海自護衛艦と中国漁船が衝突〜ここから読み解く中国の裏事情

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(4月1日放送)にジャーナリストの佐々木俊尚が出演。海上自衛隊の護衛艦と中国漁船が衝突した事故について解説した。

しまかぜ(護衛艦)-Wikipediaより

海上自衛隊の護衛艦と中国の漁船が衝突〜調査委員会で原因を究明へ

3月30日夜に海上自衛隊の護衛艦「しまかぜ」と中国漁船が東シナ海で衝突した事故を受け、河野防衛大臣は昨日(31日)、事故調査委員会を設置し、事故の原因究明に取り組んで行く考えを示した。海上自衛隊トップの山村海上幕僚長は「重く受け止めている」と再発防止に取り組む考えである。

飯田)30日の夜8時半ごろ、事故が起きたということです。

2020年1月20日、中国湖北省武漢で肺炎の発生の原因として特定されたコロナウイルスの発生源とみられ閉鎖された華南海鮮卸売市場近くのバス停留所で待機しているマスク着用の中国人居住者 EPA=時事 写真提供:時事通信社

中国の挑発的行為であれば、その裏にあるものは何なのか

佐々木)単なる偶発的な事故で済むならいいのですが、中国の挑発的な行為であるのならば、その裏にある中国の国内事情は何なのかを推測する必要があります。中国はいま、国内、国際的共に微妙な状況です。国内を見ると新型コロナウイルスで、12月〜1月にかけて中国当局が隠ぺいをしてしまいました。これが従来の中国国内の状況から見る限り、あり得ないくらい国民の反発を招いて、国に対する批判は制御できないほど高まっていたと思います。

飯田)いままでだとネットにあがった批判は、すぐに叩き潰されていましたよね。

佐々木)運動が盛り上がるとたいてい、共産党が画策してキャンペーンをしたり、プロパガンダをして抑えていたのです。しかし、今回は制御できていないところが見えましたね。

飯田)かつての反日暴動などとは違うのですか?

佐々木)違います。それに対する抑え込みとして、対外的な圧力に出て来たという可能性があります。一方、国際的にみるとイタリア、スペインが感染爆発をしていて、EUに亀裂が走っています。ようやくドイツなどが支援に乗り出しましたが、それまでEUは放置していて、イタリアが支援を求めても何もしなかった。EUはついに終わりかというときに、武漢が抑え込められたということもあって、中国がいち早く医療支援に乗り出しました。これまで対立していた東欧のチェコなどにも、医療品の輸出をしました。やはり頼るのは中国かという状況になって来たのです。ここでわざわざ外圧を起こすことをしなくても、ようやく中国はソフトパワーとして信頼できる国かも知れないと。これからはEUではなく中国だという雰囲気が国際社会で醸成されている段階で、もし挑発に乗り出したのならば、それは完全な逆効果です。どういうバランスを取って、中国共産党政権がこういう事態を招いたのかと考える必要があります。

北京市中心部のビジネス地区・国貿では、帰宅時間帯にも関わらず人の姿がまばらな状態が続いている=2020年2月18日 写真提供:産経新聞社

習近平体制が揺るぎ始めているか〜新型コロナに関する国民からの批判を抑えきれていない中国共産党

飯田)特に、習近平氏の権力基盤としてはどうなのか。このところ李克強首相が、国内問題だからということもあるのでしょうが、いろいろな発言をしています。この間も無症状の感染者について、いままで統計をとって来なかったけれども、統計を出すべきだと。習近平方針からすると、「何を言っているのだ」となりますよね。

佐々木)完全に習近平ワンマン体制が揺るぎ始めているのかなと。中国の政権内部で何が起きているのかよくわかりませんが、外部に対する発信から垣間見えるところがありますよね。

飯田)学者さんたちが署名をして、報道統制がよくなかったというアピールがあったり、いままでだとあり得ないことですよね。

佐々木)あり得ません。それをやっても処罰されない、そう言われても仕方ない状況に変わりつつあるということは、中国の民主化運動が息を吹き返して来ている感じもします。これが今後の中国内政にどういう影響をもたらすか、注視すべきだと思います。

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