アメリカ民間有人宇宙船の打ち上げ延期〜日本の宇宙船開発の現状は

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(5月29日放送)に北海道大学教授・国際政治経済学者の鈴木一人が出演。アメリカの民間有人宇宙船「クルードラゴン」の打ち上げが延期になったニュースについて解説した。

スペースXの打ち上げ延期

アメリカのスペースXとアメリカ航空宇宙局(NASA)は、フロリダ州のケネディ宇宙センターで日本時間28日午前5時33分に予定していた新型の有人宇宙船「クルードラゴン」の打ち上げを、悪天候のため中止した。NASAの宇宙飛行士2人を乗せた打ち上げは、日本時間31日午前4時22分に延期。アメリカの宇宙船による有人飛行は2011年のスペースシャトル引退以来、9年ぶりで、民間企業が主体で開発した宇宙船による有人飛行は初めてのこととなる。

飯田)スペースXは、テスラモーターズをつくったイーロン・マスクさんがやっているところですよね。アメリカはベンチャー企業がロケット開発をやるのだと思っていたら、もう有人宇宙飛行なのですね。

アメリカでは民間が宇宙飛行のプロジェクトを進めている

鈴木)この有人宇宙飛行のプロジェクトというのは、約10年前、2010年からこれまでNASAがやって来たことを、地球に近い宇宙空間では、民間にどんどんやらせて行こうということで進められて来たものです。スペースシャトルを引退させた後は民間でやるという、時代の転換というのでしょうかね。それを進めて来たなかで、スペースXがやるということで、有人宇宙船を10年間かけて開発したのです。スペースXだけではなく、もう1つボーイングも選ばれています。ボーイングが少し遅れているのですが、最初は15社くらいが参入していました。アメリカは国がお金を出しながらも、民間にどんどんやらせて行くということで、宇宙産業を育てて来ています。宇宙開発を長く見て来ている人間からすると、来るべきところに来たという感じです。

飯田)今回、宇宙飛行士はNASAで育てて、スペースXは乗り物の方を担当するというイメージでいいのですか?

鈴木)宇宙飛行士自体はNASAが育てるというか、宇宙ステーションに行く要員としての宇宙飛行士です。将来的には、トレーニングを受けている宇宙飛行士ではなく、お客さんとして一般人が乗ることを目指しているのですけれども、今回は試験飛行なので、ある程度訓練した人が行くということです。当面は宇宙ステーションに人を運ぶということになります。

宇宙に人を送っても安全保障上のメリットはない

飯田)この宇宙開発は、観光という夢のある側面もありつつ、一方で軍事的な利用ということも言われています。それは有人の部分とは別枠ということになりますか?

鈴木)宇宙に人が行っても安全保障上、あまりメリットはないと思います。宇宙に人間を送ろうとすると、当然水も食料も空気もないわけですから、ものすごく荷物が重たくなってしまいます。人間をそこまでして送っても、安全保障上のメリットはないだろうと思います。例えばカメラよりも人間の目がいいわけはないので、カメラを搭載すればいいのです。ただ将来、月に基地をつくり、そこで資源を発掘するなど、人間の活動が起こるようなことになれば、また条件は変わって来ると思いますが、それは先の話です。いまのところは、安全保障と人を宇宙に送るという話は、切り離して考えておいた方がいいと思います。

日本での宇宙船開発の現状

飯田)一方、日本ですけれども、堀江貴文さんが自前で打ち上げるということを、北海道でしているという断片的なニュースはあるのですが、実際の取り組みとしてはどこまで行っているのですか?

鈴木)日本では、H-2A、H3という基幹ロケットがありまして、それ以外にもイプシロンというロケットもありますけれども、民間でいま進めているのは堀江さんのところと、スペースワンというキヤノンの子会社や清水建設などがやっているものがあります。ただ、やはりお金もかかりますし、リスクもあって、技術開発も難しい。まだ発展段階で、スペースXのように見せられるところまでは来ていないというのが現状です。北海道ということで堀江さんのロケットは、私も応援しています。

飯田)目標としては、人を運ぶというより、ものを運ぶ方に特化するのですか、日本は?

鈴木)小型ロケットですので、ものを運ぶことが目的です。人を運ぶというのはJAXAが目指してはいるのですけれども、アメリカでもできて、お金を払えば宇宙に行けるという時代になってしまうと、日本が開発する意味を問われてしまいます。税金を使って開発するわけですから、日本人が行けるようにすると言っても、「お金を払って自分で行きなさい」ということになると、税金で行くかどうかは、また別の話だと思います。

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