社会保障ではない「ベーシックインカム」を考えるべき〜青山繁晴

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(9月10日放送)に作家で自由民主党参議院議員の青山繁晴が出演。自民党総裁選について解説した。

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」

自由民主党総裁選、公開討論会で論戦

石破茂候補)納得と共感ということを掲げました。「そうだね」というように国民が思ってくれる、「一緒にやろう」という共感を持ってくれる。そういう日本をつくりたいと思っております。

菅義偉候補)経済、地方、子育て、そしてポストコロナ後のデジタル化、あるいはサプライチェーンという新しい目標ができました。こうしたことに向かって、この国を前に進めて行きたいと思います。

岸田文雄候補)国民の協力を引き出すリーダーでありたいと思います。オール自民党でドリームチームをつくって、最高のパフォーマンスを発揮しなくてはなりません。

 

飯田)お聞きいただいたのは、9月9日に行われた自民党総裁選の公開討論会で、石破元幹事長、菅官房長官、岸田政調会長、3人の決意表明でのコメントです。それぞれの考えを訴える場でありました。あの場は女性局と青年局の主催ということでしたので、青山さんも女性局の局長代理として参加されていました。

青山)女性局の局長代理をやるというのは、男性では参議院で初めてです。ですので、座っていなくてはいけない席に座っていました。

飯田)ある意味、主催者側の席でした。つぶさにご覧になっていたと思うのですが、まずどうご覧になりましたか?

自民党総裁選  自民党総裁選の共同記者会見の冒頭、写真撮影に応じる(右から)石破元幹事長、菅官房長官、岸田政調会長=2020年9月8日午後、東京・永田町の党本部 写真提供:共同通信社

石破氏〜自らをなぞらえたら「迫害された明智光秀、石田三成」

青山)いちばん面白かった質問は、よくあるものではありますが、地方の男性の方からいただいた「歴史上の人物に自分をなぞらえたら誰ですか?」という趣旨の質問でした。石破さんの答えがいちばん強烈な印象だったのですが、迫害された明智光秀、石田三成という名前を挙げられていました。いまは迫害されていても、やがて歴史で評価されるということを、すごく怖い顔でおっしゃったので、思わず周りの議員と顔を見合わせました。迫害されているという気持ちなのかと。あそこが石破さんのいいところでもあるのです。本音が出たのです。そして、菅さんは結局名前を挙げず、岸田さんは徳川家康と池田勇人。そのまま個性が出たな、という感じがしました。

自民党石破派の政治資金パーティーで講演する石破茂元幹事長=2018年5月30日午後、東京都内のホテル 写真提供:共同通信社

激しい議論になっている具体論には踏み込まず

青山)このご時世で、他の政策論議の具体論があまり出ないということはショックでした。自分が女性局の局長代理だから言うのではなくて、自由質問を取り入れたので面白かったのですけれども、もっと質問を自由にした方がよかったですね。まだまだ総裁選は続くから、きれいに飾っていない話をもっと聞きたいと思います。

飯田)菅さんは立会演説会などでもおっしゃっていましたが、不妊治療にも保険適用をするということを言っています。

青山)確かに、そういうところは具体的でしたね。

飯田)社会政策に焦点が当たっていたのかなと感じましたが。

青山)そこは具体論を言いやすいところなのでしょう。しかし、議論になっているところ、例えば財政出動と国の財政の今後など、激しい議論になっているところには踏み込まないという感じがしましたよね。

飯田)本来なら、コロナ禍でどう経済を支えるのかというところになると、当然、財政出動をどうするのかという話と、今後の財政という問題になります。

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」

国債をさらに発行して借金をしても、円の値打ちは下がらない

青山)石破さんが「財政がこれ以上悪くなっても、ハイパーインフレにはならない」とおっしゃった。ということは、国債をさらに発行して借金をしても、円の値打ちは下がらないということです。円の値打ちが暴落したら、ハイパーインフレになってしまいます。100円で買えたものが、1万円を出しても買えないというのがハイパーインフレですから。そうならないとおっしゃったので、その次の話を期待したのですが、それがスッと流れて違う話に行ってしまいました。しかし、これは消費減税の話とも相まって、新政権の大きなテーマになるわけです。

