デジタルトランスフォーメーション(DX)化できない企業は淘汰される

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(7月1日放送)にジャーナリストの佐々木俊尚が出演。5月の有効求人倍率が1・2倍になり、前月からの下げ幅が46年4ヵ月ぶりとなったニュースについて解説した。

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」

5月の有効求人倍率1・2倍に低下〜46年4ヵ月ぶりの下げ幅

加藤厚生労働大臣)令和2年5月の有効求人倍率が1・20倍と、前月よりも0・12ポイント低下しました。これは昭和49年(1974年)1月に0・20ポイント減少して以来、過去2番目に大きな下げ幅となっております。

 

厚生労働省は6月30日、5月の有効求人倍率が1・20倍になったと発表した。前の月を0・12ポイント下回る5ヵ月連続の低下で、オイルショック後の1974年1月以来、46年4ヵ月ぶりの下げ幅となっている。

飯田)足元の経済は厳しいですね。

佐々木)ただ、完全失業率が2・9%と悪化はしていますが、リーマンショックのときは5・5%ですから、数値としてはそこまで悪くないです。

飯田)完全失業率が。

【新型コロナウイルス】緊急事態宣言解除から初の週末を迎えた東京・銀座の中央通り=2020年5月30日午後、東京都中央区 写真提供:産経新聞社

休業者率が10%〜600万人がコロナで休業者となっている

佐々木)5%を超えると相当なものです。今回、もう1つ見なければいけない指標が、通常では絶対に出て来ませんが、休業者率です。給料をもらっていて会社に属しているのですが、働いていない…コロナで休業している人です。これは通常、毎月100万人くらいいますが、4月は420万人増えて、597万人です。なぜ休業者になっているのかと言うと、緊急事態宣言が出ていましたが、これがずっと続くわけではなく、「6月か7月になれば普通に戻るだろう」と、会社が解雇しないで休業してもらったからです。もう1つは、ヨーロッパやアメリカであればすぐに解雇するのでしょうが、日本は解雇規制が厳しいので、避けて休業に抑えています。この600万人全員が失業者になることはないと思いますが、もし仮に全員が失業者となると、第一生命経済研究所のエコノミストさんが試算していますが、10%を超えます。

飯田)雇用者数で考えると、だいたい6000万人くらいだから、600万人となると10%。

佐々木)現状、7月に入った段階で600万人の休業者がどうなったか数字が出ていませんが、どのくらいが会社に復帰できているか気になります。企業側は4月と5月だけで、6月以降は大丈夫だろうと目算で休業者にしていますが、それが7月〜8月に復活できるかが問題です。製造業はともかく、観光、飲食業は壊滅的な状況が未だに続いています。特にインバウンドはゼロです。

飯田)事実上、鎖国状態にありますから。

佐々木)まったく復活できないところも、分野によっては多いと思います。現状の2・9%だけではわからないので、夏ぐらいの数字を見る必要があります。でも夏の段階で何もしていなければ、復旧できなくなってしまうので、現状で国がもう1度何とかするしかないと思います。

【新型コロナウイルス関連】「東京アラート」が発動された翌日、新橋駅周辺で営業する居酒屋=2020年6月3日午後、東京都港区 写真提供:産経新聞社

ビジネス業種転換など、抜本的な構造転換をせざるを得ない企業も

飯田)いまのところは、雇用調整助成金や持続化給付金などで維持している状態です。海外旅行者向けのビジネスだと、転換する方向にシフトしなければなりません。

佐々木)結局、生命維持装置を付けているだけなので、病気は治らないのです。コロナ後に病気を治すとなると、ビジネス業種転換など、抜本的な構造転換をせざるを得なくなる可能性が出て来ます。でも、これをどうやってやるかはわかりません。

飯田)そちらに人もお金もシフトしていた部分を、もう1度舵を切りなおさなければならない。

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」

コロナによって否応なしに加速化するデジタルトランスフォーメーション(DX)化

佐々木)今回、いろいろな見方があって、リモートワークが東京の大企業では広がっています。カルビーが無期限リモートワークで単身赴任をなくしますとか、日立も同じことをしています。これで一気にデジタルトランスフォーメーション(DX)、デジタル化が進むのではないかという話も出ています。日本はいままでDXに似たような用語が山ほどあって、オフィスオートメーション(OA)の時代から30年くらいIT化、コンピュータ化と言っていますが、全然進んでいません。これがコロナで一気に進むかも知れません。満員電車がいつまでたってもなくならなかったのに、コロナでなくなった。そうすると、中間管理職がますますいらなくなり、自宅でパソコンを使うので会社でパソコンの保守、運用するバックアップの仕事もなくなって来ます。インドはそういう仕事をアメリカからたくさん引き受けていたのが、仕事が消滅して来ているという記事を「クオーツ」というアメリカのメディアが書いていました。これが一気に進むと、デジタルトランスフォーメーション(DX)ができない人材、企業はなくなって行く可能性があります。無理矢理に構造転換せざるを得ない状況が出て来るかも知れません。相当なハードランディングになりかねないので、職を失って苦労する人が一時的に出る可能性が極めて高いです。やって行かなければならないのですが、やるまでの阿鼻叫喚を想像すると、難しいところです。

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」

必然となる働かない社員の淘汰

飯田)転換に対応できる企業であっても、企業のなかで転換に対応できる人材と、そうでない人材が出て来る可能性もあります。使えない人があぶり出されてしまう。

佐々木)10年くらい前から「ソリティア社員」と言って、会社に行くとゲームのソリティアしかやっていないような人が揶揄されましたが、そういう人たちが大企業には残っているので、そういう人たちの仕事がなくなります。「いい気味だ」と言う人もいるかも知れませんが、彼らにも家族がいて生活を保っているわけだから、それを無下にクビにするとは言えません。ここをハードランディングではない形でどう移行するかという話になりますが、そう言っていたからこそ、日本はこの30年間、何も進んでいないということがあり、ある程度はハードランディングが必要だという意見もあります。このバランスが難しい。

飯田)社会全体の平均年齢が上がると、変化に対する拒絶が多くなって来る。

佐々木)日本の電気、エレクトロニクスがダメになったのは、それが原因だと言われています。一時パナソニック、シャープが没落した時期がありました。あのときに指摘されたのは、社員の平均年齢が40代後半だということです。「それではシリコンバレーの若い企業に勝てるわけがない」と、2000年代は言われていました。そうは言っても、シャープは親会社が台湾の会社に変わった瞬間に生き返るわけで、必ずしも年齢の問題だけではないですし、組織構造や経営理念を変えれば、日本は優秀な人材がたくさんいるので、生き返ることは十分可能だと思います。

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