新型コロナウイルス蔓延に原油価格下落〜窮状に喘ぐロシア

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(5月8日放送)に外交評論家・キヤノングローバル戦略研究所研究主幹の宮家邦彦が出演。安倍総理がロシアのプーチン大統領と電話会談したニュースについて解説した。

会談前、握手するロシアのプーチン大統領(右)と安倍首相=2019年9月5日、ロシア・ウラジオストク(共同) 写真提供:共同通信社

日露首脳が電話会談〜8ヵ月ぶりの対話

安倍総理大臣は7日、ロシアのプーチン大統領と電話で会談した。新型コロナウイルスの感染収束に向けた緊密な連携を確認すると共に、北方領土問題を解決する平和条約締結交渉を引き続き進める方針で一致した。2019年9月の極東・ウラジオストクでの会談以来、8ヵ月ぶりの対話となった。

飯田)総理とプーチン大統領はよく会談している印象だったのですが、8ヵ月も途絶えていたのですね。

宮家)ここ数ヵ月はコロナがあったので、仕方ないと思うのですけれどね。平和条約締結交渉を引き続き進めるという点では、いままでと同じです。「北方四島へのビザなし交流を、感染収束後に再開する方針を確認」とも報じられているそうですが、当然ロシアにはそういうものを潰そうとしている人がいるわけです。そういう意味では、このことを議論したことは無駄ではないと思います。

2007年、クレムリンにて閣議を行うプーチン(ウラジーミル・プーチン-Wikipediaより)

プーチン氏が生涯大統領になるための2つの条件〜いずれも苦しい状況に

宮家)でも今のプーチン大統領にとっては、北方四島どころの騒ぎではないと思います。いま彼が目指しているものは政治的延命です。このまま行くと皇帝にはなれないけれど、生涯大統領になる可能性はあります。そのために憲法を改正し、彼が居残れるように布石を打って来ました。その布石が功を奏してようやく憲法改正案ができ、最近国民投票をやるはずだったのだけれど、それがコロナ騒ぎで止まっているのです。内政的にはそういう問題があります。もう1つ、大統領として残るためには国民経済をよくしなければいけません。ところが今のロシアは何もつくれない、石油や天然ガスの産出国です。そ原油価格が先物でマイナス40ドルなどという値段になってしまった。いまでも20ドル以下でしょう。サウジアラビアならば、1バレル当たり3ドルか4ドルで出るのです。

飯田)そのくらいコストが安いのですか?

宮家)ロシアとサウジアラビアでいちばん違うのは、ロシアはいろいろな技術を使って出しているようなので、生産調整がしにくい。一度始めたら止められないらしいのです。これだけ値段が下がった上に、生産を止められず売れない状況で、どうやってロシア経済を立て直すのか。今のロシアはアメリカから経済制裁も受けていて大変です。プーチン大統領は相当困っているはずです。

飯田)加えて、コロナウイルスがロシアでも蔓延して来ていると。

宮家)泣きっ面に蜂ですよね。お手並み拝見ですが、こういうときのロシアは結束します。強いリーダーを望む国民も多いでしょうから、余程のことがない限り彼は残るのだろうと思いますが、いままでのように余裕でできる状況ではないでしょう。そういう現状を考えると、いま日本は突っ込む良いチャンスなのかも知れないけれど、逆に固くなる可能性もあります。

集団感染が発生したソウルのオフィスビルで新型コロナウイルスの検査(PCR検査)を行う医療従事者=2020(令和2)年3月10日、韓国・ソウル NNA/共同通信イメージズ 写真提供:共同通信社

コロナ流行で各国が内向きになっている

飯田)人工呼吸器をロシアに提供するとトランプ大統領が言っていますが、アメリカも自分のことで精一杯ですよね。

宮家)いまはコロナと大統領選挙ばかりでロシアの話もほとんど出て来ません。とにかくトランプ大統領がちゃんとコロナ対策をやっているかどうかがカギです。アメリカは連邦制だから当然かも知れないけれど、各知事さんが判断することと、連邦政府が判断することが微妙に違います。トランプ大統領は大統領選再選を控えていて、それどころではない。彼の頭の中の95%くらいは選挙のことしか考えていないでしょう。

飯田)各々の国が内向きになるという世界が生まれているわけですよね。

宮家)コロナウイルスの影響で、その状況はますます促進されると思います。

飯田)そうすると、コロナ後には枠組み自体も考えなければならなくなる。

宮家)大きく変わると思います。

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