緊急事態宣言解除へ〜経済圏となる隣県との連携を考えるべき

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(5月14日放送)にジャーナリストの鈴木哲夫が出演。緊急事態宣言の解除について解説した。

外出自粛のため閑散とした、2020年4月5日、日曜昼の丸の内仲通り(2019年コロナウイルス感染症流行に対する日本の自治体の対応-Wikipediaより)

緊急事態宣言、39県解除へ

政府は13日、新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づき47都道府県に発令している緊急事態宣言について、重点的な対策が必要な「特定警戒都道府県」の一部を含む39県で解除する方針を固めた。

飯田)一方で政府は、緊急事態宣言解除後の特定警戒都道府県との往来については、引き続き自粛を求めています。政府の基本対処方針について発言する西村経済再生担当大臣のコメントです。

 

西村経済再生担当大臣)仮に解除がなされたとしても、その地域と特定警戒の地域との往来については自粛を求めて行きたいと。

 

飯田)特定警戒の茨城、石川、岐阜、愛知、福岡を含む39県ということになりそうです。正式な判断は14日夜にされるということです。

御堂筋で外出自粛の呼びかけを表示する大阪府警の車両=2020年4月30日午後、大阪市中央区 写真提供:産経新聞社

解除ありきになって動いてしまっている

鈴木)順番に違和感があります。解除されるということが先行していて、解除する理由が明らかになっていません。いま盛んに大阪モデルが素晴らしいと言われていますが、具体的な感染者数や陽性率、ベッドの空き状況などのデータがあって、それが何%以下になったから解除するということならばわかるのですが、解除ありきです。きょう(14日)、総理が会見すると言われていますが、順番が逆なものだから、すでに世の中は解除されるという前提で捉えています。39の県では人が出始めていたり、営業自粛を解いたりしています。政府のメッセージの順番が緩みにつながるのではないかというのは、前提として危惧するところです。

【新型コロナウイルス】JR新宿駅からマスク姿で職場へ向かう人たち=2020年4月15日午前、東京都新宿区 写真提供:産経新聞社

エリアを意識して経済圏の人の流れで考える

鈴木)これからですが、いかにいままで自粛していたものを徐々に緩和して行き、お店や人の流れをどのように元に近い形へ戻して行けるのか。このときに大事なことは、これからは自分の県だけでなく、エリアということを意識しなければいけません。日常生活のなかで、人の流れや経済圏があります。営業を緩和するにしても、あるところが突出して一気に緩和してしまうと、そこにまた人が流れます。日常生活の人の流れや経済圏を考えたときには、隣の県も合わせる連携が必要だと思います。

鈴木英敬-Wikipediaより

三重県の指針〜岐阜と愛知を含む東海3県の経済圏

鈴木)三重県の鈴木知事という方がいます。三重県は今回解除されると思うのですが、三重県は三重県なりに基準のデータをつくっていて、そこへさらに指針を加えているのです。それは経済圏が同じ隣県との比較です。パターンを3つ想定していて、1つは岐阜と愛知を含む東海3県。このすべてが解除されない場合。2番目は三重県が解除されたけれど、岐阜と愛知が解除されていない場合。3番目は全部が解除された場合。つまり、3県の足並みを揃えながらやって行きましょうということです。いままでの建付けだと三重県のことだけを考えればいいのだけれど、彼はさらに周りの県との連携を考えているのです。なぜ岐阜と愛知を選んだのかというと、経済圏や人の流れがこの3県は極めて密接なのですよね。

飯田)地図で見ると三重は北に滋賀があって、西には奈良県、南には和歌山県がある。それらの方が県境で接しているところは多いのだけれど、経済圏としては愛知と岐阜である。岐阜はほとんど接していないのですが。

鈴木)そうなのですよ。紀伊半島の他のところは関係ないと言ってはいけないけれど、そこには経済圏や人の流れがあまりないということなのでしょうね。こういうものは我々が日本地図を見ていてもわかりません。政府だってわからない。いま1つ例で出ているのは、関東であれば群馬です。東京に隣接している神奈川や埼玉や千葉には、人の流れがあります。だから一帯で考えなければいけない。さらに、そこから離れた関東圏内には、群馬や栃木、茨城があります。だけど栃木は感染者があまり増えていません。ということは、首都圏の人の流れがないのかも知れません。その3県のなかでは群馬が増えているのですが、群馬は新幹線なども通っていますからね。

飯田)新潟へ行くにも北陸へ行くにも、群馬を通りますものね。

鈴木)同じ近県であっても、群馬は経済圏だけれど、栃木は少し薄いのかも知れません。こういうことを見ながら、それぞれの県が自分の県で何をするのかを考える。県同士の連携が極めて大事になると思います。

【新型コロナ 箱根湯本】観光地の箱根湯本駅前商店街は軒並み臨時休業し、シャッターが閉まっていた=2020年4月29日午後、神奈川県箱根湯本 写真提供:産経新聞社

コロナ対策でもう1度考える道州制

飯田)これは1歩進めると、公衆衛生では人の流れが重要になります。経済の流れが重要になると考えたら、最近下火になっていますが、道州制のように、大きなブロックで人の流れを規制することを考えると、はたして都道府県の単位がいいのかどうかという議論は、ポストコロナでも必要かも知れませんね。

鈴木)こうやってエリアごとに見ると、島根と鳥取は一体感があるなとか、そこに山口も加わって経済が1つであるということになると、日本の統治の仕組みを道州制で考えてもいいのではないか。これは今回のコロナもそうですが、世界的に見ると、州があるところは州単位でかなりの権限を持ってやっています。アメリカやドイツがそうです。危機管理ということでは、州というのが1つあるのだろうと。これは新しい生活様式だけでなく、新しい日本の統治の仕組み、行政を考えるきっかけになると思います。そういう意味では、これからは何でも国頼みではなく、緊急事態宣言の緩和に関しては、エリアごとの連携を考えてもらいたいと思います。

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