衆議院10月解散説〜背景にあるのは11月の“2つのリスク”

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(6月25日に放送)にジャーナリストの鈴木哲夫が出演。安倍総理が山口公明党代表に、衆議院解散は「頭の片隅にもない」と発言したというニュースについて解説した。

新型コロナ特措法施行などについて会見で記者団の質問に答える安倍晋三首相=2020年3月14日午後、首相官邸 写真提供:産経新聞社

安倍総理〜衆議院解散について「頭の片隅にもない」と発言

安倍総理大臣は24日、公明党の山口代表と会談し、衆議院の解散について「頭の片隅にもない」と語った。新型コロナウイルス対策や経済の回復に全力で取り組むとのことである。

飯田)24日に官邸でお昼ご飯を交えながら、山口代表とはおよそ1時間の会談をしたようです。会談後の記者団の質問に答えた山口代表が明らかにしたものだそうです。

安倍晋三首相との面会を終え記者団の取材に応じる公明党・山口那津男代表=2020年4月15日午前、首相官邸 写真提供:産経新聞社

一方で、「必要ならば躊躇なく行う」とも

鈴木)いつも頭の片隅にもないということは、「真ん中にはあるのですか?」ということになります。総理自身がそのように話しておりますが、一方で、「必要ならば躊躇なく行うのだ」という趣旨のことも同時に言っています。要するに解散権というものを自分の求心力の武器にして、「いつ切るのかわかりませんよ」という状況なのです。ですので、いつ解散があってもおかしくない。そもそも衆議院の任期、安倍総理の任期までは、あと1年と少しですね。

飯田)いずれも来年(2021年)の秋ですよ。

鈴木)となると、いつ解散があってもおかしくない時期には入って来ています。「サンデー毎日」にも書いたのですが、安倍総理に近い議員が10月解散という話をしました。表現としては、「針の穴を通すタイミングで10月解散」という言い方をしました。

飯田)ピンポイントなのですね。

米西部ネバダ州ラスベガスでの支持者集会で演説するトランプ大統領。「米国は偉大なる再起の途上にある」と述べて11月の大統領選での再選に向け結束を求めた=2020年2月21日 写真提供:産経新聞社

11月にある2つのリスクの前の10月解散説

鈴木)どういうことかというと、11月には2つのリスクがある。1つはオリンピックです。IOCが来年オリンピックを行うのかどうかを、11月ごろに決めるという情報がある。もう1つのリスクというのは、アメリカ大統領選挙です。トランプ大統領がどうなるのか。

飯田)トランプさんが勝つのか、バイデンさんが勝つのか。

鈴木)もちろんオリンピックを行うという決定かも知れません。トランプ大統領が再選されるかも知れない。しかし、逆もあるわけです。そうしたリスクの前にということです。さらに、コロナウイルスがどのようになっているのかわかりません。それならば、コロナに向かっての最大の経済対策を掲げる。そのなかの1つで大きいのは、消費税減税も考えるのではないかということです。ドイツが行ったように永久に減税ではなく、半年や1年の期限付きです。それを掲げて勝負するのではないかと。11月を越えると2つのリスクはどうなるのかわかりませんし、年が明けて来年になれば、レームダック化する可能性もあります。さらに党内では、ポスト安倍をめぐる政治的な駆け引きも始まっている。そうしたなかで安倍総理としては、1年と少しの任期です。しかし、実はこの取材した側近は、4選の可能性も否定はしていません。

飯田)そうなのですね。

衆院本会議で令和2年度第2次補正予算案が賛成多数で可決し一礼する安倍晋三首相(右)。中央は麻生太郎副総理兼財務相=2020年6月10日午後、国会 写真提供:産経新聞社

一方で安倍総理4選の可能性も

鈴木)行うとは言っていませんが、まだ総理は決めていないのではないかと言うのです。そうなると4選の可能性がありますし、辞めるとしても自分の考える後継を決めて、しっかりと流れをつくりたい。安倍総理としては、主導権は最後まで持っていなければならないのです。その主導権を握るためには、自分の手で解散をし、そこそこの勝利を収めて、最後の任期もどう進むかはわかりませんが、主導権を持って行く。そういうイメージなのです。そのことを私が書きましたら、甘利さんも時事通信のインタビューで同じようなことをおっしゃっていたので、可能性はあります。

会見に臨む自民党・二階俊博幹事長=2019年2月26日午前、国会内 写真提供:産経新聞社

微妙な関係の安倍総理と二階幹事長

飯田)この「頭の片隅にもない」ということに関して、メールをいただいています。東京都北区の“はるぞう”さんから、「昨日(24日)、安倍総理と二階幹事長が会食をしていましたよね。解散の件で話し合われたのでしょうか?」ということです。

鈴木)去年(2019年)の内閣改造のときに、幹事長をどうするのかという話がありましたよね。

飯田)幹事長から引いて、副総裁になるのではないか。そこに岸田さんを持って行くのではないかという説がありましたね。

鈴木)そうです。そうした2人の話が、短い時間のなかであったと言われています。その辺りから二階さんと安倍総理の関係というのは、微妙だと思います。安倍さんにしても二階さんにしても、お互いに得をするポジションにいて、「大人なお付き合いをしましょう」という関係だと思います。ですので、24日に会ってはいますが、「二階さん、解散はどうしますか?」という話はおそらくしていないのではないかと思います。総理も気を使い、二階さんも必要以上のことは言わない。腹の探り合いではありませんが、「これからもよろしく」というような中身であった気がします。

飯田)選挙となれば当然、幹事長の差配というものが大切になって来ます。

2020年5月25日、会見を行う安倍総理〜出典:首相官邸ホームページ(https://www.kantei.go.jp/jp/98_abe/actions/202005/0525kaiken.html)

10月総選挙〜人事を一新して挑むのか、それとも骨格は変えずに挑むのか

鈴木)私の聞いた側近は「思い切って改造をし、菅官房長官や二階幹事長を変えて、新しい形で選挙に挑む手もあるな」と言っていました。ところが別の側近は、「そう簡単に変えられるのだろうか」と。二階さんはポスト安倍として動いているので、この人を野に放つと完全に反安倍になってしまう可能性もある。もう1つは、菅さんです。現在、距離があると言われていますが、実は公明党と官邸のパイプは菅さんが持っているのです。やはり公明党との関係は、安倍さんにとって重要になって来ます。ならば菅さんを本当に変えていいのかとなります。結局、二階さんも菅さんも変えられない。そして骨格は何も変わらないということになるのではないかという、別の見方も出ている。ですので、人事に関しては閉塞感のある全体的な見方があふれています。

飯田)そこに来て先週末(19日)に、安倍さん、麻生さん、甘利さん、菅さんというメンバーで会食というのが総理動静に出たりもして、これは何だろうと思いました。

鈴木)私は消費税に関してだと思います。5%から8%に上げるときに、この方たちはみんな異なることを言っていました。「上げたほうがいい」、「上げるべきではない」と、それぞれ役割分担をしていろいろな落としどころをつくり、最後に総理が英断をして上げるということを決める。「議論で百出したので、もういいか。総理はよく決めたな」という演出になる。そのときのメンバーなのです。当時、私はそのなかの1人から毎朝打ち合わせをしていると聞きました。消費税を減税して、選挙に突っ込んで行くための役割分担を話すメンバーのような気もします。

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