佐藤優氏が“アフターコロナ”を推測「収束に1年半かかると中国・ロシアの力が強くなる可能性」

ニッポン放送「ザ・フォーカス」(4月28日放送)にゲストの作家・元外務省主任分析官の佐藤優が出演。新型コロナウイルス感染症による世界のパワーバランスへの影響ついて解説した。

記者会見で新型コロナウイルスに対するワクチンの共同開発に関して説明する大阪大学の森下竜一教授=2020年3月5日、東京都千代田区 写真提供:時事通信社

1年半続けば世界のパワーバランスに大きな変化

森田)メールで質問もいただいています。「新型コロナウイルスが収束した後、世界のパワーバランスに大きな変化が起こると言われています。専門家のなかには特に米中の関係に大きな変化が見られ、アメリカの抑止力が低下するのに対し中国の軍事活動が活発化すると言う人もいます。佐藤さんはどう思われますか」といただきました。

佐藤)一概には答えられないです。例えば、6ヵ月でもし収束すれば、世界はいまと変わりません。ただこれが1年半続いたとなると、まず国と国との国境の壁が非常に高くなります。グローバリゼーションによる人、物、金の流れが止まると共にレストランや居酒屋さんにかつてと同じように人が戻らなくなる可能性があります。要するに、家のなかでZoom飲みをするなど、文化が変わってくる可能性があると。ですから、民主的な国より全体主義的な統制ができる国の方が感染症から国民の命を守れるということになると、ロシアや中国の力が強くなってくるかもしれません。そこで軍事的な力があるのだったら中国は軍事力を使っていままでの主張をより激しくしていくと。

森田)そうすると、自国第一主義がより各国で強まってくる可能性があるわけですね。

佐藤)自国だけでなく、国のなかの地域ごとですね。アメリカであればニューヨークとテキサスとオハイオでは地域事情が違います。だから、地域格差が生まれてきます。その地域のなかで所得の多い人と今回失業して厳しくなってしまった人の格差も出てくるということで、国の社会も分断されてきます。

森田)1年半くらい感染が続くとそうなってしまうと。

佐藤)1年を超えるということがけっこう重要なのです。

森田)それまでに何とか収束させなければいけません。これは世界共通の課題ですね。

佐藤)しかしウイルスが相手ですからね。ワクチンが開発されるまでは収束は難しいと私は見ています。

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ワクチン開発に成功しても“国境の壁”によるタイムラグが

森田)このワクチンですがイギリスの研究所が進んでいて、年内に可能ではないかという楽観的な声もありますが、数年以上かかると言う専門家もいます。

佐藤)しかし、仮に年内に可能だったとしても、ここで国境の壁が出てきます。どの国もワクチンは製造に時間がかかりますから、他国に技術は出すけれど、最初にちゃんとつくれるようになっている国が製造していきます。それはまず自国民に摂取して、それから同盟国、友好国の順番で出していきますから。日本が独自開発できなくて、西側の日本と友好的な国が最初に開発した場合でも、6ヵ月くらいのタイムラグがあると思っています。

森田)そこで新たな軋轢や摩擦が起きる可能性もありますものね。

佐藤)国家はエゴイスティックなのですよ。大変なときに、オーストラリアやスロベニアは余裕があったけれど助けてくれなかったではないですか。

森田)そういうような世界になってしまう危険性があるのですね。

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