新型コロナウイルス〜果断な対策をした台湾と日本の差

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(3月3日放送)にジャーナリストの有本香が出演。対コロナウイルスの特別措置法の整備について解説した。

談話を発表する台湾の蔡英文総統。中国からの選挙介入を防止する「反浸透法」に署名し公布したことを明らかにした =2020年1月15日 台北の総統府 写真提供:産経新聞社

安倍総理、緊急事態宣言を含めた法整備を急ぐ考えを示す

 

安倍総理大臣)政府としてはあらゆる可能性を想定し、国民生活への影響を最小化するため、緊急事態宣言の実施も含めて新型インフルエンザ等対策特別措置法と同等の措置を講ずることが可能となるよう、立法措置を早急に進めることとします。

 

2日に行われた参議院予算委員会で、安倍総理は新型コロナウイルスの感染拡大を阻止するため、緊急事態宣言の実施も含めた立法措置を進める考えを示した。

飯田)新型インフルエンザ等対策特別措置法ということで、「等」がついているから使えるのかと思ったら、感染症に対しての厳しい縛りがあるということですね。

【政治 新型肺炎】記者会見する安倍晋三首相=2020年2月29日午後、首相官邸 写真提供:産経新聞社

果断な対策を打った台湾を見習うべき〜桜に終始していた日本の国会

有本)早い時期から新型インフルエンザの特別措置法を運用すればいいのではないか、これを1つの土台にして新しい特措法をつくればいいのではないか、と言っていた人は私の周囲にもいたのですよ。ところが、国会は桜ばかりをやっていた。

飯田)いつの間にか上様の領収書が出てから、まったく聞かなくなりました。

有本)今度は手のひら返しのようになってしまったのですが、それを早くやれよとじりじりしていたわけです。ようやくということになりましたが、「新型インフルと同じくらいの立法措置を」と、総理が言い出さなければいけないことなのかという話ですよ。立法府がこういう話を持ち出すべきだったし、与野党を問わずそうなのです。ただ、野党側がずっと「桜を見る会」をやっていて、つい最近には国民民主党の玉木雄一郎代表が、「自分はこういうことを言っていたのだ」とツイッターで上げられました。しかし、なぜもっと早く言わなかったのでしょうか? 2月後半になってから、玉木さんご自身は国会でそれを言ったということですが、いくら何でも遅いですよね。国会戦術的なことにあまりにも縛られてしまって、玉木代表の言っていることはもっともなのですが、こういうことはタイミングが重要です。国民としては、いまさらという話なのですよ。本当に残念です。危機的状況や非常事態には政府の対応が問われるし、国民の即応力も同時に問われるのですが、国会は国民の代表が集まる国権の最高機関です。ここがどう即応するかということも重要で、日本と対照的なのは台湾です。蔡英文総統の支持率はいまや爆上がりで、史上最高。それは総統の早い段階からの果断な動きを、国民が支持している部分が大きいのです。これは蔡さんだけが立派なのではなく、閣僚すべて、また台湾の立法院も一生懸命にアイデアを出して、各会派がどんどん新しい法案を持ち寄り、一種のアイデア合戦になったと。これは褒めなければいけませんし、見習わなければいけません。

飯田)それだけの危機感が国民と議員、行政も含めて共有されているのですね。

有本)一体化できるということなのです。

飯田)国難に対してどう立ち向かうのかということですね。

有本)台湾の場合は、WHOからも締め出されました。

飯田)この期に及んでも、中国は文句をつけて参加させませんでした。

有本)中国に散々嫌がらせを受けることも承知していたし、SARSのときの経験があるから大変だということで、一枚岩になったのです。その辺り、日本は全然そうではない。学校を休校にするという政府の要請に対して、反対するならするで、感染爆発を抑えるための実効性のある対案を持ち出さないと、端っこのところに文句をつけていても意味がないわけですよね。

