レナウン民事再生〜旧態依然としたビジネスモデルによる経営破綻

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(5月18日放送)にジャーナリストの須田慎一郎が出演。アパレル大手レナウンが東京地裁から民事再生手続き開始の決定を受けたニュースについて解説した。

記者会見する、アパレル大手レナウンの社長に就任した毛利憲司氏=2020年3月27日午後、東京都江東区 写真提供:産経新聞社

アパレル大手レナウンが民事再生

アパレル大手レナウンは15日、新型コロナウイルスの感染拡大による営業休止によって、衣料品の販売が急減して資金繰りに行き詰まり、東京地裁から民事再生手続き開始の決定を受けたと発表した。ブランド力の低下や親会社グループからの資金回収の遅れで、前期まですでに2期連続の赤字となっていた。

飯田)負債総額およそ138億円ということですが、親会社グループが中国の会社で、そこへの売掛金が回収できないということがあったようです。どうご覧になりますか?

須田)直接的には新型コロナウイルスの感染拡大による経営破綻と見られています。これは全世界に及んでいて、親会社も資金繰りに窮しているという状況もあるので、もちろんその影響はあります。しかし、それがなかったとしても、いずれこのビジネスモデルは崩壊すると見ていました。レナウンは昭和のアパレルメーカーのビジネスモデルをずっと維持してやって来たのです。それが、ここ近年は赤字が続いていた。ビジネスモデル自体が古くなって来ていて、そこを変えない限り、将来はなかったのです。それが最終的に、今回の新型コロナウイルスによって息の根を止められたということに過ぎないのだと思います。

レナウン(企業)-Wikipediaより

旧態依然としたブランド価値を変えることができなかった〜新たな消費者ニーズに対応できず

須田)その旧態依然としたビジネスモデルが何かと言うと、ブランドを開発し育て、そのブランド価値を守って利益を上げるということです。「百貨店で販売します。値引きはしません」というブランド価値です。古いビジネスモデルを続けて来たのですが、ここ数年のインターネット販売の普及、消費者ニーズの変化によって、ブランド価値が魅力を失ってしまった。そういう変化に対応できなかったということで、これは仕方がないのだろうなと思います。

飯田)ファストファッションに相当押され、インターネット通販などにも押されていたということが報道されています。かなりの地殻変動が起こっているなかで、対応できずにこうなってしまったということですか?

須田)そうですね。今回の経営破綻処理は、民事再生という新たなスポンサーを見つけて事業再開を目指します、ということなのだけれども、いまのレナウンに企業価値がどれだけあるのか。ブランド価値があるのか、商品やサービスがあるのかとなると、これも1からつくらなければなりません。では、それをつくるだけのノウハウがレナウンにあるのか、マンパワーはあるのかというところを見ると、なかなか手を出すところはないでしょうね。

アクアスキュータムのクラブチェックのマフラー(アクアスキュータム-Wikipediaより)

「アクアスキュータム」が中国で売れず〜買収した山東如意の見込みが外れる

飯田)それもあって国内企業ではなく、山東如意科技集団という中国企業が親会社になっていたところがあるのでしょうか?

須田)レナウンはアクアスキュータムという、イギリスのブランドを持っています。もともとアクアスキュータムとライバル関係にあるバーバリーが、中国で人気を博していて、それに続いてアクアスキュータムも売れるのではないかという見通しのなかで、レナウンの買収に入ったのです。ところが、バーバリーは人気があるのだけれども、アクアスキュータムは中国の消費者に支持されなかったという経緯があります。買収した側にとっても見込み違いが出てしまったのではないでしょうか。

飯田)僕らの上の世代からすると、レナウンと言えばCMでもお馴染みだったし、衝撃は大きいようですね。

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」

「アーノルドパーマー」に続く成功例をつくれなかった

須田)我々の世代からすると、レナウンのアーノルドパーマーというブランドは絶大な人気でした。10人中8人くらいが、傘のマークの入ったアーノルドパーマーの靴下を履いていました。

飯田)そういう大成功があって、相当稼いだ。でもその成功があったから、他に行けなかったというところなのですかね?

須田)アーノルドパーマーはレナウンが開発したのです。あのブランドはアメリカではなく、日本発なのです。

飯田)パーマーさんのデザインというわけではなかったのですね。

須田)そうなのです。ゴルフの黎明期に当たり、そのなかであのブランドが出て来た。1つのブランドを開発したという点ではレナウンの大功績なのだけれども、それに続くブランド開発に失敗して来たという経緯があります。

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