石破茂元幹事長〜菅新政権に課題山積の外交・安保「イージス・アショアはどうなるのか」

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(9月17日放送)にジャーナリストの鈴木哲夫が出演。自民党元幹事長の石破茂氏を電話ゲストに迎え、菅新内閣の今回の組閣について、また今後の在り方について解説した。

【政治 石破茂元幹事長会見】会見に臨む石破茂元幹事長=2020年9月11日午後、東京都千代田区の日本外国特派員協会 写真提供:産経新聞社

菅内閣発足〜最重要課題は新型コロナ対策と経済再生の方針

菅総理)いま国民が求めているのは新型コロナウイルス、その収束を何とか早くやって欲しい。そして同時に、経済をしっかり立て直して欲しい。まさにこの感染拡大防止と経済の両立を、国民の皆さんはいちばん望んでいるというように思います。まず、そのことに全力をあげて取り組んで行きたい。

 

9月16日夜に総理官邸で行われた、菅総理大臣の就任記者会見の模様。新型コロナウイルス対策と経済再生が、いま取り組むべき最重要課題であると語っている。

飯田)この時間は、自民党総裁選で菅さんと戦った、石破茂元幹事長と電話をつないでお話を伺って行きます。石破さん、朝早くからありがとうございます。まずは組閣の印象ですが、石破さんはどのようにお感じになりましたか?

石破)菅さんが、コロナの収束が大事だということをおっしゃいました。「余人をもって代え難い」とはこの人のこと。田村憲久元厚生労働大臣の入閣に表れるように、「この人をおいて他にない」という手堅い人事が目立ちます。

飯田)田村新厚生労働大臣は、石破さんの派閥からということでしたけれども、この方はずっと党でコロナ対策をやっていらっしゃいました。この辺は、プロ中のプロという感じですか?

石破)プロ中のプロだと私は思います。厚生労働省のなかの信頼も厚いですしね。また、メディアに出て解説をするときに、難しい言葉でよくわからない言い方をする人もいますが、できるだけわかりやすく話をしているのが田村さんではないですかね。

飯田)今後の菅政権に望む政策として、石破さんのご専門である外交安保の部分で言うと、外相は茂木敏充さんが留任、防衛大臣には岸信夫さんが就きました。既に中国が反応していますが、この辺りの人事はどうですか?

【政治 菅内閣発足 首相指名選挙】第99代首相に選出され議場に一礼する自民党・菅義偉総裁=2020年9月16日午後、国会 写真提供:産経新聞社

課題山積の外交・安保

石破)岸さんは、苗字は違うけれども安倍元総理の弟さんです。岸元総理の直系と言うべきかな。血筋がどうのと言うつもりはまったくないのです。ただ外交・安保の場合、イージス・アショアはどうなってしまうのかという問題があります。トランプさんであれ、バイデンさんであれ、日本にアメリカ軍が駐在している経費は、「もっと盛ってくださいね」と言う可能性はあるのでしょう。そして、アメリカと中国の間で日本はどうすべきか、まだ明確な方針はありません。軍事の方も20世紀とは様変わりしています。宇宙、サイバー、ドローン。そういう技術的な面について、かなり立ち遅れているのでは、ということがあります。課題は山積しています。内閣ができた日から、「外交・安保の方針はこうであります」などと言う必要はないのだけれども、大きな課題ですよね。

鈴木)内閣の顔ぶれの評価もそうですが、石破さんが総裁選で戦って来られて、これまでの安倍政権に対するアンチテーゼのようなものも含め、石破政権構想をずっと訴えていらっしゃいました。今回の内閣を見ると、目玉で変わった人もいますが、先ほどおっしゃったように手堅いとは言いつつ、逆の言い方をすると、安倍政権を引きずっている部分が随分あると思います。これに対して、石破さんがこれからどうやって党内で、そういうものに対して提言なり意見をして行くのか、その辺の気持ちや姿勢があれば聞かせてください。

日本記者クラブで自民党総裁選立候補者討論会に臨む(左から)石破茂元幹事長、菅義偉官房長官、岸田文雄政調会長=2020年9月12日午後、東京都千代田区 写真提供:産経新聞社

総裁選が終わったら「なかったことにする」のではなく、出た意見は議論するべき

石破)総裁選が終わったら、なかったことにする、「いろいろな意見があったのは知らないよ」と言うのならば、戦った意味がありません。私は総裁選で、「民主主義は少数意見も重んじなければいけない。51対49で51が正しいというのは、民主主義ではない」と申し上げました。例えば、感染症の特措法がありますよね。新型コロナウイルス特措法と言われていますが、「収束してから改正する」という話が、最初のころはありました。やや軌道修正された気もしますが、これを「早く収束させるために改正する」ということは、当然あると思っています。経済にしても、確かに株は上がり、企業は大儲けをして、有効求人倍率は「1」を超えたのだけれども、それを子細に見ると、高齢者、女性、医療・介護・サービス業が多い。そういう給与の低いところの雇用が増えたのではないでしょうか。生活保護数は減っていると言うのだけれども、受けていらっしゃる方は少し減っていますが、世帯数が増えているということは、1人暮らしのお年寄りで生活保護を受けざるを得ない方が増えたのだろうということです。このように子細に見たとき、「ここは直した方がいい、ここは法律を変えた方がいい」という意見は、たくさん出たと思うのです。それについて、「総裁選でいろいろな意見が出たけれど、あれはなかったことにして」と言われると、何のための総裁選だったのかと思います。

飯田)党内で今回、石破さんは無役という形になります。そうなると、どういう形で政策提言をされて行くのですか?

自民党石破派の政治資金パーティーで講演する石破茂元幹事長=2018年5月30日午後、東京都内のホテル 写真提供:共同通信社

野党との前に、与党内で議論するべき

石破)自民党にはいろいろな部会があって、誰が出てもいいので、そこでどう発言するかです。私どもの政策集団、我々は19人しかいないのですけれども、総裁選でも政策については熱くやりました。政策集団というのは、「ポストをもらいましょう集団」ではないわけで、自民党のためにどんな政策を出すかということです。そう言うと、党内から批判するなと言われます。ですが、党内で批判しなくても、野党からは批判されるわけです。そうであれば、野党に言われる前に、与党のなかで議論をしようということです。それを「党内で批判するな」ということになると、全体主義政党ではないかと、私はそういう思いがあります。

飯田)「自民党のために」と石破さんは何度もおっしゃいましたが、一部の口が悪い人は、「だったら外に出ろ」とか、「野党と連携するのか」などと言います。そういう気持ちはない、ということでいいですか?

石破)党内で議論ができなくなってしまえば終わりです。これまでの予算委員会を見ていると、問いと答えが噛み合っていない。Aを聞かれたのにBを答えるとか。見ている人は「何なのだろう」と思うはずなのです。自民党内できちんと議論されていて、「野党がこう聞く」ということはわかっているわけです。すれ違いの答弁ではなく、見ている人、国民の方々に「そうだよね」と思ってもらわないと、何のために国民は税金を払っているのか、何のために議員は議会を運営しているのか、ということになります。

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