在外邦人にも10万円給付することの意義 青山繁晴が語る

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(6月12日放送)に自由民主党参議院議員の青山繁晴が出演。新型コロナウイルス対策の2020年第2次補正予算について解説した。

首相官邸への申し入れを終え、記者団の質問に答える日本の尊厳と国益を護る会・青山繁晴代表幹事=2020年2月14日午後、首相官邸 写真提供:産経新聞社

第2次補正予算、成立へ

参議院予算委員会は11日、新型コロナウイルス対策の2020年度第2次補正予算案に関する質疑を実施した。予算は12日の参議院本会議で可決、成立の見通しである。

飯田)全体の予算、あるいは補正全体も含めたコロナ対策について、どうご覧になっていますか?

青山)政府の施策で休業してもらっているのですから、当然、その補償をしなければいけない。補正予算を大きく組むのは当然のことです。その上で、補正予算で10兆円というかつてない予備費が積まれて、その半分の5兆円は与野党の話し合いで大まかな使い道が決まっているけれど、使い道の決まっていない5兆円が残っている。1年前にこの話をしても誰も信じないようなすごいことです。そのおかげで、できそうになっていることのなかに、海外にお住まいの日本の国民にも10万円を給付する方向になっているということがあります。まず、この予算を組むときに外務省も総務省も、法務省も自分のところの予算になるのを嫌がったのです。

飯田)これに関しては嫌がるのですか?

衆院本会議で令和2年度第2次補正予算案が賛成多数で可決し一礼する安倍晋三首相(右)。中央は麻生太郎副総理兼財務相=2020年6月10日午後、国会 写真提供:産経新聞社

海外在住の日本国民にも10万円給付することの意義

青山)いまも嫌がっています。「うちの予算に計上して欲しくない」と。常に新しいことをやりたくないのが官僚機構だけれども、自分たちのやって来たことで予算がいっぱいなのに、そこに予算を新しく積むと、財務省から他のところのお金を削られると言っているのです。そういう官僚機構の現実がある以上、使いやすい予備費を積んでおくというのはプラスになるわけです。海外の日本の方々を、僕は同胞と呼んでいます。僕が最初に「海外にお住まいの日本国民にも10万円の給付を」ということをブログに書いたときに、「海外に行っている日本人はお金持ちが多い」とか、「日本を捨てて行った人がいる」、「そんな連中に」と書いて来る書き込みがありました。「もっと国内の心配をしろ」と書いてあった。それは気持ちとしてはよくわかります。ただし、最初にいちばん困っている方に「30万円を給付する」と、安倍総理なりに決断をしました。それを僕自身も、「日本の尊厳と国益を護る会」も、多くの自由民主党議員も声をあげて、公明党も最終的には声をあげ、全国民に一律10万円ということに変わったのです。その瞬間というのは、僕は日本が原点に戻ったときだと考えています。

令和2年度補正予算案が全会一致で可決した参院予算委員会=2020年4月30日午後、国会・参院第1委員会室 写真提供:産経新聞社

在外邦人含めて全国民に給付〜日本人の古代の原点

青山)古代の仁徳天皇が、「民のかまどから煙が上がっていないから、税金を取るのをやめる」とおっしゃったときに、本当は家が並んでいて、煙が上がっていた家もおそらくあった。それからお金はあるけれど、たまたま上がっていない家もあった。税金を払っていない人も、犯罪に手を染めようとしている人もいたでしょう。でもそういうことは関係なく、「すべて同胞として救うべきときには救う」ということが、我々の古代の原点なのです。その上で全国民一律10万円ということは、国内でも税金を払っていない人も、脱税しようとしている人もおそらくいらっしゃいます。それから、お金持ちの方もいらっしゃいます。でもそういうことにこだわっていたら、同胞という気持ちも失うので、全国民一律にしたのです。同じことが海外の人にも言えるわけで、日本を捨てて行った人もいらっしゃるかも知れないし、税についても過度の節税をしている人がいるかも知れない。でも、そういうことを乗り越えるということが今回の原点なのです。

【新型コロナウイルス】緊急事態宣言解除から初の週末を迎えた東京・銀座の中央通り=2020年5月30日午後、東京都中央区 写真提供:産経新聞社

全世界の邦人の数を把握できない

青山)ところが今週になって、総理の指示で杉田和博官房副長官、つまり全官僚のトップが外務省の事務次官、総務省の事務次官、外務省の領事局長の3人を呼んで協議したときに、また官僚の方から、できない理由がたくさん並べられた。例えば、日本から海外に送金しようとすると、手数料が最大という意味だと思いますが、50倍かかりますと。それから全世界に散らばっている邦人を把握できていない。実はここにいちばんの根っこがあって、外務省の在外公館の数が少ないというのは本当だから、日本人がどこにどれだけいらっしゃるかは把握できていない。いままで外務省が140万と言っていたのも、実は根拠がない。

飯田)根拠がないのですね。

青山)これまではそれを知られるのが嫌だったのですが、今度は逆に「よくわかっていないから支給できません」と言っている。これは全部技術的な問題です。党の役割は終わったのではなく、自由民主党の結束を強めて、もう1度取り組み直し、政治的にはすでに決着しているので、技術的な壁も乗り越えようとしているところです。これは私たちが日本の原点に戻ることなのです。みんなと一緒に考えて実現したいです。

新型コロナGW空撮 関空に駐機しているANAの機体=2020年5月2日、関西国際空港 写真提供:産経新聞社

在外邦人にも給付されるべき

飯田)「まにら新聞」というフィリピンで出している日本語新聞があって、ウェブサイトもあります。ここに解説記事が掲載されていますが、2009年の定額給付金が海外の邦人には配られなかったことも引きながら、「このような差別や区別というのは、いい加減やめるべきだ。現地にいる人たちはいま、食うや食わずで困っている人たちもたくさんいるし、お金持ちだから外に出るというような時代ではもうなくなっている」と切々と語り、「フィリピンにおいては、かつて日本人として生まれながらその後、フィリピンに残留孤児のようなかたちで残っている人々がいる。いま国籍が認められたこの人たちにとって、この70年間の辛苦に対して労いになるだろう」と。これこそがまさに同胞ということだと強く感じました。

青山)そのまにら新聞の方からも「コメントをください」と言われています。それと誤解なきようにしていただきたいのですが、最初に僕がいただいた「海外に行っている人は云々」というコメントも、僕は非難して言ったのではなくて、むしろ「そういう誤解が、賢い日本人のなかにもあるのだ」ということが僕に伝わったので、意義は大きかったのです。海外の同胞の方からも「私たちは日本人ではないのでしょうか」という訴えもたくさん届いています。直接、みんなの声がブログのおかげで伝わって来て、それが内閣総理大臣も、党をも動かしたのです。まだ動いていないのが省庁ですが、それをじりじりと動かしている過程です。ですので時間がかかるということは許していただきたい。

飯田)支給するので現住所を教えてくださいということで、ここから正確なデータが取れるきっかけになりますよね。

青山)在留届をみんなが出してくれるわけではないので、外務省が把握できないということもあります。在外公館のスタッフの数からすれば、機械的に全部補足することは、140万人は違っていたとしても、少なくとも100万人を超えていることは間違いない。日本国民が海外でどう活躍し、暮らしていらっしゃるかを補足するのが、本来の外務省の大きな役割です。その転機になるとも思っています。

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