「石破氏との“地方票”の差を見て岸田氏に“国会議員票”を回した」自民党総裁選の水面下戦略を辛坊治郎が分析

新総裁に菅氏 総裁選で「2番手・岸田」にできる戦略を立てた人がいたと推測も

記事まとめ

  • 自民党総裁選が行われ、菅官房長官が377票を獲得して新総裁に選出された
  • 辛坊治郎氏はニッポン放送の冠番組で、自民党総裁選の結果と背景について分析した
  • 「2番手・岸田」に持ってこられる戦略を立てた人がいたのではと、推測している

「石破氏との“地方票”の差を見て岸田氏に“国会議員票”を回した」自民党総裁選の水面下戦略を辛坊治郎が分析

自民党総裁選が9月14日、行われ、菅官房長官が377票、石破元幹事長が68票、岸田政調会長が89票という結果となり、新総裁に菅義偉官房長官が選出された。

こうしたなか、キャスターの辛坊治郎氏はこの日、自身がパーソナリティを務めるニッポン放送「辛坊治郎 ズーム そこまで言うか!」に生出演、この自民党総裁選の結果と背景について分析した。

自民党総裁選を終え、壇上で手を取り合う(左から)岸田文雄政調会長、安倍晋三首相、菅義偉官房長官、石破茂元幹事長=2020年9月14日午後、東京都港区 写真提供:産経新聞社

9月16日に「菅総理大臣」が誕生

辛坊)自民党総裁というのは自民党という党のなかでトップを決めるプロセスではありますが、日本は議院内閣制です。アメリカの大統領選というのは党のトップだからといって大統領になれるとは限りませんけれども、日本の場合は議会の多数派が議員のなかから総理大臣を決めるという仕組みですから、最大与党の自民党のトップはイコール日本国総理大臣に決まるという構図になっています。

その自民党のトップを決めるプロセスが、14日行われて、菅義偉さんが自民党総裁に選ばれました。あとは国会で国会議員が集まって、16日にそのプロセスが行われるわけですけれども、野党は枝野さんを候補として立ててくるだろうと思いますから、国会議員のなかでは菅義偉さん対枝野さんという対立で投票が行われます。ですけれどもこれはもう、多勢が与党に決まっていますから、与党の多数で17日に菅さんが総理大臣に決まるということが、14日の自民党の投票で確定したということなのです。

自民党総裁選の投票結果=2020年9月14日午後、東京都港区 写真提供:産経新聞社

公表していない「地方票」の内訳がわかるわけ

辛坊)投票結果は有効投票534票だったのですが、そのうちの377票、圧倒的に菅さんが取ってぶっちぎりですね。2番手がどうなるかというのが非常に注目されていたのですが、「地方票」141票と「国会議員票」を合わせて534が有効投票だったわけですけれども、2位の岸田さんが89票、3位の石破さんが68票。その差は21票。これは予想よりだいぶ差がつきました。

増山さやかアナウンサー)辛坊さん的にはどう読んで いらっしゃったのですか。

辛坊)まず、「地方票」の開票ですが、自民党は公式には票の内訳は公表していないわけですけれども、基本的にはマスコミがそれぞれの都道府県に行って「お宅、どこに入れました?」と聞くと、取材で積み上がってくるわけです。「地方票」141票の行方というのは明らかになっていまして、菅さんが89票です。全体の63%で、「地方票」でもぶっちぎりですね。だから、「もし党員投票をしていたら」という話がよくあるじゃないですか。今回は石破茂氏を絶対当選させたくないという大きな陰謀が働いて、石破さんが絶対にトップにならないように「地方票」と「国会議員票」が同じだけのウェイトを持つ正式な総裁選ではなく、臨時のときに採用される方式になりました。

日本記者クラブで自民党総裁選立候補者討論会に臨む(左から)石破茂元幹事長、菅義偉官房長官、岸田文雄政調会長=2020年9月12日午後、東京都千代田区 写真提供:産経新聞社

トップ総取り、比例配分など各地方によって方式が異なる

辛坊)これは、「国会議員票」が実際の衆参合わせた国会議員の数で、300ちょっと。加えて地方票は各都道府県3票かける47都道府県ですから、3×47=141。141のうちのどのくらいを菅さんが取るか石破さんが取るかということが非常に注目されていました。今回は自民党総裁選が始まった段階で、石破潰しのために党員投票をやらないということになったのですが、そういう批判を受けて、自民党本部は「各都道府県連で独自に都道府県で党員投票のようなことをやるのは勝手だからちゃんとやってね」という通達のようなものを出しているので、47都道府県のうちの大半は独自に党員投票をやったり、アンケートをしたりした。

その結果、各都道府県に割り当てられている3票の行方に関して、比例で菅さんが3分の3で、石破さんが3分の1だった場合には2対1で票を割ろう、というような比例でやるところもあれば、トップの人に全部3票をあげるというところもありました。

首都圏は基本、トップ総取りなんです。東京・神奈川・千葉・埼玉は、事前に党員投票みたいなものを行って、トップの人に3票差し上げますという発表をしていました。東京・神奈川・千葉・埼玉では3票とも全部菅さんです。北海道、和歌山も3票菅さんになりました。その結果、全体の60%以上の89票が菅さんだったのです。

2017年撮影(石破茂-Wikipediaより)

「地方票」で強かった石破氏

注目の石破さんが42票でした。例えば、地元の鳥取は3票全部石破さんです。それから、高知が3票中2票が石破さん、富山が3票中2票が石破さん、そのほか1票は取れているというところがあります。だから、全部足し上げて42票取れているわけです。

岸田文雄 – Wikipediaより

岸田氏は「地方票」では10票

岸田さんですが、岸田さんは地元の広島では3票取れています。意外なところでいうと、山梨が3票のうちの2票が岸田さんで1票が菅さんで石破さんが0です。などなど足し上げていくと、岸田さんは10票だったわけです。

会見に臨む自民党・二階俊博幹事長=2019年2月26日午前、国会内 写真提供:産経新聞社

水面下で出てくる地方票の数字を見て国会議員票を「回した」

辛坊)実は、国会議員の投票前に、こういう数字は本来は公式には表には出ていないのだけれども、水面下には出ているわけです。となると、この段階で石破さんと岸田さんの差は32票だった。自民党のなかでは「石破はどうやってもここで潰しておきたい」という人たちもいるわけです。「ここで大差がついて3位になってしまうと、なかなか次の芽がないよね」と。国会議員票で逆転できるレベルかということをみんな考えているわけです。「地方票」が出た段階で32票差なんです。岸田派と石破派の差がもともと20以上あるんです。だから、10票か20票を菅さんの票から岸田さんに回せば、岸田さんが2番手につけるだろうという戦略が敷かれたと思います。

だから、最終段階で「地方票」がわかって、「地方票」における岸田と石破の差が32票であると。もともと岸田派と石破派の差を考えると、10票から20票回すだけだけで、「2番手・岸田」「3番手・石破」に持ってこれるというような戦略をおそらく立てた人がいて、国会議員票が岸田さんに乗っかったんじゃないかな。その結果、21票差という。

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