飯田)「混乱しているではないか」とか。

有本)この種のことは、突然起こるものですよ。これを1週間前に言って根回し云々をしていたら、ことは進みません。

飯田)表明して、「今週末からやります」と言い、1週間も野放しになっている状況が果たしてよかったのかどうかということですね。

新型肺炎、コロナウイルス感染防止対策で政府が全国小中高校に休校要請をしてから一夜明け、登校する小学生ら。今年度最後の登校になる可能性も=2020年2月28日、東京都世田谷区 写真提供:産経新聞社

若い人からの感染の可能性〜やむを得なかった休校要請措置

有本)緊急事態なので、出て来たことに対しては国策としてやるということです。もちろん要請であって、各自治体や教育委員会、学校の判断にはある程度任されているのですが、それでも感染爆発を抑えるため、専門家委員会も説明するのに困難な部分があったと承知しています。感染させる人が必ずしも症状の出ている人でなければ、一定の形で感染が拡がって行くわけでもない。

飯田)ほとんどの人は他の人にうつさないのだけれど、人によってはものすごく感染力が強くなってしまう。遺伝子の型など、いろいろとあるのでしょうけれども。

有本)その人自体にひどい症状が出るわけでもない、ということですよね。人が集まる場所を警戒しなければいけなかったり、若い人はほとんど症状が出ないのだけれど、周りにものすごい勢いで感染させてしまうことがあるから、学校をマークするということなのだろうと思います。子どもたちを守ることと同時に、つながっている家庭やコミュニティを守ろうということですよね。いままでも冬になると、インフルエンザによる学校閉鎖や学級閉鎖はありました。それが全国規模になっただけですし、だいたいは突然のことですよね。

飯田)毎年そうやって困る家庭はあったわけだから、その段階でセーフティーネットのようなものが整備されていればよかったのですが。全国になったので、それが顕在化して来ている部分はあるけれど、だったらそれを含めて法整備をやればいいと思います。

有本)今回は8330円という休業補償の上限額があるのですが、政府が補償するという発表が素早く出ました。休校の要請を出す段階で、だいたいの試算ができていたと聞いています。

27日、マスクを求めて列をつくる人々(韓国南部大邱市)=2020年2月27日 写真提供:時事通信

中国、韓国からの渡航制限を改める必要性〜今後の経済対策も

飯田)それを発表できる段階になったということですね。今後ですが、経済面での影響を含めて対策が必要ですよね。3日のダウ平均は相当上がりました。

有本)これだけ下がれば当然、反発しますよね。ある意味で買いどきです。上がってまた落ち着いてということを繰り返して行くのですが、残念ながら昨年(2019年)10月の消費増税の影響があったところにコロナショックが来ていますから、経済対策を果断にやらなければいけないでしょう。

飯田)そのためにも与野党で話し合って。

有本)特措法をつくって緊急事態宣言をする。私も早くから言っていたのですが、感染が拡がっている国からの渡航制限を、メリハリをつけてやって行く必要があると思いますよ。

飯田)地域限定ではなく。

有本)あまり地域限定にしても、いまどき意味がないので。

飯田)そうですね。乗り換えて来られてしまったら、意味がありません。

有本)いま、いちばん深刻なのは韓国です。中国だって山を越えたとか、感染者の伸びが鈍化していると言うのですが、依然としてキャリアになっている可能性の高い人はたくさんいます。中国からの渡航制限を改めてどうするのか。韓国も、大邱からのピンポイントではあまり意味がないと思います。

飯田)地図で見ると、釜山が非常に近いです。

有本)1時間くらいだと思います。大邱に行ったとき、帰りに釜山へ出たことがあるのですよ。本当に近かった記憶があります。大邱の人たちは、だいたい釜山から来るのではないでしょうか。この特措法で緊急事態宣言をして、いままで入国拒否をしていたのとは違い、法的な仕組みでできることも増えて行くのではないかと思います。

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