台湾のWHOへのオブザーバー参加は当然のこと

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(5月18日放送)にジャーナリストの須田慎一郎が出演。WHOへの台湾のオブザーバー参加について解説した。

中央流行疫情指揮中心で行政副院長陳其邁(左)とNHCC指揮官陳時中(右)に同席した総統蔡英文(2020年2月7日)(台湾における2019年コロナウイルス感染症の流行状況-Wikipediaより)

WHO総会、加盟の条件「一つの中国」を台湾が拒否

世界保健機関(WHO)の年次総会が18日からテレビ会議方式で開かれ、新型コロナウイルスへの対策を議論する。感染対策で成果を挙げた台湾はオブザーバー参加を求め、欧米や日本なども参加を後押ししているが、中国は「一つの中国」の同意という強硬な反対姿勢を崩しておらず、台湾は当然これを拒否。参加が実現する見通しは立っていない。

飯田)台湾の参加問題のみならず、新型コロナウイルス対応の初動などをめぐって、アメリカと中国は激しく対立する見通しです。台湾の参加は、日本も含めていろいろな国が後押しをしているのですけれども、中国は認めない。

談話を発表する台湾の蔡英文総統。中国からの選挙介入を防止する「反浸透法」に署名し公布したことを明らかにした=2020年1月15日 台北の総統府 写真提供:産経新聞社

WHOに政治問題を持ち込むこと自体が間違っている

須田)これはポイントが2つあると思います。1つは政治的な問題です。2つ目は、2国間の問題ではないでしょうか。2国間というと、中国が激しく反発して来るのかもしれませんが、中国と台湾の間の問題であると考えると、WHOという世界の人々の健康等を守ることを前提としている組織のなかで政治、或いは2国間の、2つの地域の政治問題を持ち込むこと自体がアウトではないかと思います。「一つの中国」というテーマを台湾が拒否しているということではなくて、それをこの場に持ち込むのがおかしいだろうということです。WHOを政治の舞台にしていること自体がおかしいのです。そのことに対する是非ではなくて、それを持ち込んでいること自体がおかしいという立場。これは日本も欧米も一緒だと思います。

増加ピーク過ぎたとWHO  記者会見するWHOのエイルワード氏=2020年2月24日、北京(共同) 写真提供:共同通信社

感染症対策として、WHOとして台湾を入れないという議論は成り立たない

須田)そもそも、新型コロナウイルス感染症の対策ということを考えると、同じ対策を同時に漏れなく全世界で取ることが、最も重要とされているわけです。台湾には2400万人の人口がいます。2400万人もの人口があるところに対して、対策が取れない、情報やデータ提供ができないという状況です。そのような漏れをつくってしまうこと自体が、感染症対策のなかで大きな落ち度になるのではないかと思うのです。WHOの役割として、中国の顔を立てる方が優先順位が高いのか、それとも全世界の人々の健康を守ることが大事なのかと考えると、当然後者です。台湾を入れるとか、入れないという議論は成り立たないのです。オブザーバー参加を認めて当然です。いままでやらなかったこと自体を反省すべきであり、早急に参加を認めるべきです。

飯田)台湾自身も、新型インフルエンザに関しての情報交換のスキームを使ったりして、何とか必死にやっていますけれども、できることならWHOのスキームを使った方が楽に情報交換ができるわけですものね。

2012年総統選時の馬陣営の集会(2012年1月7日)(馬英九-Wikipediaより)

馬英九政権時の台湾はオブザーバー参加を認められていた

須田)台湾が参加していない状況においても、台湾とWHOに加盟している国々との人やものの交流は発生しているわけですからね。そこを遮断することはできないのです。これは台湾にとってのリスクだけではなくて、それ以外のWHO加盟国にとっても大きなリスクになります。台湾がオブザーバー参加を仮に拒否したとしても、WHOは強引に参加を求め、加盟させるべきだと思います。2009年〜2016年までは、台湾のオブザーバー参加を認めていた経緯があるのです。これは馬英九政権が親中姿勢で、「一つの中国」を認めていた政権だからです。そのことを踏まえると、いま考え方が変わったから拒否するというのはおかしいと思います。

飯田)全世界の人々の健康を司っている機関が、それでいいのかと。そういうことをやっていると、存在理由からして疑問が残ってしまいますよね。

須田)そもそも論で言えば、馬英九政権時代のオブザーバー参加というのは、事務局長権限で参加を認めたという経緯があるのです。

飯田)当時、香港出身のマーガレット・チャンという人でした。

新型肺炎/テドロスWHO事務局長がパンデミック宣言=2020年3月11日 写真提供:時事通信

事務局長の交代も考えるべき

須田)ところが、いまのテドロス事務局長は「その権限はない」と言っています。そのこと自体が、中国に対して顔色を窺っているという状況になっています。全世界の国民の健康を守るという点において、テドロス事務局長はその適格性に欠いていると言えます。こういう状況が続けば、事務局長の交代も考えるべきだと思います。

飯田)しかし、事務局長だけでなく特別補佐の人間など、さまざまな人が中国に忖度して、中国は素晴らしいという発言を繰り返しています。組織にも抜本的なメスを入れなければならないということまで、アメリカは考えていますか?

須田)最近になって、中国並みの資金供給をするという方向になってはいますが、一時は「もう資金は一切出さない」と、かなり強硬な姿勢に転じたのも、そこにあるのだと思います。WHO加盟国の間の多数決で決めるという提案も、ないことはないのだけれども、そのこと自体おかしいのです。おかしいということを我々は認識すべきだろうと思います。台湾はオブザーバー参加して当然なのです。

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