新型コロナ治療薬有力候補「ナファモスタット」とは

ニッポン放送「ザ・フォーカス」(3月25日放送)に作家・ジャーナリストの河合雅司が出演。新型コロナウイルス感染症の治療薬について解説した。

新型コロナウイルスの治療薬候補を特定したと会見する井上東大医科学研究所教授 =2020(令和2)年3月18日、東京都文京区の東大・安田講堂 日刊工業新聞/共同通信イメージズ 写真提供:共同通信社

新型インフル治療薬「ナファモスタット」が感染拡大防止に効果か

東京大学医科学研究所の井上純一郎教授らは18日会見を開き、新型コロナウイルスの治療薬候補として現在急性膵炎(すいえん)の治療に使われる「ナファモスタット」を特定したと発表した。ナファモスタットは国内で30年以上使われている薬剤で、早期の臨床治験実施が期待できる。臨床研究は国立国際医療研究センターなどと連携し、4月初旬までに開始する見込み。新型コロナがヒトに感染する際、ウイルス表面のたんぱく質とヒトの細胞表面のたんぱく質が結合してウイルス外膜とヒト細胞の膜が融合する。これにより新型コロナの遺伝情報であるリボ核酸(RNA)がヒト細胞の中に入り、ウイルスが増殖する。ナファモスタットはウイルス外膜とヒトの細胞膜の融合を阻害し、ウイルスの侵入を阻止していた。すでに抗エイズウイルス薬「カレトラ(ロピナビルとリトナビルの配合剤)」などが新型コロナに治療効果があるとされている。カレトラの場合、細胞内でウイルスが増殖するのに必要なたんぱく質を阻害する働きのある薬剤だ。井上教授は「感染にはさまざまな段階がある。作用点が異なる薬剤を組み合わせて使うことで、より高い治療効果も期待できる」と話した。

-日刊工業新聞

森田)コロナウイルスの治療薬ですが、「アビガン」という新型インフルエンザに対応する薬が、中国では効果があったという報道もあるようです。

河合)25日のトランプ大統領との電話首脳会談でも、日米が協力して薬の開発を進めて行くという話があったようです。私がこの2週間くらいのなかで、新型コロナウイルスに関していちばん明るいニュースだと思っているのが、18日の東京大学の記者会見です。膵炎に使う「ナファモスタット」という治療薬があるらしく、30年以上前に日本で開発された薬で、いまも使われているらしいのです。この薬はこれまでも、SARSなどのコロナウイルスによって拡がる病気の感染拡大防止に効果があると言われていたのですが、今回の新型コロナウイルスについても、感染阻止の効果があるということが明らかになってきたようです。

森田)アビガンのように治療する薬ではないけれども、ということですね。

河合)重症化した人を治療するというよりも、罹患したウイルスが細胞に侵入して行くのを阻止する効果があるそうです。わかりやすく言うと、コロナウイルスにかかっていない人や、かかっても発症していない人たちがこの薬を服用すれば、感染予防に使えるのではないかということです。言わばワクチンの代わりになるということですね。東京大学は、国立国際医療研究センターと共同で研究を始めるということです。これがもしワクチンの代わりになってくれるのであれば、本物のワクチンができるのに2年くらいかかるということですので、その間のつなぎになります。また「サイレント」と言われている、発症せずウイルスにかかっている人たちが問題になっていますが、感染のバリアができて行く話になりますよね。東京大学の会見は、あまりニュースとして大きく取り上げられていませんが、これに効果があるとわかれば社会の雰囲気も随分変わって来るし、新型コロナ対策を「大逆転」できると期待しています。

森田)治療薬をこれから開発するとなると、治験などで相当な時間がかかりますからね。

河合)いまメディアで話題になっているのは、どちらかというと重症化した人たちを治して行く薬ということで、アビガンなど3種類ほどの薬の研究が進んでいます。しかし、蔓延させないようにするということであれば、「ナファモスタット」は目的が違う薬として使えるのではないかと思います。

森田)例えば、お医者さんや看護師さんがそういった薬を服用しておけば、院内感染も防げる可能性があるのですよね。

河合)まずは、かかる危険の大きい人が優先ということになりますが、それ以外にも、新型コロナウイルスにまだかかっていない人が服用することでかかりにくくなるのであれば、罹患前に接種すればよいわけですよね。30年以上も使っている薬なら副作用がわかっているし、大きな治験をやる必要もないと思います。

森田)すぐに使えるということですね。急性膵炎の治療薬で、点滴薬剤は「ナファモスタット」ですが、錠剤の「カモスタット」もあります。効果があってうまく使えれば、明るいニュースになりますね。

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