安倍総理が意欲を示す「自衛隊の憲法明記」はなぜ必要なのか

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(3月23日放送)に笹川平和財団上席研究員の小原凡司が出演。防衛大学校の卒業式で行われた安倍総理の訓示について解説した。

防衛大学校本部(防衛大学校-Wikipediaより)

防衛大学校訓示で安倍総理、自衛隊の憲法明記に改めて意欲

安倍総理大臣は22日、防衛大学校の卒業式で訓示を行った。総理は中東に派遣した海上自衛隊の護衛艦を見送った際、付近に「憲法違反」というプラカードが掲げられていたことに触れ、隊員が高い士気のもと、使命感を持って任務を遂行できる環境を作って行かなければならないと強調。改めて自衛隊の憲法明記に意欲を示した。

飯田)小原さんご自身も、海上自衛官でいらっしゃった。そして防衛大学校のご卒業ということでもあります。今回、総理の訓示はコロナウイルスの対応やソマリア沖の海賊対処など、いろいろなところに触れておりました。どのようにご覧になりましたか?

海上自衛隊の護衛艦「たかなみ」が中東へ向け、海自横須賀基地を出港した=2020年2月2日午前、神奈川県横須賀市 写真提供:産経新聞社

自衛隊の憲法明記は最初のステップにすぎない

小原)訓示のなかでの自衛隊の憲法明記ですが、これは最初のステップであって、これで終わりということはないと思います。自衛隊を明記しただけでは問題は解決しないですけれど、憲法は変えられるのだということを示したいのではないかと思います。昔は憲法違反だけでなく税金泥棒とも言われたものですから、それに比べればいまの時代、自衛隊が国民の皆様から指示されているということは、隔世の感があります。

飯田)小原さんが現役の時代も、そのようなことはありましたか?

小原)私が防衛大学校を卒業したのは1985年なので、その当時は自衛隊に対する理解も、いまほどはなかったと思います。また海賊対処の際、私は当時ヘリコプター部隊の指揮官をしていました。民主党政権だったのですが、ほとんど何の準備もさせないまま行けという話でした。最初に行った部隊は長崎にある部隊でしたけれど、一体どのように海賊に対処するのか、もし海賊なりその船に危害を加えてしまった場合は誰が責任を取るのかなど、何も決まらないままだったので苦労しました。安倍総理がおっしゃるように、そういう苦労を先輩方がいろいろな形で克服して来て、いまの状態があるのだと思います。

飯田)常に法律、或いは憲法まで遡って「どういうことができるのか、できないのか」を検討しながらの対処になる。しかも海賊対処のときは、その検討すら行きの道すがらやるような状況だったのですか?

米主導有志連合が本格始動 米主導の有志連合の司令部発足式典に出席する関係者ら=2019年11月7日、バーレーン・マナマ(ロイター=共同) 写真提供:共同通信社

憲法の解釈によって何でもできるということは危険

小原)そうですね。中国に勤務していたときに中国の軍人に言われたのは、「日本の憲法は平和憲法だと言っても、解釈次第で何でもできるではないか」ということでした。それは日本国内でも、とても危険なことです。やはり「何ができて、何ができないのか」ということを議論した上でしっかりと決めて、それに従ってやるべきです。

飯田)諸外国の軍隊はネガティブリストに「これはやってはいけません」ということが書かれていて、それ以外は目的のために最適なものをやるとなっていますけれど、日本の場合は法律の解釈で、できることが書いてあるということですよね。それが現場では、いろいろな懸念を生むようなこともあるのでしょうか?

小原)厳しいですね。灰色の部分をどう使うかということになりかねないです。それと、法律的に制限が大きいということは、その意思決定にも時間がかかるのです。意思決定の順序が違って来るといいますか。例えばアメリカの人たちと話をしていて、何か起こったときにどう対処するのかという議論をすると、アメリカではまず目標が先にある。そのために法律をどう使うのかということになります。日本の場合はまず「制限は何があって、何ができるのか」という部分から議論が始まるのです。そして、そのできることが日本の目標に向かっているかどうかは、次に来るということです。

飯田)国を守るなど、そういうところが。

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