日産とルノーは別れられない夫婦?〜一方、ゴーン被告はルノーに退職金など請求

ニッポン放送「ザ・フォーカス」(1月14日放送)に中央大学法科大学院教授・弁護士の野村修也が出演。日産とルノーの連合解消説について解説した。

日産、ルノーとの連合解消へ

イギリスのフィナンシャル・タイムズが伝えた。日産自動車がフランス自動車大手ルノーとの企業連合の解消を想定した、緊急対策を準備しているとしている。日産の前会長、カルロス・ゴーン被告が日本からレバノンに逃亡した昨年末以降、こうした検討が加速しているそうである。

森田耕次解説委員)カルロス・ゴーン被告が経営トップを務めていたときから日産自動車の技術者の間では、ルノーとの技術や生産部門の統合を推し進めるという動きについて不満がつのっていたということなのですね。イギリスのフィナンシャル・タイムズによりますと、複数の日産自動車の幹部がフランス自動車大手ルノーとの企業連合の解消の事態に備えていると。技術・生産部門の完全分離や日産取締役会の変革を議論しているようなのですね。日産の広報担当者はこうした報道について「憶測にはコメントしない」と話しているそうですが、関係修復に努めてきた両者の間には依然として溝があるということが示された形になったわけですね。

野村)もともと、フランスの大手自動車メーカーであるルノーはフランス政府がたくさん株を持っている、言わば国策企業です。その結果、ルノーを通じてフランス人の雇用を増やしたい、そのためには日産と合併させてしまいたいという思惑がフランス政府側にはあるのです。これは国家資本主義的、つまり国が経済を支配しているような観点から無理やり統合を求めてこられても、自由なビジネスを展開している国からすると、これは本当に得策なのかという疑問が出てきてしまうところがあります。これがゴーン氏をめぐる議論のなかで、日産のクーデターだと言われている背景の出来事と言えるのです。今回、日産とルノーはゴーン氏の事件をきっかけに関係を解消するのではないかと見られていたのですが、いまのところ共同で事業を展開する形なのですよ。ただ、やはり会社のなかには不満分子の方がいます。これをなんとか解消する方向へ持っていくために、情報を漏えいしていたのではないかという疑う声も出ています。

フランス自動車大手ルノー(左)と欧米大手フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)のロゴマーク(フランス・パリ)=2019年5月27日 写真提供:時事通信

日産とルノーが別れない理由

森田)ルノーのスナール会長は、「近く日産と共同プロジェクトを発表していく」ということで、日産の内田社長も「緊密に連携していく」と言っているようですが、もし日産とルノーが関係を解消するようなことになると、それぞれが新しいパートナーを探さなければいけないことになります。

野村)結婚して長く結婚生活をしていると、別れるに別れられない関係ができていくわけです。その抜き差しならぬ関係が日産とルノーのなかにはあって、解消が難しい面があります。世界の自動車メーカーの競争では、1位がドイツのフォルクスワーゲンです。そして、2位が日産・ルノーグループなのですよ。2位というのはそれぞれの力を集めて売り上げ台数を合算して2位ですから、これを分解してしまうとみんな小粒になってしまいます。つまり、いま森田さんが言ったように、また新しいパートナーを探さなければいけないということになるのです。ただ、日産の不満としては、もともとルノーと提携したのは日産の調子が悪くなったときに、ルノーに助けて貰ったのです。ルノー側としては「俺たちが助けたのだろう」と言ってきているのですが、現状は日産・ルノーグループの売り上げ台数の半分は日産が占めていて、ルノーはそれよりもずっと少ない台数しか売れていないのです。そうなると、日産としてはタッグを組むメンバーとして、ルノーよりももっといいところがあるという気持ちが出てくるところがあります。ただ、その先の道筋が見えないなかで別れる選択が取れないので、このままの状態にいるということなのですね。

「罪状に根拠ない」  日本メディアの代表取材に応じるカルロス・ゴーン被告=1月10日、ベイルート(共同) 写真提供:共同通信社

ゴーン被告がルノーに退職金など請求〜金融危機のレバノンでの金策か

森田)一方、ゴーン被告はルノーの会長の辞任をめぐって約3000万円の退職手当を支払えと、年末にフランスの労働裁判所へ申し立てをしていたということで、「ルノーでの私の辞任? 茶番だ。退職に関するすべての権利を要求する」と生涯受け取れることになっている年間およそ77万ユーロの年金や、認められなかった業績の報酬についても支払えと言っているようですね。

野村)いろいろな見立てがあると思いますが、ゴーン被告は日産との関係では完全に排除された形になっていますが、ルノーではまだ実権をある程度持っていて、ゴーン被告に対する対応も日産とは大分違ったと。正当な形で保証して、退職金などを払えと言っているわけですよね。ただ、ゴーン被告がした行為については日本国内で批判もありますが、特に国外逃亡までしてしまうと、何か後ろめたいことがあるのではないかという目も多くなってきていますので、争いがゴーン被告に有利に働くかどうかはわかりません。

森田)ベイルートでゴーン被告が住んでいる家も、日産が所有権を主張しているということですから、日産側が退居を求めることもできるのではないかと思うのですが。

野村)ただ、結局のところレバノンが応援していますから、出ていくということを日産のためにわざわざやってくれることは考えにくいでしょう。ただ、現時点では国の財政状態が非常に悪いです。

森田)レバノンは金融危機なのですよね。

野村)週に引き出せるお金の量も限界があって、あまりお金を自由に使えない状況になっています。ゴーン被告も同じ扱いになっていますから、レバノンにいることで居心地がいいとは思えないと思います。更には貧富の差も拡大してきていまして、ゴーン被告のような富裕層に対して反発する勢力も大きくなっています。そうなると、ゴーン被告も安泰ではないという見方もあるようですね。

森田)そんな状況なので、ルノー相手に退職金を請求する状況に追い込まれているのかもしれませんね。

野村)お金に困っているように見えなくもないですね。

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