コロナ「発熱4日間ルール」に“誤解”があったならばそれは政治家の責任

国際ジャーナリスト・小西克哉氏が5月7日(木)、ニッポン放送「辛坊治郎 ズーム そこまで言うか!〜激論Rock&Go!」に生出演。新型コロナウイルスの日本と各国の感染対策について解説した。

休日返上で開会された衆院予算委員会で答弁を行う加藤勝信厚労相。右は安倍晋三首相=2020年4月29日午前、国会・衆院第1委員室 写真提供:産経新聞社

記者団に対峙しない安倍総理と2時間半会見を続けるトランプ大統領

飯田浩司アナウンサー)ニューヨークのクオモ知事が日本でもかなり持ち上げられてきていますが、現地でもブームみたいなものはきているのですか?

小西)クオモさんはメッセージの出し方がうまいのだけれど、少し時間をかけて喋り過ぎているところはありますよね。日本とアメリカは、政権のちぐはぐさという意味では共通しています。トランプ政権と安倍政権の似ているところは初動がやはり、特に最初に油断があったところですね。PCR検査はアメリカもCDC(アメリカ疾病予防管理センター)が自前の検査キットをつくって1ヵ月くらい遅れてしまったのですよね。それでいざテストキットなどを地方の州へ送ったら全然うまくいかないと。これではだめだということで初動が遅れたし、日本のPCR検査については皆さんよくご存知で、この体たらくですよ。いわゆるPCRで手こずったという意味では共通しているのだけれど、トランプ政権は中国からの入国禁止がものすごく早かったですよね。これはトランプが自慢していて、メディアもここのところは認めているわけです。

ただ、4月13日の有名な記者会見があるのですが、トランプは確かに止めたのだけれど、「そこで稼いだ時間を何に使ったのか? 病院へ人工呼吸器を入れたり医療体制を拡充したり、PCRのテストを拡充したのか?」というところを突かれて、トランプさんは必死に防衛して「そんなことはない」という5分くらいのプロモーションビデオみたいなものを出して、それを出すくらいにして自分のいままでの政策を弁明したわけです。最後の最後、質問がなくなるまで2時間30分それをやるわけ。それと比べたら安倍総理は2月29日から4回くらい会見やっているけれど、全部長谷川(栄一首相補佐官兼内閣広報官)さんがカットして。この前なんて「外交がありますから」なんて言って。ベトナムのトップと会うのとコロナウイルスの対策とどっちが大事だという話になってくるわけですよ。

飯田)「あとはメールで送ってください」という。

小西)それは違うでしょう。確かにトランプのやっていることはちぐはぐだけれど、安倍さんはニコニコ動画(4月6日配信「安倍首相に質問!みんなが聞きたい新型コロナ対応に答える生放送」)にそれだけ長い時間(※編集部注:1時間10分ほど)出る暇があるのだったら、記者クラブの前で2時間30分やってよという話です。記者団に対峙しないというところがアメリカと日本の違いだと思います。

2020年5月4日 新型コロナウイルス感染症に関する安倍内閣総理大臣記者会見 左は政府専門家会議・尾身茂副座長〜出典:首相官邸ホームページ(https://www.kantei.go.jp/jp/98_abe/actions/202005/04kaiken.html)

「発熱4日間ルール」に誤解があったのであれば発言者=政治家の責任

小西)厚労省が「発熱4日間ルール」をやめますという話(※編集部注:厚労省が2月17日に新型コロナウイルス感染症の相談・受診の目安として発表した「37.5度以上の発熱が4日以上続く」というルール)。これは非常に罪が深い話であって、加藤厚労大臣が「発熱4日以降というのは検査要件ではない」と。

飯田)「誤解があった」みたいなことをおっしゃっていましたね。(※編集部注:4月29日の参議院予算委員会)

小西)政治家というのはよく結果責任だと言われるのだけれど、結果というのは政治的な行動の結果で、当然発言も政治的な行動ですから、コミュニケーションの受け手側が間違っていたというのは受け手側の責任ではなく、発言側の責任なのですよ。コミュニケーションは発言する側と解読する側の両方で成り立つのだけれど、政治的なコミュニケーションの受け取り方が間違っていたのならば、それは政治家の責任なのです。

記者会見する西村経済再生相=2020年5月6日午後、内閣府 写真提供:共同通信社

コロナと経済再生の両担当ではアクセルとブレーキが同じところに

小西)コロナ対策はどの国でもパーフェクトなものはないと思うのです。イギリスもあのように右往左往してうまくいっていません。日本だけではないというのは当然そうなのだけれど、ただ日本の場合情報の出し方が非常に苛立つのは、方針を明確にしないのですよ。メディアや専門家が「PCR(検査を)ガンガンをやると病床がいっぱいになってしまう」という解釈をするのだけれど、明確に担当のトップから「こういうことだからPCR(検査数)を抑えています」という発言が出てこないのですよね。ようやく専門家の方が、例えば「NHKスペシャル」で「(PCR検査数を)抑えている」と発言したり節々で出てくる。最初から「ベッドが危ないから」と言ってくれたら「そうなのか」と思うのだけれど、それを変えるのだったら「変えました」と言わなければいけない。そのためにはアメリカだったらファウチ氏のような情報を一元的に安定化させて発信する人がいないですよ。最初のころ、ダイヤモンド・プリンセスのときは厚労省の役人がやっていたでしょう。

飯田)大臣ですらありませんでした。厚労省から何か的確な情報が出てくるかと言えばまったくそういう情報がなくて、官邸からもしばらく出てこなくて、ここへきてようやくという感じですものね。

小西)それから加藤厚労大臣が喋るようになって、いまは何故か西村経済再生担当大臣。経済なのかコロナなのかという話ですが。司令塔を決めてそこに権限を与える。韓国でも白髪が増えるくらい頑張っているような(※編集部注:政府・中央防疫対策本部の鄭銀敬(チョン・ウンギョン)本部長)、ああいった人をつくってその人に権限を与えるということを(日本も)やらなければ、これは長丁場だから今年中に収束させるためにもいまから組織づくりは大事だと思います。

飯田)各国、厚生大臣が表に出てきているケースが多いのですが、日本に関してはそれがふわふわという感じになっていますよね。

辛坊)初期のころは加藤さんが出てきていたけれど最近は西村さんが中心になってきて、いったい誰が中心かわからないですね。

小西)西村さんにコロナ担当と経済再生の2つというのはアクセルとブレーキが同じところにあるようなものです。

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