新型コロナ対応の違い〜縮小方向の東アジアと拡大する欧米

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(3月18日放送)にジャーナリストの佐々木俊尚が出演。新型コロナウイルスへの各国の対応の違いについて解説した。

【新型コロナ(新型肺炎) 中韓からの入国制限開始】成田空港の出発ロビーは人影がまばらだった=2020年3月9日午前、成田空港 写真提供:産経新聞社

日本政府がヨーロッパ全域を対象に入国制限を強化

新型コロナウイルスの感染拡大を受け、日本政府はヨーロッパからの入国制限を強化する方針を固めた。ヨーロッパのほぼ全域からの入国者に、指定する場所で2週間の待機を要請する他、発行済みのビザの効力停止などを行う。

飯田)一方でEUも、第3国の人々のEUへの入国を30日間制限するということが出ています。

佐々木)各国が鎖国状態になって、20世紀初頭くらいの国民国家時代に逆戻りしているような、グローバリゼーションはどこに行ったのかという感じです。しかし、国ごとの対応が違うのは面白いですね。日本はいまのところ死者、重症者ともに抑え込んでいて、実は韓国も抑え込んでいます。

【新型コロナ(新型肺炎) 中韓からの入国制限開始】中国と韓国からの入国制限が始まり、成田空港で最初の対象の便になったソウルからの乗客ら。検疫所で質問票などを記入していた。右端はサーモグラフィーカメラ=2020年3月9日午前、成田空港 写真提供:産経新聞社

東アジアでは上手く抑え込まれているが、ヨーロッパでは増え続けている

飯田)一時は医療崩壊ということが言われていましたけれども。

佐々木)その後はかなりフラットになって、増加率が減っています。中国も完全に抑え込んで、観光客が各地に戻りつつあるという状況です。シンガポールや台湾もほぼ抑え込んでいて、東アジアではうまく行っています。一方でヨーロッパ、中東辺りは増え続けています。ヨーロッパのなかでも、イタリアは完全に医療崩壊状態で、もはやできることは窓際で歌を歌うだけという感じです。ドイツは感染者が増えているのだけれど、鉄壁の医療システムを確立していて、死者が極めて少ない。

飯田)軽症者は病院に行かないということを、徹底できる国だからですかね。

佐々木)そういう民族性なのでしょうね。ほとんどの国は「集団感染するポイントを抑え込もう」と言っているのだけれど、イギリスは人口全体に拡がらない限り、抑え込みは不可能だと。「思い切ってもう感染させる」とボリス・ジョンソン首相が激しく演説して、「そのかわりみなさんの家族、愛する人が何十万人も死ぬかもしれません」と言って批判を浴びました。あの演説を見ていて思い出したのが、1940年に第二次世界大戦が始まった直後の、ウィンストン・チャーチル氏の就任演説です。「我々の目的は何か。それは勝利である。あらゆる犠牲を払っても勝つこと、そこに至るまでの道のりがどれほど長く悲劇的であろうとも、勝つことである」ということを言っていたのです。

飯田)どれほど犠牲を出そうとも、どれほど悲劇的であろうともと。

佐々木)この21世紀にね。しかし、いくら何でもそれは無理だろうと叩かれて、イギリスは集団免疫の獲得方策を少し修正したようですね。

飯田)ICUの数を勘定に入れていなかったとか。

新型肺炎/テドロスWHO事務局長がパンデミック宣言=2020年3月11日 写真提供:時事通信

いつまでかかるのか誰もわからない

佐々木)少し抜けていますよね。ピークをなるべく落として、徐々に社会に取り込んで定着させるのが最終目標だというのは、専門家の共通した見解のようです。しかし、ピークをつくらずに本当に抑え込めるのかどうか、それには一体どれくらいかかるのかということがわからないですよね。爆発的に感染して人がたくさん死ぬと、ウイルスの行き場所がなくなって消滅するというのが感染症の一般的な拡がり方なのだけれど、現代の清潔な時代においてはそういうやり方をとらない。イギリスのようにはできないですよね。

飯田)犠牲者も多いですものね。

佐々木)そうすると徐々にピークを落とすのだけれど、落とせば落とすほど長くかかる。では、それが一体いつなのか。

飯田)いつまでかかるのか。

佐々木)わからないのです。日本では、ピークは5月ごろではないかと言っている人もいるのですけれど、来年(2021年)までかかるだろうと言う人もいて、微妙なところですよね。

飯田)メジャーリーグも開幕が8月くらいになるのではないかという記事が、スポーツ新聞で報じられていますけれども。

【新型肺炎関連】東京ドーム前に掲示された手洗いうがいなどを呼びかける張り紙=2020年2月26日 東京都文京区 写真提供:産経新聞社

日本政府はそれぞれの自粛要請を下げる方向で検討中

佐々木)日本政府も、一旦抑えようとしていたのを少し緩める方向に来ていて、政府高官談話では、登校自粛要請と大型イベントの一律自粛要請を取り下げる方向で検討中だそうです。19日に専門家の判断を踏まえた上で、新しい判断をするということなので、その段階で発表するのではないでしょうか。

飯田)そうなると、締めることで経済に与える影響も強くなりますね。

佐々木)そうですね。そのバランスをどこで取るのか。私も講演が軒並み消滅しています。10月に予定していた講演がなくなったのには驚きました。

飯田)半年くらい後。

佐々木)会場の手配などを考えると、そうなのでしょう。そのくらいのスパンで影響が出てしまっています。

飯田)そうすると、影響が尾を引くわけですよね。

佐々木)いま飲食がガラガラですが、日本の自粛は病気が拡がるのを止めるというより、「みんなが自粛しているのに、なぜお前たちは騒いでいるのだ」という方向に行きがちなので、何となくそのモードに入っている感じもありますよね。

飯田)東日本大震災のときの自粛ムードは、まさにそういう感じでした。「こんな非常時に花見で酒を飲むなんてけしからん」というような。でも被災地がみんなお酒を造っているから、むしろ飲んで欲しいのだという声が聞こえて来ましたが。

佐々木)そのモードをどうやって切り替えるかと言うと、やはり政府の財政出動によるテコ入れなり、もしくはライブやイベントを思い切ってやってしまうということが必要ですよね。

飯田)そのぶん風通しをよくしたり、屋外などで。

佐々木)それくらい新しいことをやらないと、モードが一気に切り替わらないのではないかと思います。

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