなものと同じ扱いになります。政治からある程度独立して、しっかりと監視監督をすることが求められていますよね。

森田)委員長には福岡高検の検事長も務めた北村道夫さんが就いて、元警視総監の樋口さんも委員に入っているようですね。

野村)IR問題で、IRをカジノ中心として運営していくとなると、犯罪の温床にならないかという疑問が当然あります。更には未成年者などがカジノで不正な行為に巻き込まれることはないのかという、未成年者の保護のようなものも重要になります。そこで検察や警察のOBの方々が監視役に回るのは非常に意味のあることだと思います。

森田)不正が見つかった場合には免許取り消しなどの行政処分を行うのも管理委員会だということですね。

野村)ルールづくり、運用の仕方を決めながら、健全なカジノの運営を担保していくのだと思います。

ニッポン放送「ザ・フォーカス」

デメリットも踏まえた上で還元できる利益を議論すべき

野村)前にもこの番組のなかでカジノの話をさせていただいたのですが、カジノはIRという大きな設備のなかの位置付けということが必要なのです。IRが収益源になって、地元の産業を活性化させていく力を持っているので、そこに期待を持つのならばその施設が廃墟にならないようにするためのエンジンとして、カジノを装置するという議論でやってきたわけです。もちろん弊害もあるので、弊害が発生しないように地域の活性化のためにどうやって使っていくのかを考えなければいけないと思います。

森田)日本は、カジノは3%未満の面積というのが決まっているわけですね。

野村)IRというところが自立的に国際会議や海外のアーティストを呼べるような力を持つまでの間、カジノを使って運営資金を捻出していくというプロジェクトなので、弊害が起こらないように強調するのも大事ですが、他方でビジネスチャンスや収益、地元に対する還元を考えていかなければいけません。

森田)政府は最大3ヵ所のIRの設置を認める計画で、今月中にも選定基準を示す基本方針を公表する予定。早ければ2020年代半ばに開業することになっております。

ザ・フォーカス
FM93AM1242ニッポン放送 月-木 18:00-20:20

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