東京オリンピック延期論のハードル〜“完全な形”で開催するには

ニッポン放送「ザ・フォーカス」(3月17日放送)に中央大学法科大学院教授・弁護士の野村修也が出演。新型コロナウイルスの影響でのオリンピック開催の是非について解説した。

お台場海浜公園にお目見えした五輪マークのモニュメント=2020年1月17日午前、東京都港区 写真提供:産経新聞社

G7首脳がテレビ電話会議〜オリンピックの「完全な形での実現」で支持

G7首脳による緊急テレビ電話会議では安倍総理大臣が東京オリンピック・パラリンピックについて「完全な形での開催を目指したい」と発言した。

 

安倍総理大臣)オリンピックについては人類が新型コロナウイルスに打ち勝つ証として、東京オリンピック・パラリンピックを完全な形で実現することについてG7の支持を得たところです。

 

森田耕次解説委員)「完全な形での開催を目指したい」と発言し、各首脳たちの賛同を得たということですが、開催の時期については明言を避けています。菅官房長官は「完全な形」ということについては「いままで通りの大会を開催したいということだ」と述べ、オリンピックの縮小や無観客での開催は想定していないとの認識を示しています。ただ、萩生田文部科学大臣は「仮に日本国内で感染が収束しても、参加する国が減ってしまうと完全とは呼べない」と話していまして、「予定通り今年の夏に開催できるかは各国の感染状況次第だ」と指摘しています。この辺りが注目されているところではあります。また、日本サッカー協会の田嶋幸三会長が、新型コロナウイルスの検査で陽性だったことが関係者の話でわかりました。田嶋会長は国際サッカー連盟の理事やJOC(日本オリンピック委員会)副会長など、国内外のスポーツ団体で要職を務めています。心配ですね。

3月16日、G7首脳とのテレビ会議を行う安倍晋三総理大臣 【首相官邸twitterより】

オリンピックを延期するハードル〜規約の改正も必要か

野村)心配ですね。ただ、やはり延期論も出てきていますよね。延期ということになると、いくつかのハードルがあります。1つは、開催の時期が秋にずれ込むというのは、放映権を持っている放送局との関係で難しいということが言われていますよね。そうなると、年をまたいでという意見があります。年をまたぐことになると、今度はもともとIOCと東京都が結んでいる契約の条項では年をまたぐことが予定されていないのです。年内に開けなければ中止という約束になっています。これは契約ですから、そこの部分は契約を改めることができますが、オリンピック憲章には「開催国は指定された年に開催しなければ権利を失う」と書いてあるわけです。そうなると、それを乗り越えるためには規約の改正も必要なのではないかと。今度は世界中の人の3分の2以上の賛成が必要になってきて、かなりハードルが高くなるのではないかと思うのです。

森田)かなり大変ですね。

野村)特別扱いがどこまでできるのか、水面下ではいろいろな議論がなされていると思います。楽観的かもしれませんが、日本の状況は持ち堪えているということが言われてきています。こういう状況のなかで、今度は海外が持ちこたえてくると、見通しも立ってくるでしょう。まだ諦めるときではないと思います。

3月17日、官邸でG7首脳テレビ会議について会見を行う安倍晋三総理大臣 【首相官邸twitterより】

延期して、復興オリンピックとして開催するべきか

野村)世界がコロナウイルスに勝ったということが、完全な開催につながるわけですよね。だとすれば、それを祝してオリンピックをここでやろうということであれば、時期をずらすということに合意していただくことはあり得ると思います。

森田)アメリカのトランプ大統領は、この感染拡大が沈静化する時期について「7月か8月ごろになるのではないか」とホワイトハウスの記者会見で話していまして、アメリカでこういう認識が広がると、オリンピックの開催判断にも影響するのではないかとも言われています。

野村)いま、我々が取っている対策は、高い山を低い山にするという作戦じゃないですか。低い山になると、終わりが伸びる可能性があるのです。むしろ長い時間をかけて山を小さくしながら乗り越えていく作戦なので、ある意味では時間がかかること自体はやむを得ません。その間に治療薬をつくったり、ワクチンをつくったりすることの時間を稼ごうという戦術ですから致し方ない部分はあると思います。

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