メルケル氏の後継〜ヨーロッパ全体の問題

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(2月14日放送)に外交評論家・キヤノングローバル戦略研究所研究主幹の宮家邦彦が出演。ドイツのメルケル首相の退任とヨーロッパの今後について解説した。

2017年のメルケル(アンゲラ・メルケル-Wikipediaより)

ドイツでメルケル氏の後継争いが再燃

15年前の2005年11月からという、先進国最長の在任期間を誇るドイツのメルケル首相の退任まであと1年となる。ドイツ最大与党の保守、キリスト教民主同盟(CDU)のクランプカレンバウアー党首が10日、年内に党首を退任することを突如発表した。後継最有力と目されていたが、党をまとめきれなかったことが原因と思われる。メルケル氏のリベラル路線の是非も問われている。

飯田)メルケル氏の退任まで、あと1年ということですが。

宮家)15年もやっているわけですから、それ自体はすごいことだと思います。ただ、彼女についてはいろいろな評価があります。この間、ニューヨークタイムズを読んでいて、このように見るのかと思ったことがありました。ドイツ語の新聞ではなく、ニューヨークタイムズの英語の記事なんて読んでも読まなくても一緒という人もいるかもしれませんが、ある意見として書いてあるのは、メルケルさんは確かに長く務められて、しかも政治家として立派ではある。「しかし、ではいったい何をしたのだ?」というのです。彼女は常に「待ち」の政治家で、大胆な決断はせず、とにかく待って待って待って凌ぐ。要するにリーダーシップがないというのですよ。長期間連立政権を維持するには、それが必要だったのかも知れません。しかし、アメリカの指導力が揺らぎ、ロシアが欧州に干渉するようになって、イギリスもEUから出て行く。しかも、フランスは当てにならない。戦後一貫してドイツは「無茶なことをやるな」と言われてきたのに、今になって突然「リーダーをやれ」と言われても、ドイツ人は困ってしまうわけです。さらに問題なのは、ドイツ国内が割れていることです。メルケルさんも我慢してこれまでは何とか凌いで来たのでしょうが、彼女のカリスマによる長い任期の後となれば、誰がやっても簡単にはまとめきれませんよ。

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」

メルケル氏の後継がどうなるかはヨーロッパ全体にかかる問題

宮家)2005年から15年もちましたが、実は彼女はドイツ国内の諸問題を解決していなかった。そうなれば当然、矛盾は拡大します。誰がやってもその矛盾は元に戻らないということにもなりかねません。ドイツに関する最大の問題は、フランスとドイツがどのように連携してEUを保つのかということに尽きます。しかし、フランスがああいう状態のままであれば、メルケルさんがしっかりしなければいけないのですが、彼女はもう首相をやめてしまう。そして後継者も決まらない。ドイツがどちらに転ぶのかわからない。これは、ヨーロッパにとっては非常に悪いサインです。それをわかっている人たちは、ヨーロッパのことをとても心配しています。彼女の後継がどうなるかということは、ヨーロッパ全体の将来にかかる大問題だと思います。

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