自衛隊がダイヤモンド・プリンセス号で感染者を出さずに任務遂行できた理由

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(5月1日放送)に元航空自衛官・評論家の潮匡人が出演。防衛省・統合幕僚監部が「新型コロナウイルス対応〜管理者として感染拡大を防止するために〜」と題した資料を公式ウェブサイト上で公表したニュースについて解説した。

大黒ふ頭に停泊するクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」と出入りする救急車両=2020年2月16日午後、横浜市中区

自衛隊のコロナ対策

自衛隊はダイヤモンド・プリンセス号の対応や災害派遣などにおいて、新型コロナウイルスの感染者を出すことなく任務を遂行している。この貴重なノウハウを伝えるため防衛省・統合幕僚監部は29日、「新型コロナウイルス対応〜管理者として感染拡大を防止するために〜」と題した資料を公式ウェブサイト上で公表した。内容は感染症対策を行う管理者に向けたもので、どのレベルの防護基準を定めるのかといった計画立案の段階から、個人や施設の感染防護基準に合わせた対策の仕方、教育や監督の要領までを網羅している。

飯田)統幕のホームページを見ると、あらゆるところに災害派遣という形でコロナ対応をしていて、さらにマニュアルも公開するということで、情報は全部出しますという感じになっていますね。

【新型肺炎】タクシーに乗り込む、クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」から下船したとみられる人=2020年2月19日午前、横浜市鶴見区 写真提供:産経新聞社

ダイヤモンド・プリンセス号の対応が成功したのはなぜか

潮)いまおっしゃった豪華客船に最初に投入されたチームは、まさに専門部隊ということになるわけです。今回はあくまでもウイルスということですが、仮に生物兵器が日本にばらまかれた場合は、より悲惨な事態になります。自衛隊は基本的に、そうした最悪の事態を常に想定して訓練し、それなりの装備も与えられていたということが大成功につながったのだと思います。加えて言うと、自衛隊のそうした対策チームの専門家がマスメディアに成功の秘訣を問われて、「特別なことは何もしていない。基本的なことを1つ1つ確実にやって来ただけだ」とおっしゃっていたのが印象的でした。今回、統合幕僚監部が発表している感染対策の1つに、「十分な食事と休憩の着意が必要だ」と書かれています。一見すると、そんなことは言われなくてもわかっていると思うリスナーもいらっしゃるかもしれませんが、政府やマスメディアの報道で「不眠不休で頑張っておられます云々」というレポートを何回も耳にしました。その度に、このような事態なのだから、不眠不休で頑張ったらダメなのだと常に思っておりました。

飯田)おっしゃる通りだと思います。

新型肺炎 クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」 ウイルス検査陰性の乗客下船、最終日=2月21日、横浜市鶴見区 写真提供:産経新聞社

大切なのは「十分な食事と睡眠」というような基本動作を守ること

潮)特に総理以下、対策に当たられる枢要な立場、あるいは現場の方こそ、十分な食事と睡眠を取っていただかないと大変なことになるわけです。実は自衛隊では、こうした基本動作を最初から1つ1つ積み重ねて行きます。私もそうでしたけれども、最初にやらされるのは掃除であったり、シーツや毛布をぴったり90度に折りたたむというようなことです。そのこと自体に特に意味があるとは思いませんが、やれと言われたことを確実にやるという、まさに基本動作が身につくのです。偏差値エリートなどと揶揄されるような方々の多くは、そういう基本動作が身についていない。頭がいいものですから、頭で理解してしまって「そこまでしなくていいだろう」とされる方が、けっこういらっしゃるのではないでしょうか。

飯田)確かに舞台の取材などで知り合いの部屋に行くと、よく「凡事徹底」と書いてあります。取るに足らないことでも徹底してやるのだと。結局、そうした積み重ねが今回のダイヤモンド・プリンセス号でも感染者を出さないという結果になり、ある意味で生活のなかにも取り入れることはできるのですよね。あとはそれを徹底的にやるかどうかの違いということになります。

潮)そうですね。国民生活のなかのさまざまな場面でも、多くの日本人が手洗いを励行していると思いますし、最近はスーパーなどの入り口にアルコール消毒液が設置されるようになりました。これが定着したらいいのですが、喉元過ぎれば熱さを忘れる、ということにならなければいいと思います。基本動作を徹底するのは案外難しいのだということを、今回の事態で多くの国民にぜひ学んでいただきたいと思います。

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