政治の姿勢を心に深く刻むべき安倍政権〜公選法違反事件・IR汚職事件

ニッポン放送「ザ・フォーカス」(1月15日放送)に作家・ジャーナリストの河合雅司が出演。河井前法務大臣と妻の河井案里議員の公職選挙法違反疑惑について解説した。

安倍晋三首相へ辞表を提出し、記者団の質問に答える河井克行法務相=2019年10月31日午前、首相官邸 写真提供:産経新聞社

河井克行前法務大臣と妻の案里氏両方の事務所を家宅捜索

前法務大臣の河井克行衆議院議員の妻である案里参議院議員の陣営が、2019年7月の参議院選挙で法定上限を上回る報酬をウグイス嬢に渡した疑惑をめぐり、広島地検が河井克行氏と案里氏の事務所など関係先の家宅捜索を行った。案里氏は選挙でウグイス嬢など13人に、日当の法定上限1万5000円の倍にあたる3万円を支払った疑惑が持たれている。更に選挙の際、案里氏が支部長を務める自民党支部が、複数の関係者に違法な報酬を支払っていたこともわかっている。

森田耕次解説委員)この疑惑はウグイス嬢に法定上限を上回る報酬を配り、夫の克行議員からの依頼で妻の案里議員への支持固めをした男性が、自民党の支部からおよそ86万円を受け取ったという証言もしているということです。広島地検は15日、公職選挙法違反の疑いで広島市にある河井夫妻の事務所を家宅捜索しました。地検はすでに選挙関係者への任意聴取を始めており、押収した資料を分析して立件できるかどうか見極めるということです。菅官房長官はこの問題に関連して、15日夕方の記者会見で次のように述べています。

 

菅官房長官)まず、捜査機関の活動内容に関わる事柄についてはコメントを差し控えたいと思います。なお、河井議員が昨年(2019年)10月に法務大臣を辞任した際、安倍総理は「法務大臣に任命したのは私であり、こうした結果となり、その責任を痛感している。国民のみなさまに深く心からお詫び申し上げたい」とされております。

 

森田)河井夫妻は2ヵ月以上、公の場に姿を現していません。妻の案里議員は2019年12月上旬に適応障害で、およそ1ヵ月の自宅療養が必要という診断書を自民党幹部に提出しています。

河合)古典的な手法ですね。元法務大臣の事務所に捜査が入るということは、立件の方向へ動いて行くのだろうと思います。しかしながら何より、この夫婦は国会議員として失格です。2ヵ月以上に渡って公の場で説明しようともしないし、国会議員の仕事である国会そのものにも来ていないので、事件の白黒以前に議員辞職すべきだろうと思います。

安倍晋三首相へ辞表を提出し、記者団の質問に答える河井克行法務相=2019年10月31日午前、首相官邸 写真提供:産経新聞社

説明責任を果たしていない現在も国会議員報酬は支払われている

河合)自民党を含めて、きちんと説明を促すべきです。これ(きちんと説明責任を果たさないという姿勢)は安倍政権そのものにも影響します。いちばん問われているのは政治への向き合い方です。安倍政権は不都合なものがあると隠すということがこれまでもあったわけで、これもそのなかの1つだと捉えられて行きます。20日に国会が召集されますが、それにも影響して来ると思います。

森田)この報酬ですが、国会議員のボーナスは満額で323万円以上だそうです。

河合)年収100万円台、200万円台という人がたくさんいるなかで。

森田)案里議員は7月に当選した新人議員ですが、日割りで194万円以上が支給されています。こういったものが出て来ると、政治不信になりますよね。

河合)「桜を見る会」の問題もまだ終わっていないし、IR問題もなかなか説明責任が果たせていないなかで、この疑惑ですからね。通常国会は冒頭から大荒れになるでしょう。

秋元司衆院議員の事務所からダンボール箱を運び出す捜査関係者ら=2019年12月19日午後、東京都江東区 写真提供:産経新聞社

IR事業の話をこのまま進めてよいのか

森田)IR事業については、東京地検特捜部が14日に秋元司容疑者を再逮捕しまして、収賄の立件総額が700万円以上になっていると。その他にも事情聴取を受けている自民党議員、日本維新の会を除名処分になった下地議員などがいます。彼らに職務権限はないのでしょうが、道義的な問題も出て来ますよね。

河合)IR事業に対しては、世論でも「このまま進めていいのか」という意見が大きくなっていますが、政府はこれまでの予定通りに進めて行くということです。これも(秋元議員が逮捕された)事件が別の話、無関係のようになっている点は、疑問に思うところがありますね。河井夫妻の話もIR問題も、国民が納得するような形にならなければ、他の政策まで進まなくなって行くという話になるのです。河井議員ら本人の口から、何かの説明を聞いたことが1回もないというのはあり得ません。きちんと説明してもらいたいと思います。

森田)IR汚職事件も、東京地検特捜部は徹底捜査の構えですから、当然捜査も長期化して国会にも影響して来ると。共同通信の世論調査だと、IR整備を見直すべきだという回答が7割程度にのぼっているということで、IR事業そのものにも影響が出て来てしまいます。

河合)観光事業から何から、みんな影響して行くということです。でも1度始まってしまうと、戻って話すことができなくなりますので、(秋元議員が逮捕された件の背景に)何があったのかを、まずは白黒はっきりさせるべきです。また、このような状況のままでIRを適正に運営して行くことが可能なのかどうか、確認しないとだめだと思います。

元政策秘書と元私設秘書の自宅などが東京地検特捜部の家宅捜索を受け記者団から質問される自民党・秋元司衆議院議員=2019年12月9日午後、国会内 写真提供:産経新聞社

日本政界に忍び寄る中国の手

森田)中国企業の「500ドットコム」が、これだけ政治家に食い込んでお金を配ったという中国企業の不気味さもありますし、それにホイホイ乗ってしまう政治家もどうなのかと思いますよね。

河合)日本政界にも中国の手が伸びて来ているのですよね。今回のIRの話だけではなく、いろいろな国の政界に中国は影響を及ぼしているわけですが、いよいよ日本政界でもそれが露呈したということでしょう。

森田)地検の捜査もそうですが、国会のなかでも追及して行かなければなりませんね。「桜を見る会」でも、行政文書の管理簿に記載しなければならない招待者名簿が記載されていなかったことが明らかになり、公文書管理法違反ではないかと言われています。

河合)政治への姿勢というものを安倍政権はもう1度心に刻んで、政権運営に当たってもらいたいですね。

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