感染しても約3割が結果に出ない「PCR検査」の限界〜東京都医師会会長が解説 新型コロナウイルス感染症

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(4月22日放送)に、新型コロナウイルスの医療対策の最前線に立っている東京都医師会会長の尾崎治夫氏が出演。「PCR検査」について、番組リスナーからの疑問・質問をもとに解説した。

加藤勝信厚労相 国立国際医療研究センター 「新型コロナ検査スポット」を視察=2020年4月23日午前、東京都新宿区の国立国際医療研究センター 写真提供:産経新聞社

PCR検査の「場所」を整えても、「環境」と「人員」が対応しきれていない現状

飯田)PCR検査。いまでは非常に有名になって、みんなが知っている単語になりましたが、これについてもたくさん質問をいただいています。代表して“サチママ”さん、64歳の女性の方から。「感染していても無症状という方がいるそうですね。そういう方を1人でも多く見つけるために、PCR検査をやってほしいです」と。全員にやった方がいいのではないかという指摘もありますが、現場のご意見としてはどうですか?

尾崎)まずPCR検査をするためには、しっかりとした検体を採らなければいけません。ですので、まずは採取法の課題があります。喉の奥は感度が3割くらいしかないと言われていて、鼻の奥でやると6〜7割を検出できます。いまは鼻の奥でやることが多いのですが、これがなかなか難しい。検査をする側も、例えば検査中の人にくしゃみをされると、(その人が)感染している人であればそれを全て浴びてしまいます。やはりフル装備でキャップをして、アイシールドをしてガウンをつけて、手袋を何重にも着けて1人1人採って行くので、相当な危険と手間がかかるということを、まずご理解いただきたい。政府が言っているように、2万件の検査ができる状態を整えたといっても、それは検査場の話なのです。実際に医療現場の方が2万件を採るということは、すごく大変です。そういった事情をご理解いただきたいです。またPCR検査自体も、「出れば陽性」「出なければもう大丈夫」なのかという判定に100%使えるかといったら、そうではないのです。実は約3割ほど、実際には感染しているけれど結果に出ない「偽陰性」の方がいると考えられています。PCR検査で陰性だったから遊び回るとか、例えばご家族がいた場合に、「陰性だったから大丈夫だ。親父に会いに行こう、おばあさんに会いに行こう」といって、もし感染していたら、感染リスクの高い高齢者などに危険が及んでしまう。ですからPCR検査には限界があり、症状がない方全員にやる意味が本当にあるのかということを、皆さんにもぜひお考えいただきたいと思います。

東京都医師会・尾崎治夫会長

東京都医師会では「PCRセンター」を設置して検査体制を整える

飯田)先週あたりに報道されていましたが、東京都医師会などが中心になってPCR検査をするところ(PCRセンター)を、「都内20ヵ所に設置へ」という見出しを日経新聞が4月16日に立てていました。帰国者・接触者外来などで、人が殺到してパンクしそうになっていることへの対応なのですか?

尾崎)そうです。私どもも含め、疑わしい例が出たときはまず相談センターに連絡するのですが、電話がつながらない。3〜4時間してつながっても、結局は自分のところで診てくださいという話になります。私どもはレントゲンを撮ったり、CT(検査)も外部に依頼して撮ったりしています。はっきりした肺炎ではないけれども、コロナの疑いがあるということで検査して、後々コロナだったという人も出ています。ですから、疑わしいと思った時点でPCR検査ができる体制を整えないと、いまはその流れが完全にストップしています。たくさんの人がコロナに感染している状態になっているので、そこを整理してあげないと、病院の方も患者さんがコロナかどうか不安なのです。加えて、結局は自分の病院で診ることができなければ、適切ではない表現になりますが、たらい回しの状態になってしまう。そういうことを防ぐためにも、今後は疑わしい例をしっかりPCR検査で調べて、検査には限界もあるけれど何とか振り分け、コロナ感染者を診ることができる病院をきちんとつくる。軽傷の方はそのままホテルに移っていただく。そういう流れが、いまは滞った交通渋滞の状況になっていますので、交通整理をして渋滞をなくして行こうということです。東京に20ヵ所か、30ヵ所かはわかりませんが、各地でそういう流れをつくって行きたいと思っています。

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