尖閣侵入をエスカレートさせる中国の本当の狙い

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(8月3日放送)にジャーナリストの須田慎一郎が出演。中国が尖閣領海侵入を繰り返す問題について、中国が置かれている国際的な状況と共に解説した。

沖縄県・尖閣諸島 手前から南小島、北小島、魚釣島 海上自衛隊の哨戒機「P-3C」 から=2011年10月13日 写真提供:産経新聞社

中国漁船団、尖閣に大挙して侵入を予告か

中国政府が日本政府に対し、尖閣諸島周辺で多数の漁船による日本の領海への侵入を予告するような主張と共に、日本が航行を止めるよう求めていたことに対して「要求する資格はない」と伝えて来ていたことがわかった。8月16日に中国が設定する休漁期間が終わり、漁船と当局の船が大挙して侵入する恐れがある。

会談を前に握手するトランプ米大統領(左)と中国の習近平国家主席=2019年6月29日、大阪市(ロイター=共同) 写真提供:共同通信社

中国の行動がエスカレートする理由〜アメリカとの交渉のレベルを超えた

飯田)2日も、尖閣領海のすぐ外側にある接続水域に、中国海警局の船がいたということです。

須田)海警局の船をバックアップするように、近海には人民解放軍の艦船もいたということですから、中国としては段階を踏んで事態をエスカレートさせているという状況です。しかし、この問題は尖閣領有をめぐる日中の対立、領海領土をめぐる問題という限定的なものではなく、いまの中国が置かれている状況が大きく影響しているのだと思います。7月23日にアメリカのポンペオ国務長官が、完全に中国を敵とみなすような演説を行いました。私は中国側がどのような反応をするのか、じっと見ていたのですが、この10日間程はほとんど無反応で、激しく反応しませんでした。これまでだったら、相当批判的な論調で臨むのが常なのですけれども、そういう動きがなかった。中国側としては米中の問題に関して、「交渉のレベルを超えた」という認識を持っているのだと思います。そこで日本の立ち位置を考え、交渉の余地があるのではないかと、日本にプレッシャーをかけるという思惑も働いたのではないでしょうか。しかし、日本は明らかにアメリカ陣営に入ります。当然の話ですが、そういうことが鮮明になって来た以上、「もうここは行動するしかないだろう」ということで、事態がエスカレートして来たと見るべきではないかと思います。

インド軍死者20人に 16日、インド北部で防空壕をつくるインド兵(アナトリア通信・ゲッティ=共同)=2020年6月16日 写真提供:共同通信社

一線を越えつつある中国の動き〜周辺各国は経済面を含めて対抗する必要がある

飯田)中国の一連の外交を見ていると、いろいろなところで問題を起こしているような感じがあります。インド、南シナ海もそうです。これもやはり、追い詰められているということが影響しているのでしょうか?

須田)一連の動きについて言えば、戦狼外交と言われています。習近平国家主席が望むような強硬策を、各部門が競い合って事態をエスカレートさせて来た。それは習近平外交の方向性なのだという解説も一部ではありましたが、そのレベルを超えて来たのではないでしょうか。戦狼外交から激突も覚悟し始めている。それは中国とインドとの動きを見てもそうだし、単純に瀬戸際外交的なギリギリのところで踏みとどまるというよりも、一線を越えつつあるのが最近の中国の動きではないかと思います。

飯田)そうなると、周りの国々はどう対応するのか。日本の場合は日米同盟を軸にして行くしかありません。他の国々も含めて、周りの国々で連携して行くということですか?

須田)そうですね。それが安全保障政策だけでなく、経済から政治まで含めての話になると思います。日本の場合は、中国経済を期待している部分もあるので、経済面では中途半端な政策を取って来た部分があります。それが今後は許されるのかどうか、私は許されない方向に向かっているのではないかと思います。

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