森永卓郎が提案〜緊急事態宣言が出されたいま、政府がすべきこと

「垣花正 あなたとハッピー!」(4月15日放送)に経済アナリストの森永卓郎が出演。緊急事態宣言が出されたいま、政府がしなくてはならないことは何か??自らの立場から提案した。

2020年4月7日、総理大臣官邸で記者会見を行う安倍総理〜出典:首相官邸ホームページ(https://www.kantei.go.jp/jp/98_abe/actions/202004/07kaiken.html)

政府は正確な市中感染率をすぐに調べるべき〜本当に感染している人がどれだけいるのかわからない

安倍総理は、人との接触を7割〜8割減らせば収束に向かうとおっしゃいました。これをもとに、いろいろな業種が営業を自粛しています。しかし、これについては異論もあります。横浜市立大学の教授は、東京では「98%接触を減らさないと収束にはいたらない」と言っています。専門家でも意見が別れています。何が違うかというと、コロナウイルスの感染力の差もありますが、意見が別れるのはどれだけの人が本当に感染しているのかわからないからです。私はテレビに出るたびに、11人の感染症の専門家に「本当の感染者数は何人いるのか、名前を出さないのでオフレコで教えてください」と聞きました。そうすると「数千人」と言う人と、「数十万人」と言う人に別れます。だから、政府はとりあえず市中感染率、何でもない人のうち何%が感染しているかを、いますぐ調べるべきだと思います。政府はいま、数千人レベルではないかという前提で動いているのですが、もし数十万人いるとしたら、98%の方をやらなければならないのです。

集団感染が発生したソウルのオフィスビルで新型コロナウイルスの検査(PCR検査)を行う医療従事者=2020(令和2)年3月10日、韓国・ソウル NNA/共同通信イメージズ 写真提供:共同通信社

現実のデータを分析して行動することが政策の基本

感染率の調査に関しては、アメリカは日本の14倍、ドイツが29倍です。先進国と比べると桁違いに少ないです。欧米でできたのに、日本でできないことはありません。サイエンスとして対策を考えなければならないので、「拡がっていないといいな」ではいけないのです。私は一応シンクタンクにいて、社会調査の仕事もして来ました。まずは現実を見て、データを分析して行動することは政策の基本です。それができていないのはまずいと思います。

ドイツ ミュンヘンの屋外検査場の様子(2020年4月1日撮影)(COVID-19の検査-Wikipediaより)

抗体検査という方法

検査をすると言っても、確かに検査を受ける人の感染リスクはゼロではありません。ドライブスルー方式をとれば感染リスクが減るので、検討しようと政府がようやく言い出しましたが、もう1つ感染リスクの低い方法があります。抗体検査です。感染した人には2週間後くらいに抗体ができるので、それを検査するという方法です。タイムラグがあるので望ましくはないですが、やらないよりはましです。実はロサンゼルスでは、1000人の住民を無作為に選んで、抗体検査をするということを始めました。抗体検査はPCR検査に比べて簡単ですし、費用も2000円くらいでできます。1000人を調査しても、200数十万円です。国として108兆円という大きなお金をかけるのであれば、最初の調査で200数十万円かけてもいいと思います。

アメリカ ニューヨーク州での検査。アメリカ陸軍、アメリカ空軍が協力している(2020年3月14日撮影)(COVID-19の検査-Wikipediaより)

抗体を持つ人には感染しない〜医療機関を助けることもできる

抗体検査をするメリットは、抗体を持っている人は外出しても大丈夫なので、経済が回るということです。抗体を持っている人は感染しません。例えばその人たちがボランティアで、崩壊の危機に瀕している医療機関を手伝うことができるのです。そのためにも、抗体検査をするべきなのです。アメリカでは抗体を持っている人たちに証明書を発行して、ボランティアのみならず、経済活動で世の中を回してもらうという考え方もあります。

緊急事態宣言発令後の東京駅の出勤の様子=2020年4月8日午前、東京都千代田区 写真提供:産経新聞社

検査を受けていないために新型コロナで亡くなってもわからない可能性も

感染者数が少なければ、いまの政府の政策は正しいのですが、そうでなかったときのリスクは大きいものがあります。やはり市中感染率を調べて、現実を見る必要があります。BCGを打っているからかからないという説もありました。しかし、BCGを打っていても感染している人はたくさんいます。死亡者数だけ見ればわかるだろうと言う人がいますが、新型コロナウイルスの治療にあたっているお医者さんは100%わかるけれど、新型コロナウイルスの治療にあたっていないお医者さんに聞くと、検査していないから、別の病名で死亡診断書を書いてしまう可能性は否定できないと言います。そもそも2月の死亡者数が出るのは、4月下旬なのです。

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