中国が開催を呼びかけた本当の理由〜日中が東シナ海情勢で協議調整

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(7月31日放送)に外交評論家・キヤノングローバル戦略研究所研究主幹の宮家邦彦が出演。東シナ海情勢をめぐって調整されている日中外務省の局長による電話協議について解説した。

「東方経済フォーラム」全体会合で、演説を終えた中国の習近平国家主席(左)と握手する安倍晋三首相=2018年9月12日、露ウラジオストク 写真提供:産経新聞社

日中が東シナ海情勢をめぐって協議を調整〜外務省の局長クラスで開催か

日中両政府が東シナ海の情勢をめぐり、外務省の局長によるテレビ電話協議を7月31日にも開く方向で調整していることがわかった。中国公船が繰り返し航行する沖縄県・尖閣諸島周辺での緊張激化を懸念し、不測の事態を避ける狙いがあるという。

飯田)110日に迫ろうかというくらい、接続水域に中国公船が侵入し続けている状況です。

習近平国家主席=2020年6月22日 写真提供:時事通信

米中関係が悪いときに中国は日本にいい顔をする

宮家)まず、この問題の本質は何かというと、米中関係が悪くなっているということです。何度も申し上げていますが、中国から見た場合、日中関係というのは米中関係の「従属変数」なのです。米中が悪いときには、日米間を割りたいから、中国は日本に対していい顔をするのです。今回のことはその典型的な例です。それもあってかどうかはわかりませんが、最近尖閣に対して相当なちょっかいを出して、しかもそれを続けているわけです。尖閣だけの問題ではなく、南シナ海もそうですし、香港やウイグル、インドもそうなのです。中国としては、何らかの形で日本との関係改善をしておかなくてはいけない。だからこそ、中国側から協議をやろうと言って来たのだろうと思います。

沖縄県・尖閣諸島 手前から南小島、北小島、魚釣島 海上自衛隊の哨戒機「P-3C」 から=2011年10月13日 写真提供:産経新聞社

戦略的に譲歩をするつもりはない中国

宮家)話し合いをするのはいいのですが、そこで中国側は「恐れ入りました」、「2度と尖閣には手を出しません」、「歴史問題は今後言いません」などと、そういうことを言うつもりはないのです。彼らは日本に対し戦略的な譲歩をする気はありません。あくまでも戦術的に、日米をある程度牽制したいこともあって、日本との話し合いができればいいと思っているのです。だから、あまり期待はできないと思います。協議は1対1で、対面で行う方がいいと思います。テレビ電話でやるとなると、公式のやりとりしかできませんから。対面で信頼に足る人との協議であれば、「本当はですね」というようなぶちまけた話ができます。しかし、対面でできないとなると、公式論の言い合いになる可能性が高いので、やること自体は大切ですが、あまり期待はできないと思います。

飯田)これに先立って、在日アメリカ軍のトップが30日に日付が変わるあたりで、会見をウェブ上で行いました。尖閣については我々の責任を果たす、守るということも言っています。「助ける」とは言っていますが、これは「まず動くのは日本だろう」というメッセージですか?

沖縄県尖閣諸島海域で、中国公船(奥)を監視する海上保安庁の巡視船[海上保安庁提供]=2020年5月16日 写真提供:時事通信

日本は自分で守るだけの能力を持つべき

宮家)確かに安保条約の第5条は適用されます。それはアメリカも明言しています。日米同盟がある限り、必ず助けには来る。問題は、日本が最初にアメリカに中国と戦って欲しいと思っていたら、その時点で終わりだということです。日本はきちんと、自分で守るだけの能力を持っていなくてはいけないのです。それを持った上で、闘って血を流したときに、同盟国が助けに来る。これが本来あるべき姿で、同盟国に「先に闘ってくれ」と言った時点で同盟は終わりです。

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