首相官邸への申し入れを終え、記者団の質問に答える日本の尊厳と国益を護る会・青山繁晴代表幹事=2020年2月14日午後、首相官邸 写真提供:産経新聞社

社会保障を全廃し、その代り生活できる収入を国が支給する〜社会保障ではないベーシックインカムを考えるべきではないか

青山)本当は、ベーシックインカムをやるのかやらないのか。AI全盛ですけれども、最近はBIと言ったりもしますが、ブラジルの町で独自通貨を出したら、他の街に買いに行かない、ネットでも買わない、街のなかで消費されるからお金がぐるぐる回って、ものすごく失業率が減ったのです。これは小さな街の範囲だからできることです。日本の1億数千万人もいるところでやれるのか、という話になりますが、社会保障のお金が膨らんで行くと、消費税も上げなくてはいけないという話になりかねません。1度、そういう話になってしまっていますから。

飯田)経済団体によっては、20数%まで上げるべきだということを言っています。

青山)「北欧がやっているから」と言うのですが、北欧でいちばん大きな国であるスウェーデンでも800万人くらいですから、比較にならないですよね。社会保障を全廃して、その代わり必ず生活できる収入を、仕事をしていてもしていなくても国が支給するという、ベーシックインカムを考えるべきではないか。10万円給付も、そのいちばん最初の試みと言えなくもないのです。そういうことを語ることができる総裁選でなくてはいけないし、かつてと違って、そういう話を経済学者だけでなく為政者、行政府がする時代になっているのです。

飯田)具体的に、どう設計すれば可能なのか。どこに問題があるのか、ということを徹底的に詰める。

青山)問題は必ずあるのですけれども、いまのように社会保障という名目であれば、いくらでも予算が膨らむということでいいのかと。

飯田)消費税などもそうですが、例えばサラリーマンなどが天引きされている社会保険料なども、実はかなり上がって来ていて、国民にとってはダブルで辛く、こんなに手元に残らないのかと思っていたりするのです。

青山)そうですね。それを根本的に解決するものとして、社会保障を積み上げて行くという考え方をやめて、その代わりにドカンと。ドカンと言っても、裕福になれるわけではないけれども、「生活はできるようにする」というのがベーシックインカムです。残念ながらカタカナですけれども。

飯田)「所得保障」という言い方をしたりもしますね。

青山)所得保障、その通りなのですが、もう少し夢のある言い方が欲しいところです。文字通り、政は政治の責任なので。

【新型コロナ・特別定額給付金申請開始区役所混雑】特別定額給付金のオンライン申請が始まり、マイナンバーカードの取得手続きなどで混雑する浪速区役所の証明発行窓口=2020年5月11日午後、大阪市浪速区 写真提供:産経新聞社

特別定額給付金〜効果について総裁選で議論すべき

飯田)確かに、いまは困った人への手当てという形になっていますが、どうしても、こぼれ落ちる人が出て来てしまう。特に氷河期世代の人たちは、正社員になれず、非正規雇用のままでスキルアップができない状態の人が多くいます。いま年金をギリギリ払えるか、払えないかということをやっていますが、この人たちがそのまま、あるいはこれから先にもっと経済が苦境に陥った場合、みんな生活保護になってしまうと、そちらの方で財政が持たなくなる可能性もある。それを考えると、ベーシックインカムは1つの解決策になるかも知れないですね。

青山)あえて全面導入という話をしたのですけれども、部分導入も不可能ではないと思うのです。ドカンと切り替えると言っても無理ですから。特に日本のように歴史があると、ゆっくりとしか変わらないのです。敗戦のショックも100年経たないと薄れません。だから憲法も変わらない。困っている人に手当てをして、資本主義の困った部分をそこで補うというのは、西洋から来た話です。例えば、仁徳天皇の「民のかまど」はベーシックインカムです。

飯田)確かにそうですね。

青山)仁徳天皇が私たちの暮らしをご覧になって、「ここは裕福だから放っておく」、「ここは困っているから手当てをする」ということではなく、一律なのです。

飯田)税金を取らないと決めて。

青山)だから定額給付金も、一部の人に30万円を給付するのではなく、一律10万円というのは、実は画期的な考え方の変化です。すぐに行われたことだから、当然いまの総裁選でその議論をするべきなのです。

飯田)確かに、6月は少し消費が上がって、効果が出ていた可能性があるのですね。

青山)そうです。何でも前向きに捉えた方がいいので、これはテストケースだったと考えるべきだと思っています。

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