10万円の一律給付へ〜ここへ来て急遽変更する理由

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(4月17日放送)に慶応義塾大学教授の神保謙が出演。10万円の一律給付について解説した。

2020年4月16日、第29回新型コロナウイルス感染症対策本部〜出典:首相官邸ホームページ(https://www.kantei.go.jp/jp/98_abe/actions/202004/16corona.html)

10万円を一律給付へ〜補正予算案を組み替え

安倍総理大臣)全国すべての国民の皆様を対象に、一律1人当たり10万円の給付を行う方向で、与党において再度検討を行っていただくことといたします。

 

政府与党は新型コロナウイルス対策として、所得制限を設けず全国民に一律10万円を給付する調整を始めた。減収世帯に限った30万円の給付は取り下げて、20日に国会提出の予定だった2020年度補正予算案を組み替える方針である。

安倍晋三首相との面会を終え記者団の取材に応じる公明党・山口那津男代表=2020年4月15日午前、首相官邸 写真提供:産経新聞社

30万円給付の評判の悪さ、緊急事態宣言拡大での再検討か

飯田)お聞きいただいたのは、新型コロナウイルス感染症対策本部会合での総理の発言でした。経済対策は必要ということですが、驚きました。

神保)かなりドタバタした政策決定だったと思います。最初は収入が減少した世帯に30万円を給付するということでしたが、この評判が非常に悪かったようです。実際に運用すると支給基準があまりにもわかりにくいし、わかりにくいが故に、わかっている方の不正受給が横行する可能性すらある。また、なぜいまの時代に世帯主を基準とする考え方なのかなど、いろいろな意味で評判が悪かったものを1度リセットして、一律受給にしようということが1つあります。もう1つは、全国に緊急事態宣言を拡大するという意味において、フェーズが新しくなったなかで、給付の考え方も一律に考え直さなければならない背景があったのではないかと思います。

飯田)メールもいただいています。埼玉県八潮市の“カメ2匹”さん、56歳男性の方から。「一律10万円の給付はありがたいのですが、同時に困っている人へ寄付を募ることもセットにした方がいいのではないか。収入が減っていない人もいると思うので、みんなで協力してこの困難を乗り切れればと思います」。千葉市若葉区の53歳、地方公務員の“しょうじ”さんからは、「我が家は『うちはいらないね』ということを、妻と話しました。この10万円を回収するために、今後は消費税の増税ではなく、所得税の増税をするのかなとも思っております。所得税なら逆進性の問題もないし、有効需要の拡大に寄与するという説明がつくのではないかと思います」。今後の財政ということも考えると、一律で配れば当然必要のない方にも配ってしまうので、その回収も議論になって来ますね。

【新型コロナウイルス】新型コロナ「緊急事態宣言」発令 JR大阪駅前をマスク姿で行きかう人々=2020年4月13日午前8時37分、大阪市北区 写真提供:産経新聞社

重要なのはスピード感〜30万円よりは早い給付が可能

神保)貰う方がどのような形で使うか。貯蓄なのか消費なのか、あるいは寄付なのかという判断を国民に委ねる効果はあると思います。一律で配られた10万円を、いまの社会情勢を見てどう使うのか、考える機会にはなると思います。同時に、もともとの30万円支給のときの財政支出規模は、確か4兆円弱くらいだったと思いますが、一律10万円になると10兆円超えになると思います。財政支出規模や財政規律の問題では厳しくなりますが、いまは非常時なので、将来どうやって回復させるのかというつなぎの予算だということです。大事なのはスピード感ですので、無条件、無申請で早期に対応することが何よりも求められるため、基本的にはこの政策決定の方向性は、徐々に国民に支持されるのではないかと思います。

飯田)アメリカでは社会保障番号が振られているから、すぐに小切手で出すことができますが、日本の場合は一律にしないと、すぐに出すことが難しいのですかね?

神保)30万円のときの基準だと、書類づくりや証明書づくり、更に言うと自治体が窓口になりますから、議会で決定をしなければ窓口の設定もできないとなると、数ヵ月単位になってしまいます。7月に30万円を貰っても、ということになるのであれば、できるだけスピード感を持って支給するのがいいと思います。

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