新型コロナウイルスへの対応〜日本の初期情報発信に過ち

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(3月23日放送)に笹川平和財団上席研究員の小原凡司が出演。新型コロナウイルスの影響によるオリンピック開催時期の変更について、また、今回の日本の情報発信について解説した。

新型コロナウイルス感染症対策本部で発言する安倍晋三首相(中央)=2020年1月30日午後、国会内 写真提供:産経新聞社

IOC、オリンピック延期を含めて検討へ

新型コロナウイルスの感染拡大で開催が危ぶまれている東京オリンピックについて、IOCは22日に臨時理事会を開き、大会の中止はしないと決定し、延期も含めてさまざまな状況に応じた対策を検討することになった。1ヵ月程度で結論を出すということである。

飯田)IOCは17日の臨時理事会で、予定通り7月開幕の方針を確認したばかりだったのですけれども、日本時間22日に臨時理事会を開いたということです。

臥位での水除染を準備する対処要員(CBRNE-Wikipediaより)

自衛隊にはウイルスに対応するノウハウがある

小原)ウイルスの感染拡大は簡単に収まるものではありませんし、まだ各国で感染者が増えている状況では、なかなか判断が難しいのではないかと思います。よく安全保障の観点、或いは危機対象だということを言われますけれど、自衛隊をはじめ各国の軍には、こういったウイルスに対応するノウハウがあります。自衛隊も含めてCBRNEと言うのですけれども、CBRNE対処、Cがchemicalで化学兵器、Bがbiologicalで生物兵器、Rがradiologicalで放射線、Nがnuclearで核になります。バイオロジカル、生物兵器は人為的につくられるものであっても、自然発生したウイルスに対処するのと同じです。ですからクルーズ船のときも、自衛隊が入ってお手伝いをしましたけれど、感染している地域のホットゾーンと感染していない地域のコールドゾーンを、どうきっちり区分するのか。自衛隊だと昔の化学防護隊、いまは特殊武器防護隊という部隊がこのノウハウを持っていて、人の動きや動線などもしっかり区分することができると思います。こういうことも含めて、最初は大きくその制限をかけ、大丈夫だったら少しずつ緩めて行くという方法が必要なのだと思います。オリンピックも最初からやるということではなく、延期も含めて検討するということは、正しい判断ではないかと思います。

飯田)今後どのくらい延期するか、或いは急速に事態が落ち着いて、延期せず開催できるようになるのか、事態の推移を見守らないとなりません。

小原)そうですね。延期するとなると、ワールドカップなど他のイベントとの絡みも考えなくてはいけませんから、なかなか時期を決めるのが難しくなると思います。

飯田)諸外国を見渡すと、日本の対処はあながち間違っていなかったのではないか、うまく行っているのではないかという話もありますが、いかがですか?

【新型肺炎】春節の最終日、新型肺炎の流行を受け大阪市中央区の観光地周辺ではマスクを付けた観光客の姿が目立った=2020年2月2日午前、大阪市中央区 写真提供:産経新聞社

戦略的な情報の発信がうまくなかった〜SNS等を使った早い情報発信も必要

小原)私も、日本政府の対処方法は間違っていなかったと思います。ただ当初、日本が第2の感染源という言い方をされて非難を受けてしまったのは、戦略的な情報発信がうまくなかったのではないでしょうか。報道管制を取っていない、しかも重大な事態ですから、発表が大臣や県知事、市長などの首長からということになると、間違ってはいけないという慎重さが出るし、積み上げてからの発表になるので時間もかかってしまう。他国だとSNS等を使って発信しています。例えば日本ですと、厚生労働省が出しているものであっても、他の省庁がやっていることを全部リツイートして発信すればいい。そうすればどんどん広がります。各省庁なり各都道府県が、別々に1回1回出すだけだと足りないのではないかと思います。そういう方法も考えなくてはならないと、今回のことでわかりました。

飯田)確かに「ここを見ればコロナ対策もいまの数字も全部わかる」というところが、いまもありません。SNSで言いますと、河野防衛大臣が数字をきちんと出しています。どのくらいの人が入院していて、どのくらいの人が回復し、どのくらいの人が重傷であるというような。

小原)大臣が出されているものだと、「間違えてはならない」という話になると思います。もう少し低いレベルでどんどん発信して、間違ったことを言っても報道官レベルの話だということであれば、大臣から発表されるよりも柔軟性を持って、速度を上げて出せるのではないかと思います。

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