自公が第2次補正予算案早期編成へ〜官邸主導でなくなった背景

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(5月13日放送)に数量政策学者の高橋洋一が出演。新型コロナウイルスの感染拡大を受けた追加対策を盛り込む第2次補正予算案について解説した。

休日返上で開会された衆院予算委員会で答弁を行う安倍晋三首相=2020年4月29日午前、国会・衆院第1委員室 写真提供:産経新聞社

第2次補正予算案の編成に向け与野党が協議へ

自民・公明の与党両党が12日、新型コロナウイルスの感染拡大を受けた追加対策を盛り込む第2次補正予算案について、野党側とも協議を進め、今国会での成立を図る方針を確認した。会期末は6月17日である。

飯田)緊急経済対策の第2弾については、いろいろな観測報道が飛び交っていまして、総理が数兆円規模での編成を指示したとか、国会は6月17日で閉じて延長はしないと委員長が言ったというような報道など、さまざま出ております。数兆円規模という部分はどうなのでしょうか?

高橋)それはもう桁が違うというレベルでしょう。総理が数兆円規模と言ったという報道は、誰かがリークしたものをそのまま報じたということだと思います。

飯田)当然その思惑も含めて、ということですね。

高橋)そうですね。誰が補正予算を仕切るかという話です。普通であれば、予算なので財務省なのですが、いまは自民党のなかの人の方が世間の状況をより反映できます。自民党の人は状況を肌感覚として、中小の経営者をはじめ、大変だという世間の実態を把握しています。そういう人から見て、従来のパターンでは足りないと言っているのです。一方で財務省の人は、今回の話だと補正予算にはあまり関わらないので、そのようなリーク情報を流して、それをマスコミが流したという感じだと思います。

安倍晋三首相との面会を終え記者団の取材に応じる公明党・山口那津男代表=2020年4月15日午前、首相官邸 写真提供:産経新聞社

当初の30万円給付がひっくり返った背景

飯田)いままでであれば、どちらかというと官邸の方が政策の主導権を握って、党は追認ではないかと一部で批判されているところもありました。今回のコロナウイルス対策では、そこがひっくり返っているところがあるということですか?

高橋)ひっくり返っていますね。官邸でやっていたときに、30万円の話がありました。30万円のときは所得制限をするので、予算規模は4兆円くらいにしかなりません。それがあまりに少ないというので、ひっくり返しましたよね。あれをひっくり返したのは公明党となっていますが、安倍総理個人が「これではまずい」と思ってやったと私は見ています。逆に言うと、官邸でうまく仕切れていないのです。いまは自民党と公明党が中心となって補正予算をやっている状況だと思います。

飯田)もともと30万円を発案したのは岸田政調会長で、安倍総理が岸田さんに任せていたら、全然まとめられないので、下駄を二階さんに預けたと言われています。

高橋)あのままで行ったら真水も少ない状況で、すごい批判になったでしょう。あそこでひっくり返すことによって、真水をかろうじて増やしました。今回の2次補正は1次補正と同じくらいやらないと経済が持ちません。

【新型コロナウイルス 通勤風景】桃山台駅付近で渋滞する新御堂筋(左側の車線が大阪市内向き)=2020年5月11日午前、大阪府吹田市 写真提供:産経新聞社

GDPの10%の補正予算を出さないと間に合わない〜経済政策が失敗すれば自殺者は1万人規模に

飯田)1次補正は10万円一律給付を含めたところで、国債の発行額が23兆円くらいになった。

高橋)そうですね。だいたいGDPの5%くらいです。今回は大恐慌並みなので、GDPの10%以上出さないと話になりません。うまく経済政策ができないと、1年後くらいに失業者は300万人以上増えるレベルです。失業者が300万人以上増えると、自殺者は1万人ぐらいに増えるので、はるかにコロナより死者が出ます。そういうことをどう防ぐかが、マクロ経済政策のいちばんの基本です。そのときは従来型と言われますが、ケインズ型と言われる、真水を投入して有効需要を増やす方法しかありません。それをやるかどうかにポイントが絞られています。大恐慌並みに落ちるとなると、数兆円の補正では間に合うはずがありません。

加藤勝信厚生労働相と西村康稔国務大臣らが出席し行われた新型コロナウイルス感染症対策専門家会議=2020年3月19日午後、東京都千代田区

新型コロナ諮問委に経済学者を追加

飯田)その辺の経済との兼ね合いを考えると、緊急事態宣言の延ばし方、自粛の呼びかけ方もどうするのか。そこでコロナの諮問委員会のなかに、経済の専門家とされる人が入ることになりました。そのメンバーが12日に報道されました。大阪大学大学院の大竹文雄教授、慶応大学の井深洋子教授、東京財団政策研究所研究主幹の小林慶一郎氏、慶応大学の竹森俊平教授の4人です。この4人の人選はいかがですか?

高橋)マクロ経済から見たら緊縮ですね。補正予算の拡大を抑制しようという側に立つ人が選んだ人事でしょうね。

飯田)人選として、あえて極端な方に振ったと。

高橋)予算が膨らむのを訂正したいという意味でしょう。でもはっきり言うと、諮問委員会も最近休業だし、あまり関係ないと思います。もう補正予算は出てしまいます。補正予算が出てしまったら、経済のことを諮問委員会で議論しても意味がありません。

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